On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2010-11-01 17:56:21

ちょこっと近況  お知らせしたいこともあります


▼こんな地味ブログの更新を、待っていてくれるかたがたがいらっしゃるのは、いただく書き込みやEメールで、よく承知しています。
 だから更新したいな、とは、いつもいつも思っています。
 このごろの日々は、いくら何でもここまで重なるか、というほど過密な仕事が重なっていて、どうにも個人ブログにまで、なかなか手が届きません。

 ぼくは一般的には、テレビにたまに顔を出したり、あるいは講演会を致したりというイメージでしょう。
 だけど本業は、ひとりの、しがない物書きであること、それから、核セキュリティをはじめとする国家安全保障や、公共的な企業の危機管理、それにエネルギーの課題やなんやかやの国家戦略をめぐっての、あくまで実務家です。
 評論家ではなく、実際に社会インフラなどを防護するためのシンクタンク、また自主資源をしっかり確保できる国に日本を変えるためのシンクタンク(独立総合研究所/独研)の一員ですから、外には見えないところでも、仕事の日程はどんどん積み上がります。

 このごろは、ジムにも全く行っていませんし、復帰したはずのサーキットも一度も行けません。
 人生には、どんなに忙しくても遊びが肝心だと思うぼくには、かなり辛い日々ですね。

 それでも、きのう10月31日の日曜日は、富士スピードウェイで開催されるレースに参加する予定でした。
 まるで練習ができていないので、きのうは、まさか勝とうとするのではなく、他の選手に決して迷惑をかけないように走ろう、完走だけを目標にしようと思っていましたが、台風14号の接近でレースそのものが中止になりました。
 このレース参加は、ネットテレビの新しいクルーが撮影し、「青山繁晴.TV」でアップする予定だったのですが、それをご存じのかたには、申し訳ない、そういうわけでアップはありません。
 きょうは、まず、そのことをお知らせしておきます。


▼さて、こうした日々のなか、忘れがたい日程もありました。

 たとえば、硫黄島の戦いを率いた栗林忠道・帝国陸軍中将を偲ぶ会が、中将のふるさとである長野県で開かれ、中将のお孫さんたちもお迎えして、ぼくなりに懸命に講演しました。
 あるいは、尖閣諸島を護る沖縄県民の集いが沖縄本島の宜野湾市で開かれたのに参加して、集まったウチナンチュ(沖縄県民)の多さと、世代の多様さと、なにより眼の輝きに、深いうれしさを感じつつ講演しました。
 これらは、あらためてしっかりと、この地味ブログに記します。
 ブログを訪ねてくださるかたがたを、とても大事に思っていますから。


▼おととい10月30日の土曜日は、久しぶりにテレビ朝日系列の「TVタックル」のスタジオ収録に参加してきました。
 きょう11月1日月曜日の夜、放送されます。

 この番組に、ぼくは2年ほど全く参加しませんでした。
 そして最近、また参加することになったのですが、海外出張と重なったり、上述の沖縄訪問と重なったり、あるいは外交・安全保障のテーマが番組で取りあげられなかったりで、スタジオ収録はしばらくありませんでした。

 今回も、実はスタジオ収録の予定はなかったのです。
 ところが前日に突然、番組から連絡があり、「急遽、中国のことをやることになったので、出てくれませんか」ということでした。
 幸い、この土曜日は予定が原稿執筆だけだったので、参加しました。

 スタジオに入って、収録が始まるまえ、いつも出演者の全員に、ぼくなりに丁寧にごあいさつをします。
 そのあと、出演者同士でしばらく雑談をするのですが、ぼくは今回初めて、何も話す気がしなくてずっと黙っていました。
 この番組のスタジオ収録に再参加した初回のとき、この雑談タイムで、評論家の森永卓郎さんに「右翼が戻ってきて良かったよ。右翼がいないと、つまらないから」と言われ、「誰が右翼ですか。違います。勝手な決めつけはしないでください」と応えました。
 収録中にまた、この森永さんが「右翼、右翼」と連呼され、「右翼は怖いんだ。私の横に右翼がいて怖い」と発言されました。
「右とか左とか、そんな愚かな分け方は、もうやめてはどうですか。ぼくはまっすぐ真ん中から日本を見直そうと呼びかけているのです」と反論し、放送ではその部分は、予想通り、すべてカットされるということがありました。
 だからといって収録前の雑談タイムが嫌になったりは、全くしていません。
 ただ、評論家と一緒に仕事をするより、実務家と仕事をしているほうが、ずっと楽しいです。
 とはいえ、たとえばみずから「評論家です」と常に明言されている宮崎哲弥さんは、盟友です。

 なんとなく、にぎやかに雑談する気分になれなかったのは、ほんとうは、京都の霊山(りょうぜん)の墓園にお参りしてから、ぼくがすこし気持ちが晴れないでいることが大きいと思います。
 墓参される人と、ほとんど出逢うことのなかった以前とは大違いで、たくさんの人が来られていました。それは、うれしかったのですが、おそらくはNHKドラマなどの影響で坂本龍馬さんをはじめ有名な志士の墓にだけ人が集中し、無名の志士の墓は踏み荒らされる、と言えば誇張になりますが、実感としてはそれに近いほど、たくさんのひとが著名人の墓だけを探して走り回るようすが、訪れるまえから分かっていることなのに、かなり辛かったのです。
 その人々に悪意はもちろんないのですから、批判するつもりはゆめ、ありませぬ。しかし、たとえば龍馬さんこそ、おのれよりも、名もなく斃(たお)れた志士たちの墓にこそ深い敬意を表してほしいのではないでしょうか。
 無名の志士や、それから誰一人お参りのなかった帝国陸海軍の将兵のかたがたは、どれほど寂しいでしょうか。
 その日は小雨が降り続き、ぼくはおのれでも意外なほど、元気を削がれました。
 日本はたった今、倒幕を必要としていると、ぼくは考えます。
 その現代の倒幕は、英雄伝説でやれるはずもない。
 名も要らぬ、利も要らぬ、わたしたちふつうの人間が連帯するほかに道はありません。
 無名の志士や、戦いに敗れた帝国陸海軍の将兵のかたがたの無念を、(ただし、あくまでもぼくが勝手に)思うだけではなく、「これで、ぼくらの祖国を甦らせることができるのだろうか」と雨中、考え込んでしまったのです。
 そしてもちろん、「おまえ馬鹿野郎、だらしのない、それぐらいでしょげるな」と龍馬さんにも東行高杉晋作先生にも叱られている気がしています。

 収録が始まると、出演者のうち、お一人がいきなり「ハノイで日中首脳会談がドタキャンになったのは、前原外務大臣がおかしなことを言うからだ」という趣旨の発言をなさり、ぼくは強く反論しました。
 国際社会のフェアな常識からしても、中国がきわめて不当、アンフェアであって、前原外相を含め日本国が何かを言われる筋合いは毛頭ありません。
 それにもかかわらず、日本の有識者からこうした議論が出ることは、予想されたこととはいえ、驚きです。
 ぼくの反論が放送されるかどうか、分かりません。そもそも、その有識者からの発言が放送されるかどうかも分かりません。
 TVタックルは、2時間ほど収録して、それを40分ほどに編集して放送する番組ですから。

 過去に、ぼくが話したことが95%以上カットされ、視聴者から「何で青山さんは発言しなかったんだ」というEメールが山ほど届いたことは、何度も何度もありました。
 驚くなかれ99%以上カットされたこともあります。そういうときは、他の人が発言している時に微笑したり、頷いたり、その人の眼をじっと見ているというような顔が映るだけで、ホントに番組が終わりました。
 しかしいつも言っているように、編集権はテレビ局にあります。
 編集されること、あるいは編集内容に不満があるのなら、タレントじゃないんだし、出なければ良いだけの話です。
 事実、編集があまりにも偏っている、すなわちカットされるだけじゃなくて、ぼくが出演タレントの意見(靖国神社は参拝すべきでない、といった、ぼくが賛成するはずもない意見)に賛成したかのように演出する、むちゃらくちゃらな編集があった番組は、即、参加をやめました。

 その、やめた番組もとても視聴率の高い人気番組ですが、タックルも、人気のある長寿番組ですね。
 たとえば、ぼくが大好きな沖縄、もっと正直に申せば愛している沖縄、そこに住むウチナンチュ(沖縄県民)のかたがたから「タックルだけは出てください。出ないと、沖縄では青山さんの顔を見られない」と繰り返し言われます。
 それに、TVタックルは、ぼくの発言をねじ曲げて編集したことだけはありません。
 ぼくがほとんど発言しなかったように放送することは年中行事です。また、発言を途中でカットして意味不明になったり、ぼくの申したかったことがほぼ伝わらないことも多いけれど、それはおそらく、ほかの出演者も同じ気持ちを持つでしょう。

 そして大事なことは、TVタックルのスタッフは、実は物凄くよく勉強していて、スタジオ収録の依頼に来られる時も、コメント収録で独研の社長室に来られる時も、話の筋が通っていて、気持ちがいい。
 テレビ局の人と話していると、たまに、あまりの不勉強ぶりに力が抜けて、どっと疲れが噴き出して、何も答えたくなくなったりすることがあります。TVタックルのスタッフには、一切、それがない。
 だから、これからも収録の依頼があれば、参加します。

 土曜日の収録は、中国をめぐっての議論は意外なほどあっさり短く終わりました。
 あとは、事業仕分けの話題などが続きました。
 ぼくの仕事は本来、縦割りで外交や安全保障に関わるのではなく、行政・政治のあり方から金融・為替・経済や教育、社会文化に至るまで統合し、トータルな(全体を包括する)国家戦略を練ることですから、当然、そういった話題でも信じるところをどしどし述べました。
 関西テレビの報道番組「アンカー」の生放送で毎週、そうであるように。
 ただしTVタックルでは、どちらかといえば、ぼくを外交・安全保障の「要員」と見なしているところも現時点ではありますから、例によって発言カットかもしれませんね。
 上述したように、まぁ、それは視聴者のかたも我慢なさってください。


▼あと、日本経営開発協会・関西経営管理協会というところの主催で開いている会員制セミナーの「青山繁晴の先見社長会」が、参加されるかたが多いということで、大阪でも開催されることになりました。
 これが、もうひとつの、お知らせしたいことです。

 このセミナーは、その場で自由なご質問を受けて、ぼくがオフレコ情報を含めてお答えするという特徴があります。
 企業の経営者だけではなく、どなたでも参加されて全くOKです。
 事実、20歳代の若い女性もお見えになりますし、どなたかが会員になられれば、その代理でどなたでもお出でになれます。

 これからの日程は、以下の通りです。
【東京】偶数月に開きます
2010年 12月 9日(木)
2011年  2月24日(木)
      4月21日(木)
      6月16日(木)
      8月25日(木)
     10月27日(木)
     12月 8日(木)

 時間は、13:30~15:40。休憩10分を挟んで、2時間たっぷりです。
 場所は、静かな雰囲気の芝パークホテル。
    (JR 浜松町 徒歩8分/地下鉄三田線 御成門 徒歩2分)

【大阪】奇数月に開きます
2011年  1月26日(水)
      3月23日(水)
      5月25日(水)
      7月27日(水)
      9月21日(水)
     11月16日(水)

 時間は、18:00~20:40。これは夕食付です。そして「水曜アンカー」に生出演した直後のぼくが全身から湯気を出して? 不肖ながらやって来る予定です。
 場所は、食事のおいしい帝国ホテル大阪。
   (JR環状線 桜ノ宮 西出口より徒歩約5分/JR大阪駅よりシャトルバスが運行)

 申し込みは、ウェブから簡単にできます。http://www.kmcanet.com/seminar/aoyama_president-meeting

 参加費については、上記のサイトをご覧になるか、日本経営開発協会:03-3249-0666、関西経営管理協会:06-6312-0691にお尋ねください。
 この参加費の決定などには、ぼくも独研(独立総合研究所)も一切、関与していません。参加費の何割かがぼくや独研に渡るということでもありませんから、ぼくや独研からお話しするのは控えます。


▼さて、実は今、都内の病院にいます。
 情けない写真は、その病室のぼくです。

 あ、青山の野郎、ついに倒れたか。
 と一瞬、思われましたか?

 そうではなくて人間ドックです。
 共同通信の記者時代は、社が、多忙を極める記者のために年に2回の徹底的な検診を用意してくれていて、必ず受けていました。
 共同通信から三菱総研に移ると、年に1回に減り、検診の内容もずいぶんと簡単にはなったけど、それでも定期検診があり、多忙ぶりが記者時代よりさらにずっとひどくなっても、きちんと受けていました。

 ところが、独研を創立すると、社員にはみな、当然ながらしっかりと健康診断を受けてもらいますが、社長のぼくは、記者時代より、三菱総研時代より、さらに比較にならないほど心身を酷使しているのに、なんと創立以来8年半、ただの一度もまともな検診を受けたことがありません。
 行政サービスの簡素な無料検診は受けても、時間とコストのかかるドックは、先送りしていたのです。
 独研の総務部・秘書室は心配に心配を募らせて、ついに強制起訴ならぬ強制ドック入りとなりました。
 気がついたら、一泊二日の宿泊人間ドックが日程に組み込まれていました。

 今回も、「信じがたいほど忙しいし、キャンセルしようか」という考えが今朝というかきょう未明の3時半過ぎに頭をよぎりましたが、総務部と秘書室の日程調整や病院選びの努力を考えると、さすがにそれはできませんでした。

 ぼくの躯(からだ)に、病的な異変を自覚するところは何もありません。
 睡眠の決定的な不足や、ほぼ毎日、飛行機に乗っているような移動の激しさなどで疲れています。しかし、それは病ではありません。痛みとか、あるいは衰えとか、それを感じる時は日常生活で全くないのです。
 とても丈夫な、壊れにくい心身に育ててくれた、両親に、こころの底からいつも感謝しています。
 しかし今回のドックで何が見つかってもまた、驚かない覚悟でいます。

 ドック第一日目のきょう、医師から「体内年齢は、年齢よりも22歳ぶん、若いです。体脂肪や筋肉量のバランスなどを複雑な方式で総合して判断していますから、いい加減な話ではありません」という話がありました。
 だからといって、安心はできないと考えています。
 体脂肪とか筋肉量は、大丈夫なのです。26歳で共同通信に入った時のズボンをそのまま、はいていますから。ズボンのウエストサイズは79センチで30年以上、変わりません。
 しかし、だからといって今回の人間ドックで、病気が見つからないとは限りません。まだ分かりません。

 あまり変化を感じないのが、ぼくの躯のキャラクターの気もしますが、それは丸々、わが母の母乳がつくってくれた免疫力のおかげです。ぼくの努力では、ありませぬ。
 それを言うと、介護中の母は「そんなもん、しらん」といつも、ひと言だけです。

 母の気持ちのなかには、「あんた自身がもっと、みんなのために、健康に注意しなさい」ということがあると思います。
 きょうも一方では、栄養士さんの指導タイムには「なんというひどい食生活をしているのですか」と、かなり叱られました。
 深く反省しております。(本心です)

 写真の手前に映っているのは、今夜の9時に飲む下剤です。
 明日の朝は、6時から何と9回も、大量の下剤を飲まねばなりませぬ。
 げげー。ぼくはお通じがいいのになぁ。こんなに飲むのきゃ。
 しかし胃カメラと大腸カメラのために必ず飲むように、という看護師さんの厳しくも、あたたかい指示が出ています。

 本気の躯づくりを再開しようと決めているので、しっかり受診します。
 きょうは検査の合間に、モバイル・パソコンで、ちょー細切れに仕事をする日でした。これもまた良きかな。

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