On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2013-12-08 21:41:54

ほんとうの空


*いまサンフランシスコの午前4時42分。
 きのうの朝、太平洋を越えてシスコに着くと、空が、まるで久しぶりにほんとうの空が現れたようだった。

 毎年この季節には、地球物理学やエネルギーの国際学会(AGU/American Geophysical Union)に参加するためにシスコに来ているから、見慣れたベイ・エリアの光景、カリフォルニアの空なのに、魂に染みいるように澄みわたっている。

 学会に来たのだけれど、飛行機に乗るすこし前から、小説新作について、まったく新しいヒントが生まれている。
 空は、朝も夜も、その奥に、無を湛(たた)えている。
 あなたよ、無が怖いか。
 おのれに問う、無が怖いか。

*ことしのシスコは、いつもより寒いから、あの空だったのかな。
 太平洋の真ん中、ハワイの北を飛んでいるとき、ちょうど真珠湾攻撃の刻(とき)、ハワイ時間の12月7日に重なった。
 ひそかに、暗い海に、敬礼を捧げた。


(…ここまでは、独り言)


▼さてさて、いまは夜明けに向かって、学会参加の準備と、完成を越年させた小説新作、そしてこれも越年させた「ぼくらの祖国」(扶桑社)の新編、いずれにも同時に取り組んでいます。

 帰国後の12月20日金曜に、和歌山市内の宮脇書店で開くサイン会に「参加しますよぉ」という書き込みをいくつか頂いています。
 宮脇書店は、会場がいつも超がつく満杯になるから、参加される場合は早めに申し込んで頂いた方がいいかもしれません。
 ここです。

 ぼくは青山千春博士と一緒に、このサイン会に臨み、ロングセラーになっている「ぼくらの祖国」と、青山千春博士との共著の「希望の現場 メタンハイドレート」、「海と女とメタンハイドレート」(いずれもワニブックス)に、自作の銘などを記し、それから、読者おひとりおひとりの名前を敬意を込めてまず真ん中に書き、ぼくらのサインをしたため、握手し、そして希望されるひととはハグします。

 会いましょうね、冬の紀ノ國で。
 そのとき空が日本晴れならいいし、雨でも、またそれもいいし。
  • 前の記事へ
  • 記事の一覧へ
  • 次の記事へ
  • ページのトップへ
  • ページのトップへ