On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2010-09-17 06:49:12

語りを始めます



▼先日にお伝えした「永遠の一秒」という舞台劇について、あらためてお話しします。
 いよいよ今日、9月17日金曜に、東京・高田馬場の東京グローブ座で上演初日を迎えます。

 これは、帝国海軍の銀河という悲運の爆撃機に乗り込んだ特攻隊員の青年たちが、現代にやって来るというドラマです。
 ぼくは、この舞台劇が始まるまえに、舞台の隅っこに上がって、語り役を務めます。10回ほど、上がります。
 語りの中身は、ぼくにほぼ、任されています。
 いつもの講演やテレビ番組と同じく、台本も何もなく、ありのままに魂に浮かぶままを語ろうと思っています。
 時間は、10分から15分ほどいただけるようです。語りとしては、決して短い時間ではありません。


▼今日の上演初日では、女優の斉藤慶子さんが、語りをなさいます。
 ドラマの主な舞台は宮崎県の特攻出撃基地で、斉藤慶子さんはその宮崎のご出身とのことです。

 ぼくの語りは、9月18日土曜から始まります。
 そこから19日日曜、20日月曜(祝日)と3日連続で務め、さらに23日木曜(祝日)から25日土曜まで再び3日連続で務めます。

 18日土曜と19日日曜は、午後2時開演の午後の部と、午後7時開演の夜の部があります。
 20日月曜は、午後の部だけで、夜の部はありません。
 23日木曜は、午後の部と夜の部いずれもあります。
 24日金曜は、夜の部だけで、午後の部はありません。
 25日土曜は、午後の部と夜の部いずれもあります。

 開場は、午後の部が1時半、夜の部が6時半です。
 
 チケットの購入方法など、詳細は、「永遠の一秒」公式ホームページhttp://www.eien-1.infoを、みてください。(独研では、チケットを扱いません)


▼9月9日に、この「永遠の一秒」の作者であり監督でもある畠山貴憲さんと、主演俳優のひとりの津山登志子さんと、ネットTV「青山繁晴.TV」(あおやましげはる・ドット・ティーヴイー)で楽しく鼎談(ていだん)しました。

 津山登志子さんは、高名で、きりりと美しい女優さんですが、それだけではなく、今は亡きお父さまが特攻隊員の生き残りであり、この舞台劇と不思議なご縁で結ばれているひとです。
 ネットTVはいつも、何の事前の打ち合わせもなく、作り・演出は一切なくやりますから、鼎談中にぼくはその事実を初めて知って、すこし頭のなかが真っ白になりました。
 津山登志子さんは、少女の時代には、父上のその特攻の話に反発していたそうで、お父さまから「なんとか13期」と聞いたのをおぼろげに覚えているそうです。

 ネットTVの収録中、ぼくは「海軍兵学校?いや、海兵なら13期では全然時代が合わない」と呟き、そして頭の中では「予科練だ。予科練13期ですね」と頭に浮かびながら、それを口にすることを忘れ、津山さんの引き締まったお顔に、特攻の白いマフラーを結んだお父さまの面影をただ探していました。

 いまアップされています。よければご覧ください。http://www.xn--rhtw6ui2tl3w.tv/


▼先日の書き込みの一部を以下に再掲します。

▽ニッポン放送が主催し、「がんばろう!宮崎」を掲げるMRT宮崎放送が後援する舞台劇、「終戦65周年平和祈念特別公演   永遠の一秒」に、ぼくも「語り」として出演します。
 この「永遠の一秒」は、特攻隊員を通じて、いのちそのものを考えるドラマではないかと、ぼくは思っています。
 敗戦を終戦と表現していることを含め、ぼくとこの舞台劇は、戦争観・平和観、日本の歴史の見方は同じではありません。
 しかし、いのちを真摯に考え、突きつめていったら特攻隊員になった、という演出の畠山貴憲さんのありのままの述懐に思うところあり、生まれて初めて、舞台というものに、ごくささやかながら関わることになりました。

 また、このドラマは、特別攻撃隊出撃基地のひとつになった帝国海軍の赤江飛行場(現・宮崎空港)を主要な舞台にしています。
 それに伴って、ドラマの収益の一部は、宮崎県の口蹄疫で重い被害を受けられた畜産農家への支援金として寄附されます。
 この点も、ぼくにとって大切なことです。

 主な出演は、塩谷瞬さん、伊嵜充則さん、住谷正樹(レイザーラモン)さん、中本賢さん、津山登志子さん、西尾舞生さん、千波丈太郎さん、ブラザートムさん、相楽清仁さん、原万紀子さん、水野久美さんです。
 語りは、女優の斉藤慶子さんと、ぼくです。

▽東京・高田馬場の東京グローブ座で上演されます。
 ぼくの出演日は、公演日のすべてではありません。9月18、19、20、23、24、25日の予定です。


▼このあいだ、9月13日の月曜に東北新幹線で宇都宮に向かいました。
 暮れなずむ車窓から、にほんの田園や街の息づくようすを眺め、そして 栃木県庁近くのホールで、4百人ほどの中小企業の経営者のかたがたに講演をしました。
 その2日前の11日土曜には、東海道新幹線で京都へ行き、京都から車で40分ほどのところにある立命館大学びわこ・くさつキャンパスで、これは千人ほどの中小企業の若手経営者に、お話ししました。
 いずれも民主党代表選を控えたタイミングで、中小企業のかたがたにお会いしたわけですが、若手役員からベテラン社長まで、日本経済の土台を預かる中小企業の責任者から、日本政治への焦燥や怒りを、ありありと感じました。
 政治に対してだけではなく、社会そのものの壊れ方に、深い不安を仕事や日々の生活のなかで感じておられることも、講演をしながら身近に感じました。

 わたしたちの祖国を甦らせるには、敗戦後の65年のあいだに思い込んだこと、思い込まされてきたことを正す、それが原点になると考えます。
 舞台「永遠の一秒」の語りでも、できれば、その目標を観衆のかたがたと共有したいですね。


 写真は、監督の畠山さんと、喫茶店で軽く打ち合わせをした時です。
 ほんとうに軽く打ち合わせただけで、畠山さんは、語りについて、ほとんどすべてをぼくに委ねてくれました。

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