On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2015-01-23 10:25:09
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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なんてこともない

▼日本時間の1月23日金曜の未明、インド時間の22日木曜の夜遅くに、シンポジウムの開かれるコルカタ(旧カルカッタ)に入りました。
 案の定、トラブルだらけ。

 シンガポールで乗り換えようとすると、シルク航空というローカル航空にいったん搭乗を拒絶され、どうにか乗って、コルコタのチャンドラボース空港に着くと、イミグレーションの係官が「シンポジウムに招待されているという正式な書類を見せろ。でないと、絶対に、入国させない」

 文科省派遣なのに、日本政府からも、インド側からもそんなものはもらっていない。
 あるのは、日本語で書かれた「あなたを文科省からインドでの国際フォーラムに派遣したいと考えていますが、承諾して頂けますか」という書類。
 インド側の書類じゃないし、何より日本語だからもちろん、インドの係官はよけいに高飛車に、横柄に、エラソーになっただけで事態はどんどん悪化。

 日本政府の話では、このコルコタの空港で誰かアテンドします、ということだったが、そんな気配もない。
 最悪の場合は、「ここで飛行機に乗り直して帰れ」と、インド側の権力が言い出す場面だ。
 これを、こっちも仏頂面で、一歩も譲らず、「おまえの側、インドがわたしを国際会議に招待したんだ」と突っぱねて、どうにか奇跡的に突破して、入国すると、今度は荷物が出てこない。

 案の定、シンガポールでまともに荷物を移し替えていないのかなと考える。
 ぼくはロンドンのヒースロー空港で、イギリス出張だったのに、ぼくの荷物が目の前でアフリカ行きのフライトへ運ばれているのを偶然、目撃して、その運搬車に飛びついて荷物を奪い返したことがある。
 それも思い出して、同行の独研(独立総合研究所)研究員と一緒に最悪の事態に備えていたら、最後の最後に出てきた。

 その荷物を持って、空港ロビーに出ると、インド側の主宰者から迎えに来ているはずが、誰もいない。
 日本大使館の担当官に電話しても、電話を取らない。すなわち、何のスタンバイもしていない様子。
 警備している軍人に追い出される形で、外へ出ると、そこで呑気に迎えが待っている。
 いわく、「今日は特別な祝日で、警備が厳しくなっていて、中には入れなかった。私は悪くない」。

「そんな情報はこちらには全くないんだから、弁明になっていない」と言うも、もちろん「私はちっとも悪くない」の繰り返し。
 汚れた車に乗り込むと、なにやらヒンドゥー語で誰かに電話している。しきりに、ご自分の正しさを主張しているようでもあったが、電話が終わると突如、「コミュニケーションのミスがあった。深く謝罪します」

 ぼくはもちろん、「諒解。問題終わり」と答えた。


▼まぁ、海外に出ると、こんなもんです。
 なんてこともない。
 しかし今回の連続トラブルは、「日本はしっかりしているけど、インドはね」とは言えない。
 日本側の文科省、大使館、領事館も、見事にいい加減だ。


▼さて、トラブルがあろうがなかろうが、現地に入ったから、「歴史をフェアにみるためにも日印連携、アジア連携を」という招待講演の準備をしよう…と、していたら、疲労で寝込む。
 コルコタは遠い!
 成田からシンガポールまで、今回は風の影響もあってか、8時間近くかかったうえに、シンガポールで乗り換えて、シルク航空のちいさな飛行機でコルコタまで実に4時間半もかかった。
 乗り継ぎのための時間も含めると、14時間前後、かかっている。
 機中はずっと講演準備を含む、仕事、仕事。
 それはいつものことだけど、たとえばコルコタまではシートも一部、壊れ、精神的にはちょっと身の置き場がないなぁと思うほど疲れを感じた。

 インド時間の23日午前3時半頃に、ふかく信頼するひとが偶然、携帯にショートメッセージをくれて、そのチン!というお知らせ音のおかげでむっくり起きられて、ぼくの側の準備は先ほど完了しました!


▼きょうも行くぜ、野郎ども、行くぜ。
 祖国とアジアと共に。




*夜のコルコタは、空港から走れども走れども、ほんとうに長時間、走っても、街らしい街がなく、古きも古いこんな感じ。
 ここでシンポジウムをやれるのだろうかと思うぐらい。
 コルコタは、日本軍と連携してインド国民軍を創ったインドの至上の英雄、チャンドラ・ボース自由インド臨時政府国家主席と、東京裁判で日本無罪を主張したパル(一般にはパール)判事がいずれも出身地。
 そのために、ここでシンポジウムを開く。
 朝になったコルコタは、こんな感じ。
 朝は世界のどこでも爽やかだ。

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