On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2020-05-11 07:39:29
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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オールドメディアの諸君、諸氏にこゝろからお尋ねします その2 そしてみなさんと一緒に考えるひとつの材料です (推敲しました)

▼あらためて、このタイトル「オールドメディアの諸君、諸氏にこゝろからお尋ねします」を見ると、なんだか大仰に過ぎるなという気がしました。

 実際は、なにごとも事実に基づいて報じませんかという当たり前のことが、発端になっているに過ぎません。

 
▼オールドメディアにて「日本は他の先進諸国に比べてICU  (  集中治療室  )  が大きく不足している」と、武漢熱の危機が始まってから何度も強調して報じられていることについての問いであることは、以前に、記しました。
 すると、「何がICUかという基準が、諸国と日本で違うだけじゃないか」という趣旨のコメントが、お二人から寄せられ、ぼくはほんとうに心強く思ったのです。

▼さまざまな客観データから、肝 ( きも ) になるところだけ、簡潔に記します。
 英米や独伊仏西といった国々では、ICU ( Intensive Care Beds ) とIMCU ( Intermediate Care Beds ) の両方を合わせて、「ICU等の病床数」としています。
 これに対して日本では、後者をハイケアユニット ( HCU ) と呼び、ICUとは律儀に切り離してカウントしていました。
 これで計算すると、日本では10万人当たりの病床数は、4.3床となります。
 アメリカの34.7床を筆頭に、ドイツの29.2床、イタリアの12.5床、フランスの11.6床、スペインの9.7床、英国の6.6床のすべてに劣ります。
 先進国のなかで「最低」に見えます。

▼ところが日本も、これら諸国と同じくIMCUを足すと、合計1万7034床、10万人当たりでは13.5床となり、米独には劣りますが、伊仏西、そして英の国々をすべて上回り、これら先進諸国のなかで第3位です。

▼たったこれだけのことです。
 いずれも数値は、平成30年7月1日付のデータ ( より正確には、日本の人口と病床数が平成30年7月1日付現在。他国のそれは、厚労省が諸論文を渉猟してまとめたデータであり時期は一定ではない ) として、日本政府の厚労省が持っているデータです。
 厚労省から、なかなか出てこなかったのが、ようやく出てきた感があります。厚労省としては当然、「何も隠してていたわけでは全くない」ということになるでしょう。

 さて、記者の諸君、そして諸氏、いかがでしょうか。

 そして広く国民のみなさん、いかがでしょうか。
 前述のコメントをお寄せくださったお二人に、あらためて敬意を表します。

▼そのうえで、これは日本の「ICU等」の病床数が、これで充分か、たった今の武漢熱の危機にも充分かということとは、まるで別問題です。
 ぼくは、より充実させることを急ぐべきだと考えます。
 また、数字は常に、マジックも伴います。上記の厚労省が持っていたデータだけではなく、多様なデータを比較検討する必要があります。

 しかし、すくなくともオールドメディアの記者のみなさんが上記データを含めて、多様なデータを検証した形跡をぼく個人は感じません。

 いつも祖国日本は簡単に貶 ( おとし ) められ、そのために国民の不安がいたずらに増幅されている、その懸念が深くありませんか。
 ぼくが不肖ながら問いたいのは、その一点です。
 オールドメディアだけの問題ではないのです。いつも申しているとおり、誰かを悪者にしても何も前進しません。
 このぼく自身の自戒を含めて、敗戦後ずーっと75年間も続いている、日本社会の癖ではないでしょうか。
 もしもそうなら、その超克には、新しい連帯こそが不可欠です。


 
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