On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2023-11-03 23:18:36
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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ひとりと万人  万人とひとり



▼今週10月31日水曜の朝8時に、自由民主党本部で開かれた「政調全体会議」です。
「国民の過半数から評価されていない」とされる総合経済対策をめぐる全体会議の第2回目です。

 国会議員の大半は議員宿舎に住んでいて、歩いて党本部や国会議事堂に来ることができます。近いです。
 わたしは議員になる前から、都内の自宅に住んでいます。
「都内に自宅のある人は、議員宿舎に入れない。どんな事情があっても、駄目」というのがルールで、当然ながらそのルールを守りますから、わたしは便利な議員宿舎に住むことができません。
 したがって党本部や国会議事堂に来るのに、かなりの時間が掛かります。

 ほかの議員よりかなり早い朝に自宅を出ているわけですが、それでも写真のように、もうこんなに一杯になっています。
 朝は4時には仕事を始めていますが、時差のある海外の相手と情報交換や議論を毎朝、自宅でしているので、現在より早い時間に出ることは出来ません。

 写真は、まだ会議が始まる前なのです。午前7時台です。
 8時ちょうどに会議が始まって、発言機会を求めて挙手をすると、司会役の議員が、まず各部会の部会長に発言を許します。そういう決まりです。
 わたしは経済産業部会の部会長代理ですから、その権利はありません。
 部会は国政の全分野にわたって存在していますから、たくさんの部会長の発言が終わるまでに、かなりの時間が経過します。
 それが終わると、司会役の議員が、前から順に当てていきます。
 わたしは、写真のような机の席に座ることができなくて、うしろに臨時に並べられた椅子に座っていますから、当たるまでにたいへん時間が掛かります。

▼前回で言うと、当たるまでに3時間とすこし、掛かりました。
 8時に始まった会議に座り続けて、発言は午前11時過ぎです。
 しかし・・・そのために、他の議員の意見をじっくり聴くことができます

▼今回の会議では、「防衛力強化のために安定財源が必要であり、そのためには増税が不可欠なのに、その前に減税するのはおかしい」という意見が出ました。
 わたしは、そのずっと後に発言機会が来たときに、こう申しました。

「先ほど、安定財源のために増税という意見が出ました。国民、庶民の懐を安定財源と言うのをやめませんか。庶民の懐は安定していません。武漢熱の収束傾向による物価高に、賃上げが追いついていないだけではなく、仕事を喪い賃金がなくなった人も居るのです。総理が事実上、指示をなさった所得減税よりも、今いちばん必要なのは消費減税です。消費税は、事務的手続きを要するという課題に対応しつつ税率変更を柔軟に出来るものであることは、欧州の付加価値税で実証済みです。消費減税をタブーにするかのようなまつりごと ( 政 ) であってはいけません」

▼このブログには、「このところの動画は岸田総理の批判ばかりだ。総理への誹謗中傷を助長する。たまには褒めるところを見たい」という趣旨を丁寧に、誠実に仰る書き込みもあれば、「岸田総理と自民党を庇 ( かば ) うのか」という趣旨で激烈に非難なさる書き込みも来ます。
 また、たとえばライドシェアについて「料金を上げずに、息も絶え絶えのように辛うじて営業してきた私たちを、致命的に追い詰める。なぜ阻止してくれないのか」との趣旨を仰る個人タクシーの運転手さんからの書き込みもあれば、「タクシー料金が高くて使えない。青山さんは領収書を取らずにタクシーに乗ることがありますか。ライドシェア大賛成」との趣旨を仰る書き込みもあります。

 国会議員の仕事をするとは、こうして両方から責められることです。
 それは洋の東西を問いません。当たり前のことです。基本のキです。
 したがって、そのうえで最善を模索する以外にありませぬ。

 ちなみに、領収書を取らずに、つまりどこかに精算してもらうことがなく自分で負担してタクシーに乗ることは、あります。これはまた別の意味で当たり前ではないでしょうか。国会議員なら必ず特権、あるいは特権のようなものに守られていると思われるのでしょうか。わたしが特権に浸っていると、ほんとうに、思われますか ?

▼こうしたなか、淡々と、めげずに、「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」の発信を続けています。
 最高裁が、LGBT法に影響されたとわたしが考える、困った判決を出した問題を、ここ ( 第620回放送 ) で考えています。
 上述の、意見が割れるライドシェアを、ここ ( 第621回放送 ) であえて論じています。

 岸田総理は、ライドシェアを進める方向を、いつもの半端な表現ではありますが所信表明で打ち出されています。
 その前提となるはずの徹底的なシミュレーション ( 防犯、安全確保・事故防止、地域の特性などなど多様です )と制度設計 ( 資格審査、2種免許との問題、車両整備体制、緊急対処網などなどこれも多様です ) の提起、国民各層からの意見聴取をいずれも欠いたままの表明には、賛成できません。
 離島や過疎の地域では、この動画 ( 同じ第621回放送 ) でも述べているように、ライドシェアとは呼ばずに、地域限定で人の絆を活かし自家用車を活用することをとっくに実行しています。それの充実は支持しています。

▼それにしても、つくづく人生は壊れました。
 安らぎは一瞬もありませぬ。書きたい小説を書く時間も、ありませぬ。
 しかし、責任をますます痛感する日々なので、もっともっとみずから壊す方向を新書で、逃げ隠れなく明示しました。
「戦 TELLーALL BOOK」です。

 発刊前に重版となり、発刊からわずかな間に4刷となりました。
 しかし同時に、早くも、読まれなくなってしまっていると感じています。
 国会議員となってからの、ぼくの本の特徴ですね。あっという間に、読まれなくなります。
 それは、読者の層が薄くなっているからです。
 民間の専門家時代に書いた「ぼくらの祖国」が息長く読まれ続け、ロングセラーとなって22刷を数えたのとは対照的です。

 これも日本社会における国会議員の宿命です。作家の本として読んでくださるひとは少数派で、多くのひとは「何だ、政治家の本か」という反応です。
 しかし、それも覚悟の上でみずから決断して議員となったのですから、より徹底的に人生を壊す、いや、もともとおのれの人生を第一にはまったく考えていなかったのですから、ほんらいの方向として、「戦 TELLーALL BOOK」で示したままに進みます。





 
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