On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2013-05-25 08:56:31

日帰り風(ひがえりふう)のアメリカ、いざ。



▼いまは5月25日土曜の夜。羽田空港にいます。
 このあと深夜に、アメリカ合州国へ出発します。(合衆国は、上手すぎる誤訳です)
 太平洋を越えてサンフランシスコの空港に着くと、陸路、南下しサンノゼへ向かいます。

 ところがサンノゼに24時間も居られません。
 サンノゼで、海外に住む日本国民のかたがたのために講演をおこなうと、すぐ取って返して、月曜夜にはもう、東京にいます。
 現地で1泊はする形にはなるけど、実質的には、日帰りのアメリカですね。


▼この講演会は「日本を思う在米日本人の会」の主宰で、アメリカ合州国カリフォルニア州サンノゼで、5月26日の日曜に開かれます。
 講演のタイトルは「ぼくらの祖国 ~海外にあってこそ誇りが分かる」です。
 独研(独立総合研究所)が自主開催している「独立講演会」と同じく4時間半たっぷりと講演します。

 いったん満員になって「受付を締め切った」ということでしたが、今は「キャンセルが出て、若干ならまだ参加の余地がある」ということのようです。
 詳しくは、講演会の公式HP(ここです)を見てください。


▼この講演をなぜ、行うことになったか。
 発端は、独研(独立総合研究所)自然科学部長の青山千春博士の提案です。
「海外の邦人は、社長(※ ぼくです)の発信に関心が強いですね。社長はいつも、直接、眼をみて話すのを大切にしている。海外で講演しませんか」
 この言葉が、最初のきっかけです。

 ぼくの指示で、独研の総務部は日程の調整、つまり、すでにして隙間のない日程に海外へ行って帰ってくる「ちょーじん(超人)日程」(独研社員)を手品のように挟み込む調整をば、開始し、コストの検討、つまりどこまでの赤字ならどうにか耐えられるかの検討も始めました。
 こうしたとき、ぼくと独研は、いわゆる仲介業者に一切、頼みません。
 ぼくのつたない話を聴きたいかたがた、講演を希望されるかたがたと、独研が直接、話します。利益を出す目的で講演するのではないからです。
 仲介業者の仕事の邪魔は、もちろん決してしません。しかし、ぼくと独研は常に、みずから決し、みずから処します。
(したがって、仲介業者が「講師一覧」などと称して、ぼくの名をサイトなどで挙げているのは、ぼくと独研に無断で行われています。ぼくと独研に無関係です)

 話を戻すと、ぼくと独研は、アメリカのサンフランシスコ在住の日本人の主婦のかたがたと話し合うことに決めました。
 毎年12月にサンフランシスコで開かれる国際学会「AGU」(アメリカ地球科学連合)にぼくも青山千春博士も参加していますが、それを機に交流を重ねてきたみなさんです。
 そして、この主婦のみなさんを中心に手弁当で主宰者を務めてくださることが決まりました。
 このかたがたが自ら、「日本を思う在米日本人の会」という主宰者名も決められました。


▼この「日本を思う在米日本人の会」は、75ドルという受講料を設定されましたが、受講者は日本での開催とは違って多くは集めることはできません。
 日本ですと、最大で3000人の受講者になった講演会もありますが、今回は定員が90人です。
 だから、受講料が集まっても、ぼくと、独研からの同行者の往復の飛行機代が賄えるわけはないし、宿泊費すらもなかなか大変でしょう。
(※ぼくの出張は、国内外を問わず同行者が不可欠です。ぼくは多分野の仕事が常にささやかに同時進行していますから、連絡役としても同行者がいなければなりません)

 そこで、ぼくと独研から「交通費と宿泊費は、独研が持ちましょう」と主宰者のみなさんに連絡しました。
 すると「せめて、宿泊費だけでも負担させてください」というお話があり、お気持ちを汲んで、そのようにしました。

 3日前の5月22日水曜に放送された関西テレビの報道番組「水曜アンカー」は、番組終わりの「締めトーク」の時間が20秒ちょっと残ることになりました。
 生放送ですから、この尺(番組内の時間のこと)も、最後のCMのあいだに決まるわけです。
 そのCM時間に、「締めトークは、この講演のアメリカ出張の話をしましょう」となったとき、MCのヤマヒロさんは、おそらく「仲介業者がコーディネートする講演会」をイメージなさったのでしょう。「交通費(その他の実経費)も出さないなんて、コーディネーターがひどすぎる」と大きな声でびっくりなさり、そのままCMが明けて「締めトーク」になりました。
 たったの20秒あまりの時間ですからね、もちろん講演のいきさつなど話す時間は無いし、ぼくもちょっと慌てて「交通費と宿泊費は自腹」と申しましたが、正しくは、上に記したとおり、往復の飛行機代が自腹です。


▼主宰者のみなさんのひとりの主婦のかたからは、こんなメールも届きました。
「最近の青山さんのご活躍をラジオやテレビで拝見しておりますと、いつ休まれているのだろう、と思う程で、こんな状況で、よくアメリカくんだりまでいらっしゃって頂けるなぁ、と、まさに奇跡のように感じております。
 他のスタッフも同様に思っていますし、受講者の皆様もきっと同じだと思います。本当にありがとうございます!」

 ぼくと独研も、講演が実現して、こころから嬉しいです。


▼コストの問題だけじゃなく、いちばん貴重、大切な時間も、移動の時間(飛行機だけではなく国内外の陸路も合わせた時間)の方が、現地にいる時間より長いのですが、「なるべく水曜アンカーも、ニッポン放送ラジオの報道番組ザ・ボイスも休まないで」という声がこのごろ多いので、講演が終わると、即、帰るわけです。
(ただし、そのうち、どうしても水曜アンカーもザ・ボイスも休まねばならない出張もあると思います…)

 ほんらいは「せめて、もう1泊だけはする」ことになっていたのですが、27日火曜に、日本版NSC(国家安全保障会議)創立の有識者会議が入り、またその火曜の早朝に、日本の良心派の当局者と議論する機会もセットされたので、26日月曜の夜のうちに帰京せねばならなくなったのです。


▼さぁ、そろそろ搭乗です。
 さすがに、ここまでの大赤字の講演は、これ一度きりになるかもしれません。
 ヨーロッパでもやってくれ、というメールやブログコメントも頂いていますが、うーむ、たとえばロンドンでもパリでも、アメリカ西海岸よりさらに遠く、交通費もかかりますからね。
 独研が潰れてしまっては何にもなりませんから、正直、簡単ではないです…。

 この講演会は、講演タイトルにあるように、まさしく「ぼくらの祖国」という扶桑社から出している本の、いわば実写バージョンというか、そんな感じですね。
「ぼくらの祖国」は、長いあいだ、すこしづつ読者が増えていて、いまだに衰えません。
 この本は、日本を甦らせるための基礎のなかの基礎、土台のなかの土台になる本でありたいと考えて、その国際学会AGUに参加するために滞在していたサンフランシスコで完成させました。

 すべては繋がっています。
 これからも、ぼくと独研のある限り、さまざまなイベントを考えていきます。
 ヨーロッパにお住まいの日本国民のかたがたも含めて、みなさん、できればチャレンジしていきましょう。
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