On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2022-03-05 03:38:45
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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(ひとこと書き加えました)  ザポロジエ原発の安全が確保されているとはまったく考えていません

▼ウィーンのIAEA ( 国際原子力機関 ) も、無理のないこととして、現場に入ることが到底できないので、情況を把握できているとは言えません。

▼いたずらに不安を掻き立てることは、決して致しません。
 同時に、理由なく「安心してください」と主権者・国民に伝えるのも、根本的な信頼関係が喪われます。

 現状は、「原子炉建屋は無事で、放射性物質の環境への漏洩はない」と、IAEAやウクライナ当局は言明している、一方で、攻撃したロシアはあろうことか「ウクライナが攻撃した」という趣旨を言い張っているということ、またプーチン大統領はみずからの不安と野望のためには、核テロをも命ずることのできる独裁者である、これだけです。

▼ただ、昨日のこのエントリーで記しましたように、原子力発電所の広い敷地は、バイタルエリアと呼ばれる枢要な区域と、事務棟などの区域があります。事務棟が破壊されても、放射性物質が漏洩する訳ではありません。
 また放射性物質が閉じ込められているのは、あくまでも原子炉の中であり、たとえばタービン建屋は違います。

 ぼくの専門家としての分野は、外交、安全保障・防衛、資源エネルギー、そして国家危機管理です。
 国家危機管理については、特に、被害が出れば甚大である原子力発電所のテロ対策に注力し、民間時代からずっと携わってちょうど25年目です。
 諸国の原子力発電所を数多く、実際に回ってきました。費用を自弁し、いかなる癒着関係もなく、公平な信頼関係をつくって、バイタルエリアを含む入構許可を得ます。
 そして機密の壁も越え、原子力発電所の最深部にまで、すなわち非公開のカウンター・テロリズム ( テロへの対抗策 ) の施設にも、その国の当局者や軍人と共に入り、現場でつぶさに点検し、本音で議論することを重ねてきました。
 ぼくの知る限り、ありのままに申して、他にこういう人は居ません。

 その立場からして、ザポロジエ原発の現状が安心できるとはとても、とても言えません。
 放射性物質の漏洩があれば、偏西風にも乗って、攻撃をしたロシアも通り、日本列島に届く可能性も考慮せねばなりません。
 日本政府には備えが必要ですから、ぼく自身も努力します。
 一方で、原子炉の中の放射性物質は、人体に害が深刻なものほど重いということが、あくまでおおまかにはですが、言えます。
 日本にまで届く放射性物質が今後もしもあったとしても、そのような重金属が届く可能性が小さいということは、一般的には、言えると考えます。

▼きのう予算委員会が終わった直後から、懸命に、機密情報を含めて情報の収集に努めてきました。
 身体はひとつ、ほかの仕事と同時並行です。
 また、いまは現場に向かうことができませんから、隔靴掻痒 ( かっかそうよう ) そのものですが、今朝の段階で、日本の主権者・国民にお伝えできることは、とりあえずここまでです。
 過剰な不安には陥らず、かつ、まずはこゝろの備えを固めてくださるよう、伏してお願いします。
 ぼくはどこまでも一緒に戦います。





 
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