2021-06-12 18:29:35
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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日本のカラクリ
▼新動画の「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」を始めてから、ぼくが質問に立った国会審議は、なるべくこの動画サイトに上げるようにしています。
国会審議は、参議院の公式ホームページでも視ることができます。
また、ほんとうに残念ながら、国会審議への関心はそう強くありません。
だからアクセスはさほど増えないかもしれません。
しかし、それは関係が無いです。
▼5年まえ、選挙戦の最中に考えていたことのひとつは、もしも当選したら、主権者のみなさんに、どのように国会や政党の実際の姿をお見せするかということでした。
政治記者だった頃から「国民、主権者に、日本のまつりごとの本当の姿が伝わっていない」と痛感していたからです。
それは、おのれ自身の仕事、共同通信社政治部の記者としての仕事に対する、辛い自戒を込めた考えでした。
オールドメディアはあれほど、政治報道をやっているように見えて、実は、ほとんど何も伝えていません。
関心があるのは、ほぼ、政治家のスキャンダルだけです。
何かすこしでもスキャンダラスなことがあれば、全社、もの凄い記者とカメラマンが殺到します。
一方で、たとえば経済産業委員会で審議のたびに与野党を問わず、取り組んでいる政策論議は、まったくオールドメディアの関心の外です。
記者ひとり、やってきません。取材が何もありません。インプット ( 取材 ) がありませんから、アウトプット ( 報道 ) ももちろん皆無です。
みなさんが、大いなる疑問を持ちながら受信料を払っているNHKも、基本は同じです。NHKは公共放送を自称しているから、そこは真面目に、国会の各委員会を日々、ウオッチして政策を報道する ?
とんでもありません。コマーシャルによって成り立っている民放と変わるところはありません。
参議院には、「常任委員会」として、内閣、総務、法務、外交防衛、財政金融、文教科学、厚生労働、農林水産、経済産業、国土交通、環境、国家基本政策、行政監視、議院運営、懲罰の各委員会があり、特別な存在である予算、決算の両委員会を加えて17の委員会があります。
この常任委員会に加えて、特別委員会と調査会というカテゴリーがあります。
例示のために申せば、ぼくの場合は、今、ODA ( 政府開発援助 ) 特別委員会の委員・兼・理事ですし、かつては資源エネルギー調査会に属して活発に質問していました。
こういう場で、与野党を問わず、地道に政策論議をしています。
▼いま「与野党を問わず」と書きましたね。
鋭い人は、お気づきになったでしょう。
そうです。
野党も、たとえば、動画をアップした経済産業委員会では、極めて真摯に政策論議を交わします・
ただし、何か大きなスキャンダルがあると、きっと党の指令でしょう。「質問の前に、お聴きします」と前置きして、そのスキャンダルを、経産大臣に何の関係もなくても、聴きます。
もしも経産大臣が、そのスキャンダルを引き起こした政治家を擁護するような『問題発言』でもしてくれたら、めっけものという気配がありありです。
ただしこれはぼくの個人的見解です。野党には野党の論理があります。
そして、その時だけ、非常に正確にテレビカメラと記者がやって来ます。
事前の連絡があったのはバレバレです。
ぼくは19年近く、共同通信の記者でした。メディアの手の内は、ありありと分かります。
そして前述の予算委員会は、他の委員会とは違って、常にテレビカメラが居ることも多い。
NHKが生中継する日は、各党に大々的に「テレビ入り」と知らされます。
したがって、野党質問はスキャンダル追及のオンパレードになり、大々的に報道され、政策論議は吹っ飛び、予算委員会なのに予算の中身が堂々と論議されることは、まことに珍しい。
これが日本のカラクリ、そのひとつなのです。
▼これは、ドラマや映画の政治家は必ず、料亭で密談し、たとえば大人気サスペンスの「相棒」では現役の官房長官が人殺しの相談を料亭でしたりすることと直結しています。
そしてドラマや映画の政治家はまた必ず、この料亭で汚い大金を受け取るわけです。
賄賂を受け取る政治家は実際にいます。現在も、裁判が進行中です。
しかし全員でしょうか ?
たとえば、不肖ぼくが政治献金を一切、受け取らず、政治資金集めパーティも開かないことは、1行の記事にも、1分の放送にも、なりません。
それでいて、ぼくをも、じっと狙っています。何かあったときだけは、突然、大々的に報じるために。
▼こうしたことは、かつては批評するだけでした。
記者を辞めたあと、外から論じていました。
しかし今は、内部から、みずから、国会で問うべき質問をし、みずからの動画にアップして、主権者のみなさんに直に、お伝えすることができます。
それがここです。
▼いま、無事にアップされていることを確かめるために、その動画を視てみると、質問をしているぼくの背後に、テレビカメラが来ていますね。
質疑に集中していたので、まったく気づきませんでした。
ぼくの秘書さんが撮ってくれた写真をも、見てみると、それにもバッチリ映っています。
冒頭の写真がそれですね。
このカメラは、ぼくの政策提言の質問に関心があるデスクから「行け」と言われてやって来た・・・残念ながら、その可能性はおそらくゼロです。
なぜなら、質疑の内容に関心があるのなら、ぼくの質問ぶりを映します。しかしカメラはぼくの背後に居て、政府側の答弁席だけを狙っています。
また、質疑の内容の取材なら、質問の冒頭から最後まで居るのが基本です。しかし、居たのは質疑のごく一部だけです。
以上の理由から、政策論議の取材とは考えにくいです。
では何のため ?
おそらくは。政府側の誰か、大臣か、あるいは芸能人と結婚された行政官 ( 官僚 ) も答弁席にいらっしゃいましたから、そのあたりかも知れません。
ただし、これはぼくの推測です。
ぼくの政策論議を取材するために来ていたのなら、テレビ局のかた、いくらでも言ってきてください。必要なら、きちんと訂正します。
▼言うまでもなく、報道は自由です。この自由は、民主主義の生命線のひとつです。
そのうえで、ぼくがこのエントリーで提起しているのは、「主権者のまつりごとへの良き関心を支える、勇気づけるのが、本来の報道の役割でしょう」ということです。
スキャンダルを起こしたら、その責任は重大です。これもまた、言うまでもありません。
しかし、スキャンダルへの好奇心を掻き立てることが報道の自由の主目的でしょうか。
▼そして、そうした報道ぶりは、メディアみずからの首を絞めつつあります。
かねてから言われてきたことではありますが、それが加速して、重大な段階に至っていることを、ぼくの長年の知友も含めて、メディアは分かっていないと思えます。
だからこそ、警告を込めて、オールドメディアと呼んでいるのです。
大坂なおみ選手の一件は、『テニス選手からファンへのメッセージは、既存のメディアに依る必要がもはや無いのでは ? 』という問題提起も含まれていることに気づいている人は、実は少なくないだろうと考えます。
ね ? みなさん。
良き週末を過ごしてください。
主権者には、ゆっくり考える時間が必要です。
カメラマンも記者も、主権者です。もしもこの週末、そう忙しくない人がいるのなら、人知れず、考えてみてくれませんか ?