On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2020-03-04 04:58:08
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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その夜

▼きのう3月3日ひな祭りの日の予算委員会に、山田宏・護る会幹事長 ( 参議院議員 ) が質問に立たれました。
 山田さんの行政経験を活かした政策提案能力、そして人間的な力強さ、公正にして率直、そして祖国と国民をこそ想う志、これらすべての個性が発揮された素晴らしい質問でしたね。
 NHKの生中継やネットでご覧になり、それを目撃されたかたも多いと思います。

 山田さんが護る会 ( 日本の尊厳と国益を護る会 / JDI ) の幹事長だから、あるいは盟友だから、このように申すのではありません。
 不肖ながらぼくはひとりの予算委員として、与野党の別を問わず、どの議員の質問もどの大臣らの答弁も、公平に見つつメモを取っています。

▼山田さんから数日前に、「あのお・・・」と珍しく、躊躇(ためら)いがちに電話が掛かってきたのは先週の金曜日、2月28日のことです。
「こんなことを青山さんに頼んで良いのかなぁと思うんだけど・・・」と仰るので、頼みの中身を聴かずに即、「ああ、いいですよ。何でもどうぞ」と答えました。
 すると、質問のときに横に座って、パネルを立てる役をやって欲しいということでした。
 やったことも考えたことも無かったですが、もちろん何の問題もありませぬ。

 きのうの予算委員会で質問席の横に座るまで、山田宏さんがどんな質問をするのか、どんな内容のパネルが用意されているのか、何も聞きませんでした。事前の摺り合わせ、打ち合わせは皆無です。
 みんな、みなさんに見えない部分をできるだけつくらないのは、盟友とのあいだでも同じです。

▼本番となり、質問席の横に座ろうとすると、野党の予算委理事の代表格、蓮舫さんが「えーっ。青山さんがパネルをやるの ? 贅沢な人の使い方をするわね」と眼をまん丸くされ、自由民主党の議員も含めて反響が大きいのにすこし驚きました。
 なぜか、どの議員も笑顔です。蓮舫さんをはじめ、激突の場の予算委員会では、まず見ることのない思いっきりの笑顔なのです。
 ぼくは内心で山田さん一流のアイデアマンぶりに、あらためて感嘆しました。こういう反応を、ピタリと予測されていたのでしょう。ぼくにはまったく想像外の反応でした。
 山田宏・元杉並区長、元日本創新党党首、さすがです。

▼予算委員会の質問席には、何度か質問のために立っているわけですが、ぼく自身はパネルを使わないので、横のパネル役の席はほとんど見たことがありません。
 初めて座ってみると、これがですね、予算委員会の風景がまるで違うのです。
 パネルを出すのが遅くてはいけないし、ましてや間違ったパネルを出しちゃいけないと考えるから、独特の緊張感があります。
 自分で質問するときには、脱私即的、かっこいい質問をするのではなく国益と国民のために質問するというほんらいの目的に即 ( つ ) くだけですから、まったく緊張しません。
 しかしパネル役は、緊張しますね~。わはは。

 パネルは、国会の事務方のみなさんによって、机の横に並べて立てかけてあります。5枚ありました。
 まずそのパネルをさっと見て、タイトルや内容を把握しました。
 どのように立てるのかなと机を見ると、レールが2本あるのです。
 あれ ?
 どっちのレールに立てるのかな。
 すぐに始まった山田さんの迫力ある質問をしっかり聴きながら、レールを仔細に見るのですが、2本は同じ造りです。
 すると質問の内容からして、ここでパネルだろうという瞬間が来ました。
 5枚から1枚を選んでレールの1本に入れると、いくぶん傾きます。わずかな傾きで、読んでもらうには問題はなさそうだけど、傾いていることは傾いています。
 そのとき、背後の野党席から何人もの野党議員が「あ、もう1本のレールですよ」、「青山さん、そのレールは予備です」と教えてくれました。
 そのなかには、資源エネルギー調査会でかつて一緒に楽しく議論した矢田わか子議員 ( 国民民主党 ) もいらっしゃいました。
 アドバイスとおりに、もう1本のレールに入れると、パネルはシャキッと、すっきり立ってくれました。感謝です。

▼山田さんの質問が進み、中韓全土からの入国停止を求めると、安倍総理が答弁席から、山田さんとぼくの眼を交互に見て「青山委員が隣に座っているところを見ても、山田委員の強い意欲が分かります」とビックリの答弁をされました。
 予算委員会は前述したように、国会でいちばんハードに激突する場です。
 こんなユーモア答弁は、滅多にありません。
 そして総理は、中韓全土からの入国停止について「必要であれば、躊躇 ( ちゅうちょ ) なくおこなう」と答弁されました。

▼パネルは、山田さんの「1枚は飛ばしてください」という指示の通り、4枚を無事に間違えずに立て、意義深い質問が終わりました。
 そして予算委員会が昼の休憩になったとき、山田さんがわざわざお礼を仰るために近寄ってこられ、「パネル役をやってもらったのは総理に良きプレッシャを掛けるためでした」と仰いました。
 ぷ、ぷれっしゃーには、なっていないと思いますが、男、山田宏、ほんとに良き国士ですね。

 山田さんの質問のあいだ、パネル席の狭い通路を挟んだ横の席にいる蓮舫さんが、質問内容に絡んでときどき、「青山先生、これ、いいの」と満面の笑顔で聞くのです。
 ぼくは弱って、口にバツ印の手を当てたりしました。パネル役は当然、無言でいるべきですからね。

▼そして夜、「政権中枢のなかの中枢」と、話しました。
 ひとしきり、今日の予算委の話で盛り上がったあと、山田宏さんの渾身の質問を活かすためにも、ぼくは本題を切り出しました。

 このブログで、中韓全土からの入国停止をめぐり、この「政権中枢のなかの中枢」との直交渉で「前進か」と言える情況になったこと、しかし日本ではトップ以外の人々とも合意することが不可欠で、予算委のためにその交渉時間が取れないという苦汁をすでに記しました。
 それでも、どうにか行政官 ( 官僚 ) らとも交渉しています。官僚機構の中に、秘かな味方も少なからずいます。

 その結果、外交当局の言い分は ( 1 ) 1万人あたり感染者が何人いるかが基準。中国全土の感染者数は、中国の発表によれば、その基準に届かない ( 2 ) 中韓全土からの入国停止をやるというのなら、イタリアとイランの全土からも入国拒否をやらねばいけないことになるーという2点が中心だと分かりました。
 そこで「政権中枢のなかの中枢」に対して ( 1 ) 中国の発表がまったく当てにならないことを仮に置いても、中国全土、国全体について「1万人あたりの感染者」を基準にすれば、数字が薄まってしまう、小さくなるのは当たり前であり、まったく基準にならない ( 2 ) イタリアとイランから日本に来る人の数と、中韓のそれはまるで違う。これも事実認識がおかしいーと申しあげました。
 政権中枢のなかの中枢は、ほぼ同意されました。
 そして「時間をください」を仰ったので、またすこし前進したのを感じ取りつつ、「時間はもうありません。今からでも充分な意義はありますが、これ以上遅くなっていくと、すべてを喪います」と、あえて厳しく申しあげ「必ず、指導力を発揮されることができます」と最後に申しました。日本では大統領制のようにはトップが行動できません。官僚機構も与党もすべて説得せねばなりません。それを承知の上で、申しあげました。

▼さぁ、きょうも国会に行く準備をもう、やらねばなりません。
 まだ未確定のことをふたつ、あらかじめ申しておきたいと思います。

▽3月6日金曜日に、その予算委員会で質問する可能性があります。
 正式には、きょう3月4日水曜に決まるでしょう。
 ただし、自由民主党理事の非公式なお話によれば、質問時間はとても短くなるそうです。
 そして傍聴はできないのかと思っていましたが、強く希望なさればできるそうです。主権者の至高の権利のひとつですからね。正しいと思います。
 きのうの予算委にも、熱心な、志の高い主権者がいらしていました。
 質問が正式に決まりましたら、このブログにアップします。予算委員会に終日、入っているので、遅くなるかも知れません。関心のある方は、金曜の予定をちょっとお考えになっていてください。

▽隔週参加が予定されている3月9日月曜の虎ノ門ニュースにて、予算委員会の詳しいやりとりや、いつものように自由民主党の部や、それから武漢熱をめぐる対策本部の様子を、資料や写真と共にお伝えするつもりでした。
 公設秘書さんによると、予算委員会への出席のために、ちょっと問題が生じています。
 いかなる場合も、公務絶対優先です。それは、国民から議席をお預かりしている立場からして、揺らぐことも変わることもありません。
 同時に、みんな、みなさんに伝える義務も、必ず、何らかの形では果たしていきます。
 これも決まれば、またお知らせします。

 
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