On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2013-10-23 15:00:45

11月はここで! (*写真を追加アップしました)(*文中の日にちを訂正しました)

*RKB毎日放送(福岡)ラジオ祭りのトークショー

 

*福岡市内のライブハウスでのライブ&トークショー



*住吉大社(福岡)能楽殿での独立講演会




▼この地味ブログを訪ねてくださる、みなさん。
 いま大阪で、まもなく「水曜アンカー」の生放送に臨みます。きょうは「靖国」です。
 福岡で初めての独立講演会を開いて、もう3日目です。

 10月19日の土曜、早朝に東京を出発しました。正直、この時点で疲労感はとても強かった。
 ぼくが共同通信を去って三菱総研に転じたのが、平成10年、皇紀2658年、西暦1998年(皇紀は偏った考え方のカレンダーではなく、深い文化の香る、わたしたちのオリジナル・カレンダーです)の1月1日付のことでした。
 この前日の前年12月31日までは、およそ19年のあいだ共同通信社の記者だったわけですが、過酷なまでに多忙な記者生活ではあっても、休みはありました。共同通信は、たとえば総理官邸でも外務省でも、他社に比べていちばん記者の人数が多く、交代で休むことができたからです。
 しかし、三菱総研の研究員になった瞬間、代わりを務めてくれるひとがいなくなりました。研究員としてのぼくの担務は、外交・安全保障から金融・経済までを包摂する国家戦略の立案で、それは当時の三菱総研としては初めての試みでしたから、要は、ぼくひとりだったわけです。
 その三菱総研を4年3か月で去って、独研(独立総合研究所)をみんなと創立し、代表取締役社長・兼・首席研究員となりました。
 この役割も、代わりはいません。

 したがって、平成10年の元旦から今日まで、大晦日やまさしくお正月も、15年と11か月近く、1日も休んでいません。
 どちらかと言えば、体力はあります。しかし、いわば物理的な体力だけではなく、精神の疲労もさすがに重なります。

 ストレスは、共同通信の記者時代と、どちらかが強いか。
 現在は「上司」というひとが居ません。だから、にんげんというものに深い哀しみを感じるほど卑劣な嫌がらせや、信じがたい真っ赤な嘘八百にもとづく中傷がこれほどあってもなお、今の方がストレスは小さいのです。
 ぼくの父は、67歳で繊維会社の現役社長のまま、医療過誤で死にました。その父は、ぼくが26歳の遅すぎる新卒(親が止めるのを振り切って慶應義塾大学を中退し、早稲田大学を受け直して入り、卒業したとき26歳になっていました…)として共同通信に内定したとき、「自分の力だけでよく苦境を突破した」と喜んでくれる一方で、「おまえは本当は、上司の居る世界じゃなくて、ただおのれの信ずるところに従ってやれる世界で仕事するべきだよ」と言っていました。
 それは慧眼(けいがん)だったと、いま、思います。

 しかし、それでもなお、ここまで瞬時も心身を休めないような生活を続けると、尋常な疲れではなくなってきました。


▼さて、その状態で、午前中に福岡市内の海辺に近い、RKB毎日放送の「ラジオ祭り」の会場に着きました。
 ラジオ局が立派なお弁当を用意してくれていたのですが、疲労感で、ほとんど食べられません。
 同行した青山千春博士は、いつものようにパクパク食べています。青山千春博士も、その任務を果たすために無理の上に無理を重ねているので、その様子には、内心でとても安心しました。

 そして午後1時、RKB毎日放送の人気キャスター、中西一清さんとのトークショーが始まりました。
 その瞬間、心身の疲労はどこかへ飛んでしまったのです。
 あまりに沢山の申し込みがあったので、入場券の抽選が終わったあとも断るのにラジオ局は苦労なさったそうですが、集まられたリスナー、国民のかたがたの眼の輝きが素晴らしくて、ほんとうに、疲れが吹き飛びました。

 あっという間に、1時間半以上が過ぎて、終了時間が来てしまい、そのあと、ご希望の方すべてに「ぼくらの祖国」(扶桑社)、「希望の現場 メタンハイドレート」、「海と女とメタンハイドレート」(ともにワニブックス)に、青山千春博士とともに、魂を込めてサインしました。


▼そして、東京から持参していたギターを手に、ライブハウスへ。
 まずは、独研(独立総合研究所)の会員制クラブ「インディペンデント・クラブ」(IDC)の会員の中にたまたまいらっしゃる、プロのミュージシャンふたり、ギタリストの「しもやん」、そしてベーシストの「さっちん」と最後の音合わせです。

 と言っても、それまでに、ただの2回しか練習したことがない。
 それも直前の1回は、ぼくの疲労が深すぎて、ほとんど声が出ないだけではなく、まったくと言って良いほど音程が取れなかったのです。
 人間がここまで疲れると音が取れない、という事実を初めて知りました。

 さっちんは「いや、青山さんは本番になると必ず、声も出るし、音も取れる」と繰り返し言ってくれていました。
 しかしぼく自身は、まず声帯が、マイクを使わずに地声で広い会場のみなさんと対話を重ねたりしてきた講演会のために、深刻な炎症を起こしていて、専門医に通って薬を飲んでも、ちっとも治らないのです。

 不安は、まだありました。
 ぼくは「王道の日本、覇道の中国、火道の米国」(PHP)のなかで、以下のようなことを記しています。
 かつて、ギターの弾き語りをしていた頃、「知床旅情」という国民歌も唄っていました。
 ところが、その歌詞のなかに国後島に白夜があるという真っ赤な嘘が含まれ、まるで国後島が遙か遠い別世界の島であるかのように日本国民に誤解させる内容だと、北海道を訪れてみて分かり、おのれを恥じて、名工の手になるギターを封印して、しまい込みました。

 つまり、それ以来ずーっと、長いあいだギターも弾いていないし、人前で唄ってもいなかったのです。
 ところが、ヤマヒロさん(いまはフリーの名キャスター。元は「水曜アンカー」のキャスター)と一緒に京都のライブハウスでトークショーをやることになり、ライブハウス側から「音楽もやらないと、ここは使えません」と言われて話が壊れそうになったのです。
「じゃ、いっそ、弾き語りを復活させよう」とぼくが言って、その封印を解きました。
 しかし、練習たった1回でのライブになりました。
 ライブハウスのオーナーの「悲惨なことになる」という予想を、幸い、裏切って、どうにか成功はしたけど、その次のライブは、遂に練習なし。
 だから今回3度目のライブも、練習はすべて通算しても3回、今回のメンバーとは練習2回で、そのうち1回は疲労で練習にならなかったという実情でした。

 しかし…自分であまり書くわけにいかないけど、おのれでも、すこしびっくりするぐらい声は当日、出ました。
 客観的にいって、まずまず成功したライブになったと思います。
 これも、聴衆のみんなの眼の輝きのおかげです。ぼくは社交辞令を言いません。
 夕方6時から夜9時まで、曲は5曲に、アンコール1曲を演奏し、そのあと会場から質問に答えていくトークショーでした。
 全国から集まってくださったIDC会員のみなさんと、気持ちは通じ合いました。

 このメンバーで、バンドを続けていき、これからはオリジナル曲もやり、いつかCDを出し、そしてIDC会員以外も来ていただけるライブも…なんちって、ですが…やろうかなぁという楽しい話になりました。


▼そして翌日、10月20日の日曜に、福岡市内の「筑前國一之宮・住吉神社」にある伝統の能楽殿で、東京・関西以外では初開催の独立講演会を開きました。
 この独立講演会は、ふだんの講演会では絶対できないこと、ひとつは時間無制限(お聴きになるかたの健康を考えて今は原則4時間半)、もうひとつは森羅万象について、ありとあらゆる質問を長時間、受けていく、これらを実行している講演会です。

 午後2時から、5時間近くを、みなさんと一緒に過ごしました。
 やっぱり、みんなの眼と熱意に励まされて、疲労はどっかへ吹き飛んでいます。
 そして、質問を受けるまえに、久しぶりに硫黄島の英霊のことをじっくり話しました。
 九州の地では記念すべき第1回の独立講演会でしたから。

 能楽殿の座敷は、5時間に近くなるような長時間の催しを聴くには、向いていなくて、参加された方々はたいへんだったと思います。
 だけど、ここでも気持ち、魂はお互いに通じ合ったことを、しっかりと実感しました。
 なんと北海道から鹿児島まで、そしてホノルルからも、予想を超える沢山のかたがたが来てくださいました。


▼さて、次回の独立講演会は、東京に戻っての開催です。
 今度もまた、とっくに受付は始まってしまっています。ごめんなさい。
 開催地は、今後も、名古屋など他地域を検討していきます。
 まずはふたたび、東京で会いましょう!

 独研の公式HPにある参加要領(ここです)を以下に抜粋します。

第23回 独立講演会@東京 (2013年11月23日 : お申込みの受付を開始しました)

【講演日】
2013年11月23日(土・祝)

【講演時間】
開場:13時05分
開演:14時00分 ~ 18時30分 予定

【講演内容】
「硫黄島の英霊の現在とこれから」
※これに限らず、柔軟にお話しします。

【場所】
日本科学未来館 みらいCANホール(7階)

135-0064 東京都江東区青海2-3-6
TEL:03-3570-9151
新交通ゆりかもめ 「船の科学館駅」下車、徒歩約5分/「テレコムセンター駅」下車、徒歩約4分
東京臨海高速鉄道りんかい線 「東京テレポート駅」下車、徒歩約15分
詳細は、こちらへ。

※青山繁晴からの補足 座席が広くなくて長身のかたはたいへんなようなので事務局で工夫することを考えています。

【受講料】
一般 5000円 / IDC会員 4000円

【定員】
300名
※定員を超えた場合、抽選となる場合もございますのでご了承ください。

【申込期間】
2013年10月21日(月)正午~ 2013年10月30日(水)正午 
※申込期間内のみ、申し込みを受付致します。

【申込方法】
「申込フォーム」ボタン(ここです)をクリックし、リンク先のページよりお申込みください。

※独研ホームページからのお申し込みに限り受付けます。

【抽選結果通知】
当選・落選発表は、10月30日(水)申込締切り以降、メールにてご連絡致します。

【禁止事項】
※参加資格の譲渡
※講演の撮影・録音・録画
※講演中のパソコンの使用
※事前にお申込をされていない方の入場
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