On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2006-06-11 18:05:49

六本木から、北の大地へ





▼きょう6月11日の日曜は、午前中にテレビ朝日へ。
 午後0時半ごろから「サンデー・スクランブル」に生出演して、ドイツのワールドカップ・サッカーでのテロリズムの脅威について話してほしいという依頼だ。

 ざっと打ち合わせをして、スタジオ内で待機していると、前のコーナーが延びて、とても時間が短くなる。
 ある程度は予想していたけど、予想以上だったから、ミュンヘン五輪でのテロとの関連やAWACS(空中警戒管制機)まで飛ばしている警備の実際を語りながら、自分の話しぶりが早口になるのが心配だった。

 あっというまに番組終了、スタジオを出るとすぐに車に乗って、雨のなかを羽田空港へ出発する。
 羽田から講演先の青森に向かうのだ。

 見送ってくれたディレクターが「すみません、時間が無くなってしまって」とおっしゃったけど、「いやいや、それが生放送ですから」と答えた。
 本心だ。

 車のなかで、同行している独研(独立総合研究所)の秘書さんに「早口だった?」と聞くと、しばらく考えて、「いえ、大丈夫でした」。
 とても公平なひとなので、『この人が言うなら、きっとその通りなのだろう』と、ちょっと安心する。


▼羽田空港で、すこし時間があったから、昼ビールを呑んで、たのしく食べる。
 空港で時間があるなんて、滅多にない。
 ほとんど飛行機の機中で人生が過ぎていくような、この頃だけど、空港も風のように通り過ぎるだけのことが多い。
 だから、なかなかに嬉しかった。

 機中では、モバイル・パソコンを開いて、原稿を書こうとするが、なかなか進まない。
 きのうの土曜日、体調があまりに悪かったこともあって原稿がまるで進まず、かなり暗い気持ちになった。
 その続きだなぁ、と考える。
 ぼくは、なんだか根っこから疲れているなぁ、どうすればいいのかなぁとも思うが、休むわけにはいかない。
 前へ走りながら、走り続けながら、どうにか工夫かなにかをして、おのれのエネルギーを蘇らせたい。


▼青森空港に着き、出迎えてくれたかたと、秘書さんの3人でタクシーに乗る。
 車窓に広がる北の大地は、ほんとうに森が青々と、美しい。

 沖縄出身の秘書さん、というか沖縄電力から研修で来ている秘書さんは、林檎をかたどったガードレールから、冷んやりとした空気まで愉しんでいるようすだ。
 その人生への姿勢、えらいなぁ、と思う。
 こちらも明るい気分になる。

 青森市の中心部にある、講演会場のホテルに着く。
 講演そのものは明日の月曜だ。
 今夜は、主催者のかたがたと懇談会がある。

 その懇談会のまえに、貴重な、休み時間があった。
 つまり、今ですね。
 ホテルの部屋で、ひとり、楽な格好でいる。
 これは、こころから貴重な時間だ。

 あぁー、助かるなぁ。
 わずかな時間でも、仕事がまったく切れ目なく続くのと、わずかでも切れ目があるのとは、大違いだ。


   ……………………………………


 写真は、そのホテルの部屋の窓から、携帯電話で撮った八甲田山です。
 薄曇りのなかにあるし、遠いから、わかりにくいでしょうけど、北の地の素晴らしい山の気配を、できれば感じとってください。



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