On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2013-05-13 05:53:52

夜明け前にて デリー時間5月13日月曜未明4時8分




▼みなさん、いまインドの首都デリーです。
 きょうの月曜日には、インドの元官房長官らと会う予定です。
 このひとたちは現在、野党なのです。
 日本の政治家や外交官が、他国の首都に出向くと、おおくは時の政権の首脳・幹部陣に会いますね。その国の与党の側と会うのが、常です。それは当然です。

 ぼくはひとりの民間人ですから、そうではない人たちとも、議論と情報交換をし、その議論と情報交換によって信頼関係を深めていくことを、ごくささやかなりに、さまざまな国で続けています。いま野党の人たちも、やがては与党に戻る日が来るかもしれません。

 このところベトナム、インドと、いずれも中国と真正面から向き合っているアジアのキー・プレイヤーの国を連続して回っていますが、もちろん偶然ではありません。
 民間人には民間人なりの、民間人にしかできない戦略外交もあります。
 もちろん、ちいさな努力、歴史のなかに埋もれてしまう努力に過ぎません。
 民間人でも、相手国のひとびとが、きちんと会って議論して、たいせつな情報も交換してくれることに、いつも胸の深くで感謝しています。


▼ちょっと、この地味個人ブログにしては硬いことを書きました。
 まずは、独研(独立総合研究所)から会員へ配信している東京コンフィデンシャル・レポート(TCR)で、インド・レポートも、送ることになります。
 実は、このTCRがいちばん早い、いちばん詳しい、ぼくの発信です。
 TCRの会員は、みずからの身を削って、独研の灯火(ともしび)を掲げ続ける手助けをしてくださっていますから。

 ただ、このレポートの会費を以前にワシントンDCで聞かれて、ありのままに話すと「その情報料は、アメリカの相場の10分の1どころじゃない。100分の1に近いよ。いったいなぜ…」と絶句されました。この人物は、レポートの中身をかなり知っています。
 ロンドンでも、似たようなことを言われました。このときは英国人らしく、情報料についてアメリカ人ほどには具体的に言われなかったけれど…。

 その通り、日本は情報の価値が低い、高く評価されない社会なのです。
 これこそが、日本の弱点に、深刻な弱点に繋がっています。
 TCRの会費そのものは、アメリカ人やイギリス人に何と言われようが、このままでいいのです。
 2000年の3月に第1号レポートを配信して、会員の支えで、もう13年を超えて配信を続けていますが、一度も会費を上げたことはありません。今後も上げません。
 独研のTCRはそれでいいけど、日本社会での情報の価値そのものは、もっともっともっと、上がっていかないと、日本国は、国際社会の強者(つわもの)どもに、なかなか太刀打ちできませぬ。
 その意味からも、情報に対価を払ってくださるTCR会員は、貴重な存在だと思います。


▼インドは、親日国です。
 かつて指導者チャンドラ・ボースが日本と連携して、イギリスからの独立を模索した国です。
 現在の世界の優れた戦略家のひとり、マンモハン・シン首相が日本をまもなく訪れる国でもあります。
 シン首相は、第一次安倍政権下の来日のとき、印象深い国会演説もされました。

 そして訪ねてみると、凄絶な貧困に直面する国でもあります。
 日本とインドの新しい、ほんものの連携が、アジアのためにこそ育ちますように。

 写真は、デリー市内の世界遺産のひとつ「赤い砦」にて。
 ぼくの手が触れているのが、インド産の大理石、その下の赤いのが、これもインド産の砂岩。この赤い色が、「レッド・フォート」の名の由来ですね。
 そして向こうに見えているのは、大英帝国がインドを植民地にしていたとき、インドの城の中に造ってしまった英国そのままの建造物群です。壊したりしないで、そのまま保存されています。

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