On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2020-05-22 08:47:18
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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学が萎縮してどうする  (推敲しました)

二つ前のエントリーをめぐって、大学教官のかたからコメントを頂きました。
 オンラインでは実験、実習ができない弊を語っておられます。
 その通りです !

 自然科学分野において実験、実習が欠けた学生が生まれると、重大な事態になります。
 実験や実習の動画を学生に見せるだけでは、本質的に、足りません。
 不肖ぼくは海洋調査の現場にも長く関わってきました。日本の自前資源を含め海洋の調査を高いレベルで行っていくには、実験や実習を積み重ねた科学者の育成がどうしても必要だと、調査船の船上にて痛感してきました。

 そして社会科学、人文科学においても例えばフィールドワークを喪うと、大きな損失です。
 ぼくのゼミでも、海上自衛隊の艦船に乗艦するといったフィールドワークを行ってきました。これを行わないで安全保障論を講じるのと、現場を学生たちが踏みつつ講じるのとでは、大違いです。

▼このかたは「大学が萎縮しているのも知れませんが」という趣旨を、穏やかに記しておられます。
 大学には、学生を決して感染させない、その意思もあると思います。
 教官を危機に晒さない意思もあると思います。
 しかし、感染症対策を徹底的に施したうえで、まずは実験、実習を遂行していくべきです。
 確かに大学が萎縮し、同調圧力に屈している側面もあると考えます。

▼学の独立とは、反権力になれというお題目ではなく、世に警鐘を鳴らすのもまた学問であるということです。
 そのためには、世から批判されることも甘受するのが、学の独立ではないでしょうか。

 保身のためのオンラインもある、これもまた現在の日本の現実のひとつです。大学は、それを超克していく拠点の一角を成すべきです。


 
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