On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2020-07-11 16:56:31
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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逢ってこそ、魂が沸き立つ

▼きのう7月10日金曜に、大阪の羽曳野市に入りました。
 日本武尊、やまとたけるのみことが薨去 ( こうきょ ) されてのち白鳥に姿を変えてこの地に降り立ち、羽を曳きつつ飛び去ってていかれたという伝説から羽曳野の名があります。

 ここで明日7月12日日曜が投票日の大阪府議選の補選が行われています。
 ひとつの議席をめぐって、自由民主党の阪本なつよ候補と、大阪維新の会の候補の二人だけが立っています。

▼ぼくはまず一か所目、道の駅の前で、阪本なつよ候補、そして地元選出の代議士の長尾敬「日本の尊厳と国益を護る会」 ( 護る会 ) 副代表の3人で演説をしました。
 司会を務めてくれたのは、新しく自由民主党府議団の幹事長に選ばれたばかりの若手府議、原田亮幹事長です。
 選挙カーの上にあがり、マスクをしたまま演説を始めました。
 武漢熱の流行が始まってから、もちろん初めての演説です。

 第一声を発した瞬間、静かに血が沸き立つのを感じました。
 みんなの眼を直に見て、話す機会だからです。
 阪本なつよさんは、異業種から政 ( まつりごと ) の世界へあえて入ろうとする日本女子です。
 介護と医療の仕事に実に36年のあいだ、献身してきた57歳です。
 穏やかな演説に、素朴な人柄と、ひとのために生きてきた熱い志が秘められていて、ぼくは、それがみんなの魂に届くように、それだけを願って、声を振り絞りました。

 選挙演説で声を振り絞ると、なぜか、4年前のおのれの選挙の初日で選挙カーの事故があり、首を痛めた後遺症がどっと出てきます。
 ふだんはさほど出ないのに、不思議です。
 背後から鉄の爪で首の根っこを摑まれ、それから刺し込まれる、そういう痛みと重荷が、のしかかります。
 ぼくはこれを、責任の重さだと考えています。主権者がまさしくその主権を行使するときに、影響を与えるお話しをするのですから、その責任だと感じています。

▼二か所目の会場は、近鉄の古市駅前です。一か所目より、ずっと賑やかな場所です。
 そこでは維新の候補がまだ演説中でした。
 ぼくらは紳士的に一切の音を断ち、会場に近づきました。ぼくは選挙応援に入ると、演説だけではなく、走る車中からもマイクを握ります。しかしそれも、しばし封印しました。
 維新の演説が終わり、入れ替わりにその場所に入っていくと、旧知の松井一郎大阪市長がいらっしゃいました。
 恐縮ながら遠慮なく、「まついさぁん」と声をお掛けすると、ぼくの顔をご覧になってビックリされました。
「なんで、青山さんが羽曳野にまで来るんや」と仰るので、「ここだから来たんですよ」とありのままにお答えしました。
 前述の原田新幹事長によると、大阪府議会には88人の議員がいて、そのなかで自由民主党はわずかに16人、そして女性議員は実にゼロなのです。
 ここ羽曳野でたまたま欠員1となり、そこに日本女子が立たれました。応援しないでは居られません。党本部から何も頼まれていません。すべて、おのれの意思です。

▼ここでは、護る会幹事長の山田宏参議院議員が合流され、気がつけば、選挙カーの上で護る会の役員のうち3人が揃い踏みです。
 幹事長、副代表、そして代表のぼくです。
 以下、ぼくの演説をすこし紹介します。言葉のままではなく、あくまでも、いずれも趣旨です。

「護る会は、いまや56人の衆参両院議員を擁しています(註・56人目は今、手続き中です)。やがて地方議員や国民のかたがたにも入ってもらえる組織にしたいと考えています。阪本なつよさんが当選されれば、その第1号になってくださるでしょう」

「自由民主党も維新もありません。党利党略で選挙を考えるのはやめましょう。ぼく自身も自由民主党のために来ていません。政治を内部から変えるために来ています。ぼくらはみな、男子も女子も、母から生まれました。議会に女性の声はどうしても必要です。府議会に日本女子を送り込みましょう」

「阪本なつよさんのビラを読んでください。たとえば介護のほんとうの問題は、プロの介護士が辞めざるを得ないことが多くて、その理由のひとつには、実は書類仕事が多すぎることがある、それをペーパーレスにして、介護士さんが高齢者や身体の不自由なかたの介護にほんとうに専念できるようにしましょうという意味のことが書いてあります。何気ないようでいて、これは、実際に介護の現場で苦労してきた人でないと書けません。こういう人が必要なんです。既成のプロ政治家じゃなくて、こういう人が必要です」

「ぼくもわが母を、青山千春博士と一緒に介護しました。千春博士のお母さまも一緒に介護しました。しかし、仕事のあるぼくらだけでは介護はできません。介護士のかたがたの献身的なご協力があってこそ、無事に、ふたりの母を最後まで見届けることができたのです。そのたいせつな介護や、子どもの教育について、この阪本なつよさんなら、ほんとうのことを知っています」

「もう一度申します。自由民主党も維新もありません。このひとを見よ、決心して立ったこの女性を見てください」

▼山田宏幹事長とも、長尾敬副代表ともここ古市の駅でお別れし、ぼくは阪本なつよ候補、原田府議と一緒に三か所目の羽曳野市役所前へ行きました。
 阪本なつよさんは変わらずに、肩に力の入らない演説をなさいます。

「みなさん、今の素人みたいな演説を聴きましたか? これが、いいんです。これこそ、いいんです。お人柄と専門能力が伝わってきますよね? こういう阪本さんだったら、実際に、相談できるでしょう? 羽曳野のみなさん、こういう女性を身近な地元選出の府議会議員に選んでください」

▼阪本なつよさんは、その演説のなかで「すこし疲れてきていたのが、きょう青山さんの演説を横で聴いて、もう一度、頑張ろうという気持ちが湧いてきました」と仰いました。
 なんて、率直な言葉でしょう。
 まさしく「これが、いいんです」。

 ぼくは胸の裡 ( うち ) で思いました。
 大阪府議会は、前述したように、自由民主党は少数派、維新が過半数をしっかり握っています。維新の吉村知事の大人気もあります。
 きっと苦戦を感じて、空しさが一瞬、よぎったりされていたのでしょう。

 ぼくは別れ際に、阪本なつよさんに「主権者を信じてください。最後まで諦めずに、有権者とともに居てください」と申しました。

▼三か所とも、演説のあとは選挙カーを降りて、集まってくださったみんなを、ひとりひとり訪ねました。
 当然、感染防止が絶対最優先ですから、握手もハグもありません。
 しかし、みんなの熱気と志が直に伝わってきて、ぼくは魂の内側で男泣きしていました。
 懐かしい、みんな。
 ようやく再会できましたね。
 独立講演会でお会いしたかたも、初めてお会いするかたも、ぼくにとっては、やっとじかにお会いできた日本の主人公、こゝろの底から懐かしく、握手もハグもなくても、みんなの体温が直に伝わってきたのです。

 少女がひとり、青年がひとり、ぼくの本も持ってきてくださっていて、お名前を聞き、気持ちを込めてサインしました。

 みんな、みんな、やっぱり、また会おう。直に会おう。名古屋で8月に開く独立講演会で会おう。ここを見てください。いつもは、よろしければ見てくださいと、そう書くけど、いや今回は、是非ともここを見てください。
 ああ、会いたい !
 きのうのように会いたい !
 やっぱり逢わなきゃ話になんない !

★羽曳野のみなさん、羽曳野にお知り合いがいるみなさん、
 明日は投票です。
 期日前投票も今夜まで、行われています。

 このエントリーに記したことを、どうかお考えのヒントになさって、ご自分の頭で考えて行動されることを願い、祈ります。
 あなたが唯一の主人公です。ぼくも、護る会の議員も、阪本なつよさんもみな、代理人に過ぎません。


 
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