On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2022-07-24 23:55:01
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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安倍さんを奪い去ったテロリズムに負けない、新しい簡素なサイン会



▼ノンフィクションの最新刊「ぼくらの選択」 ( 雄志篇虎穴篇天命篇の全3巻 ) のサイン会を、7月24日の日曜に、京都アバンティブックセンターで行いました。

 ふつう、サイン会にはラフな格好で行くのです。
 しかし、あの事件から16日目、まだどうしてもその気になれず、初めて黒いスーツでサイン会に臨みました。

 この書店は、冒頭にミニ講演をするような場所はありません。
 マイクもないです。当然ですね。
 それでも、みなさんの気持ちを考え、出ない声をなんとか出して、すこし話しました。


( 背後の看板なので気づきませんでしたが、書名が違いますね。「僕らの選択」ではなく「ぼくらの選択」です )

▼今回の特徴のひとつは、多様な世代が参加されていたことでした。
 若い人も多かったです。
 写真は、日本の志ある少女と話しながら、その少女のお名前を大きく書いているところです。

 将来の夢を聞くと、「弁護士になる」と明言する少女、「小学校の先生」と即座に応える小学校低学年の女の子、みんな気持ちのよい答えぶりでした。素晴らしかったです。
 少年も、それぞれの夢を楽しく教えてくれました。

▼ところで、写真右に立つスーツ姿は、「ぼくらの選択」の元になったエッセイ「澄哲録片片」 ( ちょうてつろく・へんぺん ) を月刊Hanadaに連載していたときの担当編集者、沼尻さんです。
 このサイン会のために、東京からわざわざ来てくれたのです。

 出版社は、ある程度の規模より大きくなると、月刊誌の連載担当と、単行本の発行担当 ( 書籍担当 ) では、編集者の部署が違います。
 サイン会は単行本が対象ですから、ふつうは、その出版社の書籍担当のみなさんだけが来られます。
 写真で言うと、左にいらっしゃる白いワイシャツの工藤さんたちですね。

 本になる前の段階、つまり月刊誌に連載していた時の編集者が来てくれるのは、とても珍しいです。
 この良心的な編集者に支えられて、国会議員の任務に力を尽くしつつ何とか連載を続けられていたわけです。
 ぼくも苦しかったですが、沼尻さんもさぞ苦しかっただろうと思います。

 そして本にするとき、長い連載原稿のすべてを一字一句に至るまで、見直し、書き直して、この全3巻の単行本へと生まれ変わらせたわけです。
 これも議員の任務と同時進行ですから、ふと、無事に完遂したのが夢のようにも思います。



▼感染症対策のために、本は1冊に限定し、一緒に写真を撮ることもない、異例のサイン会となりました。
 しかし、愉しく言葉を交わすという、いつもの大切なことだけは変えないようにしました。マスク越し、クリアガード越しでも、たがいに伝わるものは伝わります。

▼そして、この簡素化したサイン会は、前回の八重洲ブックセンターに続き、何とも言えない爽やかさがあります。

 東京から京都に向かう新幹線のなかでは、東海道のよい天気とは裏腹に、モバイルパソコンにやって来る、あまりに理不尽なコメントにつくづく嫌気が差していました。
 その胸の奥に、サイン会の読者が明るい風を通してくれました。

 集まってくださったみなさん、おひとりおひとりに、あらためて敬意と感謝を捧げます。

▼京都に続き、大阪でもサイン会を模索しましたが、実は「青山さんは今、国会議員なのでテロから守れない」という理由で、ある書店から断られたのです。
 そうですか。
 では、テロに負けていますね。

 その書店には、いい思い出があります。
 民間専門家・兼・作家として本を出し、サイン会を開き、ふと顔を上げたら、共同通信京都支局の布引さんというデスクが並んでおられました。
 事件記者のときを中心に、ぼくを育ててくださった名デスクです。
 布引さんは涙ぐんで、出版を喜んでくださいました。

 その素晴らしい場所が「国会議員はテロに遭いそうだから困る」と、サイン会を開けない場所に変わっている。
 これが、たった今の時代であり、たった今のぼくの立場です。
「議員の特権ほしさに、2期目の選挙に出た」と、これもまた理不尽に呪うコメントが来ます。
 特権どころか、議員となっているために喪ったものばかりです。
 しかし国を喪うわけにいきません。
 だから、議員を続けています。

 サイン会でお逢いした、日本の少年少女、日本のお父さん、お母さん、お祖父さん、お祖母さん、それから働いている若いみんな、中堅の世代、ベテランのみなさん。
 これからも、いやテロに襲われたこれからこそ、恐れず、たゆまず、連帯を深めていきましょう。
 この暮夜に、そう考え、あらためて決意しています。

 編集者には、神戸でのサイン会を模索していただくよう、お願いしました。
 考えてみれば、生まれ故郷の神戸では、一度もサイン会を開いていないのです。
 実現するかどうかは、みなさんの声次第かも知れません。

 さて、明けて月曜は、23年のあいだ続けている、まさしくテロ対策のための水面下会合があります。
 そのまえには「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」の収録も行います。
 会員制レポートの東京コンフィデンシャル・レポート(TCR)の次号(第1281号)、「暗殺をめぐって その2」の執筆も同時進行です。
 選挙が終わっても休みはありませぬ。
 これも、議員という仕事の特徴です。国家の任務には休みがないからですね。





 
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