2020-07-18 03:00:17
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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遅くなりました。尖閣諸島をめぐる国防議連の詳報です。
▼きのう7月17日金曜に自由民主党本部で開かれた「国防議員連盟」勉強会について、約束通りに記しておきます。
きのう再び、海外の同胞への一律10万円給付をめぐって、水面下で烈しいバトルがありましたから、すっかり遅くなりました。
産経新聞のネット版で、この国防議連の勉強会が報じられていました。ぼくと山田宏参議院議員 ( 護る会幹事長 ) の発言が紹介されていましたから、読まれた方もいらっしゃるかも知れません。
▼この勉強会は、防衛省、外務省、内閣官房 ( NSS国家安全保障局など ) 、海上保安庁、環境省、総務省が出席し、まずそれぞれの立場の説明を行いました。
▽防衛省は、中国が軍事力を海軍、空軍と核兵器・ミサイル戦力を中心にどれほど強力に増強しているかを説明しました。
軍事予算は23兆6千億円ほどに達しているという見方もあることを紹介し、具体的な新戦力の情報も開示され、このままでは米軍を凌ぐ規模になりかねない実態が、良く伝わりました。(ただし規模イコール実力ではありません)
ちなみに日本の防衛予算は、5兆と688億円です。中国のわずか5分の1強ほどということになります。
▽外務省は、日本の尖閣諸島で領海侵犯を続けている「中国海警」が、もはやコーストガード ( 沿岸警備隊。日本では海上保安庁 ) ではなく、軍の一部になっている実態を報告しました。
ということは、尖閣での領海侵犯は、軍事侵略に等しいことになります。
▽海上保安庁は、中国のこの尖閣侵略態勢に対峙するために巡視船を大型化し、無人機による監視も導入して、態勢を整備していることを説明しました。
どこか悲壮感の漂う報告でした。
▽海上保安庁はまた、中国の武装船が領海侵入した航跡を図で示し、さらに日本のEEZ(排他的経済水域)で中国の海洋調査船が日本の同意がないまま勝手に、不当に海洋資源調査を行っている実態を、その調査船の写真付きで報告しました。
▽環境省は、魚釣島の植生を、島に上陸することなく航空写真だけで調査しているという情けない実情を報告しました。
▽総務省は、沖縄県石垣市の中山義隆市長と、市議会が、固定資産税の調査のために尖閣諸島への上陸を求めていることに対し、総務省の固定資産税課長名で不許可を通知していることを、市長らへの通告文書を開示して、説明しました。
▼これら説明と報告はすべて、資料と共に行われました。
その資料は、7月中にスタートする新動画「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」にて、実物を示します。
▼ぼくは以下の4点を発言しました。
(1)中国が日本の海洋資源を調査しているのは、中国の調査船による調査だけではなく、日本の優秀な民間調査船をレンタルして、中国の研究者を乗せて日本の領海内のどこでも行っている実態がある。
このままでは日本の海洋資源が丸裸にされる。国による新たな管理が必要だ。
(2)尖閣諸島についてこれまで日本は、安倍総理の考えを含め、「領土問題に仕立て上げるために日本を刺激する中国の手に乗らない」という姿勢でいる。そこに意味はあるが、それだけでは済まない。
すくなくとも自然調査、資源調査がすぐに必要であり、石垣市に固定資産税調査も認めるべきだ。
(3)久場島と大正島の米軍射爆撃場に中国名を付けていたり、おかしな措置がある。改善すべきだ。
(4)中国軍の肥大化は異様なまでに進んでいる。米軍はこれをどうするつもりだと防衛省は見ているか。
▼これに対して、まず防衛省が(4)について回答しました。
「アメリカはオバマ政権の時代には中国軍の増強に対して何もしなかったが、トランプ時代になって、戦略的増強を図っている」という答えです。
次に(2)と(3)について「検討する」という、いつもの型どおりの答えが関係省庁からありましたが、(1)については「担当省庁がどこか分からない」として答えすらありません。
そこでぼくがNSS国家安全保障局を指名して答えを強く、求めると、「深刻に捉えている」と答えました。
▼いずれも政府側の答えは、極めて不満足です。
しかし、このように包括的な議論を試みた意義は小さくありません。
そこでぼくは発言の冒頭に、国防議連の衛藤征士郎会長と、佐藤正久事務局長の努力に敬意と感謝を申しあげました。
これに関連して、護る会メンバーの衆議院議員が印象深い発言をなさいました。
「まずは自由民主党内部の問題ではないか。党の外交部会が役員会で、習近平国家主席の国賓来日の中止を求める決議をしたら、外交部会の全体会議にふだんは全く来ない議員が急にやって来て決議を変えるよう要求したりする。こういう体質から変えるべきだ」
この勉強会は、公開ではありません。だから、ぼくの発言ではない発言を実名で紹介することはしません。
しかし、共感を呼ぶ発言でした。
この国防議連、あるいは国防部会、外交部会には、いつもほぼ同じ顔ぶれしか来ないのです。
上記の発言は、違う考えの議員を非難しているのではなく、「ふだんから、中国寄りの議員も、中国に厳しい議員と共に議論を積み重ねて、中国へのしっかりした姿勢を党として確立すべきだ」という趣旨だと思います。
そのほかにも、多くの議員から「尖閣諸島が日本の施政下にあるという証(あかし)をつくるべきだ。それがないと、有事の米軍来援にも不安がある」、「中国公船という呼び方をやめよ。中国の施政下という誤解を招く」、「中国を刺激するなという政府方針を改めさせよ。それがないと、何もできない」、「尖閣諸島の天気予報を行い、記念切手も発行せよ」といった発言がありました。
いずれも、できることからやっていこう、という提案だったと考えます。