▼ブログのこのエントリーを書き起こした今は、1月8日水曜の夜11時22分です。
　ゴーン被告がレバノンで記者会見し、1時間10分ほども長々とひとり語りで自己弁護したあとで、ようやく質問を受け始めたところです。

▼記者会見とは本来、記者の自由な質問に答えるものであって、ひとり語りなら、それは記者会見ではなく独裁者の演説です。
　したがって、記者会見はようやく本番が始まったばかりとも言えますが、午後10時から11時10分過ぎまで続いたゴーン被告のひとり語りを生ですべて聴いて、あまりの虚しい内容にいささか呆れました。

▼すべて根拠も示さない自己防御だけ、延々と中身もなく、自分は正しかった、素晴らしかったと言うだけ、それのみで1時間10分ほども過ぎました。
　その身振り手振りも含めて、ほんとうに情けない人であることだけが、ありありと伝わってきました。
　ときおり湧く妙な拍手も、ゴーン被告が事前にメディアを選別した事実と相まって、アンフェアな印象を強めました。
　朝日新聞がネット版で「朝日は選ばれた」と嬉しそうに書いているのも、失笑ものです。

▼日本を代表する自動車メーカーのひとつである日産はなぜ、このような男に経営を託したのか。
　もはやゴーン被告というツマラナイひとを批判するより、そちらの方に関心が向くほど、空っぽの、浮ついたひとり語りでした。

▼日本のオールドメディアが切り取って報道する記者会見ではなく、ネット時代を活かして生で記者会見を、退屈さにも耐えてフルに聴いたひとなら、これまでの立場の違いも超えて、不肖ぼくと同じことを感じるのではないでしょうか。

▼一方で、きのう自由民主党本部で開かれた法務部会・外交部会の合同部会の意義は感じました。
　きのうの部会で、多くの議員から厳しい、鋭い質問が出ました。
　不肖ぼくは、これらの問いに対する政府側の答弁をじっくりすべて聴いたうえで、部会の最後の方に、 ( 1 ) 日本で裁判を受けて主張したいとことを主張すべき刑事被告人が、逃亡先で法を犯したまま記者会見をすること自体を正当に阻止すべきだ ( 2 ) 身柄を正しく引き渡さないのなら、制裁も検討すべきだーと問いました。
　これは「とにかく阻止しろ」と求めたのでもなければ、「すぐに制裁を持ち出せ」と求めたのでもありません。
　きのう7日の部会では、外務省によって、日本の駐レバノン大使がレバノンの大統領にきょう8日に会うという新事実が明らかになりました。
　そこで、その機会を活かして、「記者会見を阻む勢いを持ってして、ゴーン被告が会見の内容を少しでもまともにするように、レバノン側に正当なプレッシャーを掛けてください」、「そして水面下では、身柄が引き渡されない場合などの制裁も示唆すべきだ」と求めたのでした。
　部会に出ている外務省幹部たちには、これが分かると考えました。

　今夜のゴーン会見の前に、外務省の関係者と議論し、日本の外交官たちがその真意を実際にしっかり理解して現地で行動したことを知りました。
　そしてその通り、ゴーン被告は会見のひとり語りで「日本とレバノンの関係に配慮する」と称して、「特別背任事件の摘発は、日本ぐるみの陰謀だ」といった話、欧米メディアには「これを言う」と予言していた話をすることは自ら、避けました。

　正直、自由民主党を内部から変えるために、また政府を正面から動かすために、議員であることを続けているささやかな意義も感じました。
　異業種のひとよ、出でよ。
　みなさんを待っています。

▼日本のオールドメディアが、このゴーン被告の語るに落ちるトンデモ会見を「熱く語った」などと報じていることは、ほんとうに恥ずかしいです。
　いったい誰に媚びているのか。
　日本の記者の諸君よ、諸氏よ。誇りを持って、おのれを信じて、自分が見たまま、聴いたままを書け、語れ。
　プロフェッショナルなジャーナリストだろう。
　公平な、日本人だろう。
　自律した、にんげんだろう。