On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2023-02-15 00:08:52
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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日本の国会の「普通」に染まらない  染まらないだけではなく、ささやかな行動で問題提起する  そのちいさき例



▼「ブログを再開します」と言いながら、なかなか書き込めません。
 理由は、ふたつです。

▽ひとつは、手がけている課題が多く、時間は、物理的に1日24時間しか無いからです。
 その課題は、取り組んでも取り組んでも、未解決のものが多いですね。
 みなさんの日々の努力や苦しみとまったく同じです。

 未解決課題はたとえば、安倍元総理の暗殺事件の究明です。あるいは、日本の国土が、独裁主義と覇権主義の中国をはじめとする外国に蹂躙されることです。

 いま仮に、二例だけを挙げましたが、1月5日から22日の海外出張の成果を見ても、核セキュリティを軸としつつ国家安全保障に広くかかわるために、政府の各部門に落とし込むには、見えざるところで時間を惜しまないことが必要です。
 すべて自主、自費にて実行した出張でしたが、成果は1ミリ残らず、政府に提供します。しかし提供と言っても、ぼんやりと官僚機構に渡すだけでは、国家と国民の役には立ちません。
 官僚・行政官には「新しい仕事を持ち込まないで欲しい」という傾向があります。それは日本の官僚・行政官に限りません。むしろ世界共通の、よくある傾向です。
 だから、丁寧に、謙虚に、かつ強靱に、官僚・行政官と話し合うことが欠かせません。 

▽もうひとつは、発信というものの持つ、現代的な宿命です。
 発信しないと、日本の主人公であるみなさんに、伝えるべきが何も伝わりません。
 しかし、中途半端に発信すると、まさかと思うような誤解を生みます。

 誤解は、実は、避けられません。これも世の常です。
 曲解され、報われないことを前提にしないと、仕事はできませぬ。
 そのうえで、主権者の不利益になるような種類の誤解はなるべく生じないように努力しないといけません。
 すると、この地味なブログであっても、丁寧に意を尽くそうとしますから、どのエントリーもなかなか完成せず、アップに至りません。

 書きかけのままになっている未完のエントリーが、50本を超えているのが実状です。
 それは、この無条件公開のブログだけのことではないのです。
 厳しい限定条件のもとで水面下情報を、志ある会員に提供している東京コンフィデンシャル・レポート ( TCR ) にしても、未完のレポートが40本ほど溜まっています。

 半端な完成度で発信すると、その発信を受け取るひとに、良くない。
 完成度を高めてから発信しようとすると、なかなか発信できない。
 この二律背反ですね。

▽上記のふたつは、別段、ぼくにだけ起きることでは無く、多くのひとに起きていると考えます。
 仕事でも私生活でも、「未解決の課題ばかり多くて、時間が無い」と苦悩されるひとは、どんなにか多いでしょうか。
 また、現代はインターネットの発達もあり、発信なさるひとも爆発的に増えています。
 その発信に、ぼくと同じ二律背反を抱えているひとも、きっと少なくないでしょう。

 したがって、何も特別なことがぼくに起きているのではありませんから、解決策も、肩肘張らずに淡々とやるべきだと考えています。
 ・・・というわけで、大した解決策ではありませんが、とりあえず発信については、小刻みに切り分けていくしかないかなと思います。

▼まずは、過ぎ去ったばかりの昨日、2月14日火曜の公務について、そのひとこまだけを報告しておきます。
 冒頭の写真は、アイルランドから下院議長閣下をはじめ国会代表団をお迎えした場で、発言しているところを、鬼木誠・護る会 ( 日本の尊厳と国益を護る会 ) 副代表が知らないあいだに撮ってくれました。



▼こうした場には、通訳のかたが何人も配置されていて、日本の国会議員は日本語で発言し、それを通訳さんに英語に訳してもらい、アイルランドの国会議員の英語の発言も日本語に訳してもらって聴く、それが、日本の国会の「普通」なのです。
 主権者のなかには「信じがたいな」と仰るかたもいるでしょうが、これはぼくが国会議員になって直面した現実のひとつです。
 経済記者や政治記者の時代には、ここまで赤裸々に分かりませんでした。
 なぜか。
 記者は、冒頭取材だけで、会談の現場から出されてしまうからです

 通訳さん経由では、ただでさえ議論の時間が足りないのに、もっと足りなくなります。
 外国から長時間をかけて訪ねてきてくださった賓客と、心も通じにくくなります。
 にんげんは、話しかける相手の眼を見ますから、外国の賓客は通訳さんの眼を見て、話すことになりがちです。

▼ところが日本の国会では、「仮に外国語を話せても、日本語で質問し会話するのが、場の空気であって、それを読め」という雰囲気が確実にあります。

 暗殺された安倍さんは、サミットで成果を挙げられる総理でした。
 サミットといえども、メインの会議では、各国の首脳とも官僚の用意したメモ ( 発言要領 ) を読みあげる議論が主になる、それは珍しくありません。
 ほんとうの勝負どころは、コーヒー・ブレイクや、会場を移動する際に首脳同士が歩きながら何気なく交わす会話です。
 その会話は当然、国際共通語である英語でおこなわれます。

 きのう、議員会館の青山繁晴事務所に、都内の高校から17歳の日本女子4人が「基地問題で質問したい。勉強したい」とお出でになりました。
 先日は、京都の男子高校生ふたりと、「積極財政か、緊縮財政か」について議論しました。
 日本の若い人には、こんな志ある高校生もいるのです。

 17歳の4人には、なぜ英語が国際共通語になっているかについて、問いました。
 ひとりがちゃんと「アメリカが強い国だから」と答えました。その通り、答えのひとつはそうですね。
 そして、もうひとつ、あります。
 それは英語が、世界の言語のなかでは、取り組みやすい言葉だからです。
 ネイティヴ ( 母国語 ) ではない言葉に取り組むとき、日本語の難しさは言うに及ばず、他の主要国の言語も、名詞に性別があったり、構文が複雑だったり、敬語も多様だったり大変ですが、英語はかなりシンプルな言葉です。
 
 話を戻すと、安倍さんはこの英語を使って、サミットのコーヒー・ブレイクや、立ち話、歩きながらの話を上手に活かせる総理でした。
 ところが、日本の国会の超党派の会合にアメリカの要人を迎えたとき、ぼくが英語で直に質問すると、その安倍さんの表情に「青山さん、それをやると、空気を読めないと思われるよ」という雰囲気が表れました。
 安倍総理 ( 当時 ) との友情を言うのは、まことに僭越ですが、それは友情から心配してくれる表情だと伝わってきました。

 ぼくは、目顔で問いかけました。
「総理、このままでは、日本は世界に取り残されます。こんな議会が、他の主要国にあるでしょうか」

▼2枚目の写真をもう一度、見てくださいますか。
 真ん中が、オファイール・アイルランド下院議長閣下です。それから、写真では右端にいらっしゃるのが、女性上院議員のカレーさん、左端が「農夫の出身です」と仰ったデイリーさんです。
 直にやり取りをしたために、短い時間でも気持ちが通じ合うところがあり、会が終わったあとに、お三方それぞれと個人的に言葉を交わし、今後も連絡を取りあう約束をしました。

 アイルランドは、英国がブレギジットでEUを去ったあと、EUで唯一の英語圏の国です。
 実はこの事実も、かつて別の会合で、当時の駐日アイルランド大使と英語でやり取りしているときに、大使が仰ったことです。
 きのうは「EU唯一の英語圏になって、どんな具体的な果実がありましたか」と問いました。
 すると「EU最高の経済成長率を達成しましたよ」という答えがありました。
 ぼくはさらに、「率直すぎる問いになることを許してくださいますか」とお尋ねしたうえで、「2019年のラグビー・ワールドカップで、日本との試合のとき、アイルランドの ANTHEM ( 応援歌 ) を家族で聴いて感激しました」と話し、さわりの部分をすこしだけ唄ってから、「アイルランドが、いかなる形でか、統合する未来を祈られていますか」と問いかけました。
 前述の3議員をはじめ、みなさんの表情が輝いて和らぎ、「そうです。それが私たちの祈りです」という答えもありました。



▼これは、おととい2月13日月曜に、自由民主党の本部で行われた、ドイツの国会議員団との討論会です。
 きのうのアイルランド議員団との懇談会は、超党派です。
 一方、ドイツとの討論会は、自由民主党の国際局が主宰し、かつ「経済安全保障の専門的な討論」を目的に開かれました。

 正直、ぼくには迷いがありました。
 ドイツは非英語圏です。と言っても、当然、国会議員はふつうに英語を話します。日本の国会の「ふつう」とは真逆です。
 実際、1月に7か国を強行軍で回ったとき、ドイツ政府も訪ねました。そのとき、核セキュリティという専門的な議論をすべて英語でおこないました。
 そこでも、ドイツ政府の担当官ふたり、うちひとりは物理学博士と、新しい友情が生まれました。

 しかし、おとといは、ドイツの政権党のSPDや、長い伝統のCDUといった政党に加えて、新しい右派とされる政党や、ぼくに「私はコミュニストです」と仰った議員の政党まで幅が広く、そこで「経済安全保障」という特定の分野を英語で通して良いものかどうか、そこを迷いました。

 そのために、英語をベースにしつつ、専門用語が出てくる部分を、ドイツ語の通訳にお任せしました。
 すると、やはり時間が無くなってしまい、ドイツの元環境大臣がドイツ語で発言なさっているときに、思わず、「大臣、時間が無くなってしまいましたから、もはや通訳を挟まずに英語で直に議論しませんか」と勝手ながら問いかけました。
 すると元環境大臣は、堰を切ったように、英語でみごとな論旨を展開されました。

▼やはり、迷うべきでは無かった、中途半端なことをすべきでは無かった、と心中秘かに反省し、きのうのアイルランド議員団との懇談では、あらためて英語で通したのでした。

 このように、愚かな迷いをまじえつつ、日本の国会の常識に染まらず、小さな、ささやかなところからも変えようとして ( 1期で気持ちよく辞めて去るはずが ) 参議院議員の2期目を預かってしまい、泥の中を這うような日々を続けています。

▼いま午前3時55分になりました。
 きょう2月15日水曜は、朝8時から、自由民主党の本部で国防部会があります。
 部会のうち、ぼくが役員を務めているのは、経済産業部会であり、国防部会には参加の義務はありません。
 しかし今日も参加します。

 ということは、朝6時ごろから、部会を充分に活かすための準備をせねばなりません。
 その国防部会のあとは、「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」の収録です。
 この発信を、丁寧にやるためには、これまでに集めた情報を整理することが不可欠です。
 
 たとえば、中国人女性が沖縄の無人島を買ったと言っている件の、詳しい中身です。
 あるいは、前述のように、安倍元総理暗殺事件をめぐる、その後の追究です。週刊文春に「疑惑の銃弾」と称する記事が出て、ぼくの名前も出てきますが、一切何の取材も問い合わせもありませんでした。
 取材なく勝手に名を出されることには、いまさら驚きません。これは日本のメディアの「ふつう」、変わらない現実です。
 しかし記事には、肝心な部分で誤謬があると考えています。情報は必ず、複数のインテリジェンスを総合するものですから、この件もそうです。

 これらを含む、少なくはない重要課題について、朝6時までに情報を統合・整理し、そのうえで、みなさんにある程度は語れる水準に達していると思うものだけを、今日の収録で、話します。
 これが、いつもの手順です。

 みなさんからは、それぞれの関心や疑問に応じて、「なぜ、これをやらないのか」という声が寄せられます。
 それは、深く、理解しています。

 そのうえで、同時進行で多層的な情報を精査し、おのれの考える水準をクリアしたものだけをみなさんに伝えるという方法論を、貫きます。
 利益やお金のためでは、無いからです。
「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」の動画は、開始から2年と7か月で、視聴は1億4600万回を超えました。しかしスポンサー料は、1円も、受け取っていません。・・・何度、申しても多くのひとには理解されません。分かってもらえていなくとも、これからも受け取りません。

 では、何のためか。
 国益と国民益のためです。
 ですから、情報を精査するのは、務めであり、情報の質を充分に高めることができているものから、公開するのも、大切なことではないでしょうか。

▼休んでくださいという声も、いただきます。
 魂から、ありがたいと思っています。

 いつも申しているとおり、ぼくは本来、怠け者です。まさか謙遜ではありませぬ。だから休みたいです。
 それに、作家として、脂の乗り切っているのを感じます。本願どおりに、国会議員として国に問題提起することを1期で終え、社会人になってから初めて自由な生活に入って、作家専業となる道はあったでしょう。

 しかし、たった3人の議員でスタートし、一度も、組織として勧誘をしたことのない新しい議員集団、護る会は、自然な志が集まって84議員となりました。
 きょうは、その護る会の重要会合も、ふたつ、入っています。 ( いずれも非公開です。護る会は、非公開と公開を明確に分けて活動しています。水面下努力の無い、まつりごと活動では、現実と格闘できません )

 高校生、国会議員、主権者のみなさん、それぞれ志を持つひとに、わずかにでも応えたいですね。






 
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