On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2014-07-05 21:38:56

たとえ何があっても

 いま7月5日土曜の夜10時が近づいています。
 母の病床の枕元にいます。
 ここへ来て、3時間ほどになろうとしています。

 この病院から何かの緊急連絡があって来たのじゃなく、仕事の隙間を見つけて、来ただけなのですが、ちょうど修羅場にぶつかりました。
 詳しくは記しません。
 しかし、全身の痛みや、ぼくらでも耐えられないほどの高熱と闘う母の姿は、あまりに辛くもありますが、こころから尊敬する姿でもあります。

 高齢になって、いくらかの呆けもあり、子供に戻ってしまって、わがまま一方の母になったようにも見え、家庭教育で毅然とぼくたち兄弟を育ててくれた母はもう居ないと考えて、それが悲しかったのですが、いや、ここに居ました。

 痛む母の手をさすって、さすって、沢山のことを話しかけました。
 ベッドの脇の無理な姿勢で長時間ですから、スキージャンプの墜落で折った腰の骨が、さすがに痛んだけれど、そして母から一言の答えもなかったけれど、きもちが通じあったた素晴らしい時間だったようにも思います。

 これから何があっても、たとえば独立講演会は、ぼく自身が癌を手術したときと同じく、術後の腸閉塞で死に直面したときと同じく、何も変えずに行います。
 今月は、早稲田大学の大隈講堂へお出でください。
 申し込み(ここです)の〆切は、もう目の前です。
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