On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2025-05-05 22:32:45
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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【推敲しました】  現場の驚くべき新証言



▼ちょっと不思議な写真は、アメリカ国防総省のDPAA ( 戦争捕虜・行方不明者調査局 ) の内部です。
 この中庭を囲んで、研究室が並んでいます。
 研究室のなかには、ご遺骨が解剖台のような上に全身を再現して置かれています。

 割られた頭蓋骨、いまなお太く全身を支える背骨、大切な肺や心臓を守る左右の肋骨、そして腰の骨、足の骨、手足の指先まで、たいへんな労苦で発掘され、分類され、身元を特定されつつあるお姿です。
 それらは写真を撮ることができません。

 この中庭には、ちょっと見では分からない十字架が、組み込まれています。
 ご遺族がお見えになる庭でもあります。
 日本には、残念ながら、こうした政府施設はありません。

▼不肖わたしは、たくさんの悲惨な現場を見てきました。
 もしもそうでなければ、この膨大な数の戦争犠牲者の全身骨格を見て、夜は悪夢にうなされたでしょう。
 これまでの経験と同じように、わたしの魂の奥に、このお姿をひとつひとつ丁寧に埋め込みました。
 国籍を超えた祈りを捧げつつ。

▼案内してくださったのは、DPAAのジョン・バード博士 ( DPAA研究部長 ) です。
 静かな眼をした専門家です。

 バード博士と、予定時間をはるかに超えた長時間、通訳を挟まずに直に議論した結果、重大な現場証言を得ました。
 バード博士は、わたしと同じく硫黄島の現場検証を何度もおこなっています。
 わたしは硫黄島の未解決の深刻な謎、すなわち1万人もの帝国陸海軍の将兵が行方不明のままであることについて、博士の見解を深く問いました。

 すると「実は、日米兵士のご遺骨が混ざりあったまま、米国内に埋葬している。それを同位体を使った新手法で調べていけば、膨大な日本兵の遺骨が判明するだろう」と仰いました。
 これは、重大なまったく新しい証言です。

 また「もうひとつの真実として、硫黄島の滑走路の下に、これも膨大な日本兵が埋まっている。滑走路を引き剥がせという、あなたの長年の主張は、非常に正しい」と仰いました。
 なぜ正しいか。
 それは帰国後に、「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」の無償、無条件の発信にて、硫黄島の英霊が身を挺して護ってくださった子々孫々であるわたしたちが一緒に考えたいと思います。

 その「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」の最新放送をここにアップしています。硫黄島の現場もご存じない石破総理が「戦争の検証」をなさろうとすることに、護る会 ( 日本の尊厳と国益を護る会 )  として強い反対の声を挙げています。
 自由民主党の内部からこそ、反対します。

▼あとわずかな時間で帰国の途につきます。
 この超がつく強行軍の日程のなかには、まったく別の義務も含まれていました。
 昨日は、そのたいせつな義務のために、全身全霊をふるって務め、終わったあと一時は口もきけないほど疲弊しました。

 しかし今は、ほぼ完全に復活して、昏 ( くら ) い夜を越えて新刊『憤怒と祈りで建国だ』の執筆を続けています。いま現地時刻で5月5日の午前4時ちょうどです。日本時間では同日の午後11時ちょうどですね。

 この日程のなかでは、執筆を思うように進めるのは、物理的にどうしても無理です。
 それでも、前へ進めます。
 わたしも最期まで、身を挺さねばなりませぬ。





 
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