On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2012-09-26 11:42:21

こころの叫び   (2012/09/26 11:42アップ)



(その1 9/25記)

▼明日は自民党総裁選の日ですね。
 現在は、その前日の9月25日火曜の午後1時40分です。
 ぼくは今、近畿大学経済学部でおこなう国際関係論の講義、それに関西テレビの報道番組「スーパー・ニュース・アンカー」の生放送前日の議論(ふつうに表現すれば、打ち合せ)、それに在阪の経済人らとの議論のために大阪に出張しています。
 その合間に、モバイル・パソコンを開き、この地味ブログの新しいエントリー(書き込み)を、したためています。


▼ほんとうは、上記の3つの日程をしっかり遂行するために、移動の機中やタクシー車内、それに待ち時間には、いくらかでも心身を休めたりしたいところです。
 もっと大切なのは、眼を閉じて、考えを自由に遊ばせて、3つの日程にどう臨むか、次第に考え方が熟していって定まっていくのを待つこともしたいのです。

 しかし今日は、自民党総裁選が決着する前に、すなわち明日9月26日の午後2時半ごろになる前に、どうしてもアップしておきたいエントリーがあります。


▼ぼくがテレビ番組で、自民党総裁選で石破候補の支持を表明したという書き込みが、この地味ブログにこの頃、いくつか来ました。

 自民党の総裁選であれ、衆参両院の選挙であれ、国政にかかわる選挙で、ぼくが特定候補の支持を表明したり、あるいは不支持を表明したりすることは、ありませぬ。

 ぼくがテレビ・ラジオなどのメディアで(わずかながら)発信しているから…ではないのです。
 むしろ評論家とか、職業的なTVコメンテーターなどのひとびとは、特定候補の支持や不支持を表明した方がいいと考えます。
 表明しない振りをして、実際はある方向に視聴者や国民を誘導しようとすることが、いちばん悪質です。
 この頃は、新聞が「客観報道」という仮面をかなり剥ぎ取って、産経新聞から朝日新聞まで、ずいぶんと論調が明確に分かれてきました。この方が、いわば「仮面の客観報道」より、ずっとマシだと、ぼくは考えています。

 一方、現在のぼくの本職は、実務者です。
 実務者というのは、政権がどうであれ、国民のためにやるべきことを常にやらねばなりません。
 ぼくと独研(独立総合研究所)の担っている実務は、危機管理・安全保障、そして国民保護法に基づく住民保護・国民保護です。
 たとえば、原子力発電所に関しては、原子力による発電に賛成、反対を問わず、あるいは稼働、不稼働を問わず、原発がテロリズムに弱いという重大なリスクを政治家にも官僚にも国民にも、専門家の端くれとして明示したうえで、常に、北朝鮮の工作機関をはじめとするテロ攻撃リスクを事前に抑止し、また、起きてしまったときは被害を最小限にする実務を、自立・独立した民間シンクタンクとして遂行しようと、努めています。
 もちろん、さまざまな妨害を受け続けています。
 その妨害は、海外勢力からとは限りません。ほんとうは、日本国内の既得権益(たとえば「原発にはリスクはないんだ」ということにしておきたい勢力、あるいは、しておきたかった勢力)からの妨害の方が激しいのです。
 しかし、いずれにしても、いったん「実務を常に遂行する」という志を立てた以上は、どんな政権であろうと実行する努力を変わらずに、中立的に、続けねばなりません。
 したがって、国政をめぐる選挙で、特定の候補の支持を、それも公共の電波を使って表明することは、決してありません。

 もちろん国政について、あるいは政党や政権の姿勢、政策などなどについて数々の論評を行いますが、それと、選挙で特定候補の支持を打ち出すこととは、まったく別問題、別次元です。


▼上記のぼくなりの原則を踏まえたうえで、総裁選前日の9月25日現在の情勢からして自民党総裁を経て次期総理になる可能性があるひと、すなわち極めて責任の重い3人の候補について、この機会にすこし述べておきます。


▽石破候補には、総裁選のさなかに電話をしました。
 公表を前提とした電話ではありませんから、すべてを明らかにすることはできませんが、ぼくが何を申したかに触れることはできます。
 ぼくが申したのは、2点です。

「総裁選の結果が出る前に、石破さんにお話ししておきたいことがあります。よろしいですか」と尋ねて、諒解を得てから、まず、こう述べました。
「石破さんと、ぼくとは、先の大戦と敗戦の歴史をめぐって、考え方、見方が違います。それについては、石破さんと安倍さんとも違います。それぞれの違いはあくまで尊重します。ただロシア、韓国、中国と相次いで日本の領土に不当な行為を行っている最中では、特に、韓国と中国に、石破さんの歴史に対する姿勢が利用される怖れがあります。ぼくなりに確保してきた、韓国、中国の喧嘩相手、もっとちゃんと言えば議論する相手から、その感触も得ています。公正さと国益のために、くれぐれもご注意ください」

 そして、その「注意すべきこと」とは、さらに具体的に何なのかも、ささやかな提案として伝えました。
 石破さんが何と答えたかは、前述したように公開を前提にした電話の会話ではないから、申せません。
 しかし、石破さんが良く理解はしてくれたことは、申せます。

 もう1点は、総裁選後の自民党内、そして総選挙を経たあとに仮に自民党が政権与党に復帰した場合のあり方について、石破さんに提案しました。
 これは、第三者も関わることなので、これ以上具体的にはまだ明らかにできません。


▽安倍候補は、総裁選の中で主張されてきた政策の基本と、ぼくの考えと、大きく違うところはないので総裁選が始まってからは電話も何もしていません。(総裁選が始まる前、まだ安倍さんが態度表明をしていない時点では、立候補されるかどうかをめぐって、ささやかな考えを伝えました)
 そのうえで、自由民主党という政党に、このタイミングで安倍さんを総裁に、そして次期総理の有力候補として立てる覚悟がほんとうにあるのかを深く懸念しています。

 というのは、安倍さんは今回の総裁選で、かつて首相時代に靖国に参拝しなかったことをみずから取りあげ、「禍根を残した。例大祭か夏(8月15日の敗戦の日)に参拝すべきだった」と明言されました。
 ぼく自身は、この発言をこころから、僭越ながら評価します。英霊が安堵されるお気持ちが伝わる気すらします。

 そのうえで、安倍さんはこう発言された以上、もしも再び総理になれば、必ず靖国に現職の総理として参拝せねばなりません。
 参拝すれば、中韓はここぞと昂奮してみせ、領土をめぐることどもと絡めて、国際社会でうまく利用しようと手を尽くすでしょう。

 もしも参拝されれば、たとえばぼくは、その参拝を、英霊に祖国を支えていただいた国民のひとりとして断固、賛成します。
 もちろんぼくだけではなく、さまざまな立場、考えを持ちつつも賛成される国民も決して少なくはないでしょう。
 しかし同時に、国内からも凄まじい刃(やいば))が総理に振り下ろされるでしょう。
 安倍さんは、みずから発言して実行される以上は、耐えると思います。
 ただ自民党に、その覚悟が組織としてあるのかを懸念します。
 ぼくが独研の役員、社員と靖国神社に正式参拝し、その記事と写真をこの地味ブログにアップしただけで、実際は、凄絶とも言うべき嫌がらせ、中傷がやって来たのが、日本の国内外の現実なのです。
 たとえば、アメリカのアーリントン国立墓地に行けば、勝った戦争も負けた戦争も区別なく、賞賛された戦いも批判された戦いも区別なく、祖国のために死した人はすべて、国家によって讃えられ続けています。
 これが国際社会の常識です。と言うより、人間が人間であるための常識です。
 敗戦後の日本においては、その常識がほとんどまだ認識されていません。

 逆に、もしも「中韓と領土で紛糾している時期だから」と参拝しなかったら、安倍さんと言うより、もはや日本の内閣総理大臣そのものが、信頼性を問われます。


▽石原候補は、記者時代にぼくも一緒に中曽根総理の番記者をしていた時代があります。石原さんは日テレ政治部の、ぼくは共同通信政治部の、いずれも若手記者でした。
 それ以来、細々ながら付き合いは続いていて、石原さんには「長老の考え云々ではなく、自分自身の考えで動き、発言すべきです」ということを電話で伝えました。
 石原さんは、耳を傾けてくれました。


(その2 9/26記)

▼上記のことについては、この機会に、もっと話したいこともあります。
 しかし、もう総裁選当日の昼前です。
 徹夜しても徹夜しても、その「実務」をめぐる仕事は減らず、これ以上今日は、ブログエントリーに時間を費やすことはできません。
 とりあえず、アップします。


▼9月21日金曜の新宿タカシマヤでのトークショーとサイン会に集まられたかたがたの熱気には、正直、胸を打たれました。
 ニッポン放送のラジオ報道番組「ザ・ボイス」の催しでしたが、椅子に座っているかたがたよりも、立ち見でずっと聴き入ってくださるかたがたのほうが遙かに多い、もの凄い人出でした。
 ぼくは冒頭、「ぼくなんぞの話を聞きに来られたと言うよりも、領土や国民を奪われる国でいいのかという、みなさんの憂いの深さと、どうにかしようというお気持ち、志の強さでこんなに集まってくださったと思います」と叫びました。

 そして、その多くの方のほとんどが、サイン会に並んでいただき、「ぼくらの祖国」(扶桑社)も「救国 超経済外交のススメ」(PHP)もすべて売り切れ、決して少なくないかたがたには、紙切れやノートなどなどに、そのかたのお名前を書き、ぼくの自作の銘を入れ、最後にぼくの名を書くというサイン会でした。

 あらためて、みなさんの日本を支えるお気持ちに、こころの底から敬意と感謝を捧げます。


▼独研(独立総合研究所)が主催する、5時間連続の「独立講演会」も、このごろ、凄いとしか言いようのない人出になります。
 次回の募集も、昨日から始まりましたので、独研のHPから転記しておきます。
 この独立講演会は、いわば時間無制限に近い状態で(つまり聴衆の中で倒れるかたの出ないギリギリの範囲内で)、ありとあらゆる質問もお受けしています。
 無理を押してでも、毎月、実行するよう努めています。


第11回 独立講演会 (2012年10月27日講演 )

【講演日】
2012年10月27日(土)

【講演時間】※予定
開場:14時00分
開演:14時30分 ~ 19時00分

【講演内容】※ただし、臨機応変に変えます
「アメリカ、EU、そしてアフリカ・中南米を含む世界への外交を考える 」

【場所】
神戸コンベンションデンター 神戸国際会議場
国際会議室
650-0046 兵庫県神戸市中央区港島中町6-9-1
TEL:078-302-5200
ポートライナー「市民広場」駅下車徒歩約2分
詳細は、こちらへ。

【受講料】
一般 5000円 / IDC(インディペンデント・クラブ)会員 4000円

【定員】
360名
※定員を超えた場合、抽選とさせていただきますのでご了承下さい。

【申込期間】
2012年9月25日(火)~2012年10月2日(火)15時 (予定)
※申込期間内のみ、申込を受付致します。

【抽選結果通知】
10月2日(火)15時以降 (予定)
申込者全員に、当落の結果をメールにて順次お知らせ致します。

(以下、具体的な申し込み方法、ご注意事項などは、独研HPをご覧ください。申し込みは、この独研HPからできます)
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