On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2020-10-30 03:52:44
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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みなさん、すごいなぁ・・・きょうは回答からスタートです ^_^



 勝手にクイズを出しておきながら、その答えがたいへんに遅くなり、ごめんなさい。
 しかし、正解が沢山いらっしゃったのには、ちょっと驚きました。
 その通りです。
 ぼくが経済産業部会の「部会長代理」に就いたために、着座が指定席となり、見る方向がちょうど逆になったのです。

▼部会というものを、もう一度、説明しますと・・・

▽まず、自由民主党には、政調があります。政務調査会です。組織として、幹事長室などと並び立つものです。政策の立案と決定を担っています。
 その政調の下に、国政の各分野別に「部会」がずらりと揃っています。
 あらゆる法案、政策は、この部会の諒承を得ないと、国会に出せないし、決定もできません。 ( ただし自由民主党が政権を維持しているのが条件です )

▽それぞれの部会では、自由民主党の議員のなかから部会長、部会長代理、副部会長が選ばれます。これが各部会の役員会を構成します。
 部会長はひとりだけですが、部会長代理、副部会長は複数います。
 ぼくはこれまで、外交部会の副部会長でした。この副部会長は役員の一員であっても、いわゆる雛壇 ( ひなだん ) には座りません。

▽これは、政府側に、各省庁別に大臣、副大臣、政務官があって、政務三役と呼ばれているのと似ています。
 すなわち、大臣と副大臣は、天皇陛下から認証をいただく「認証官」ですが、政務官は、そうではありません。陛下から認証をいただくことがありません。
 それともちろん同じではありませんが、上述の部会・役員会の構成も似ています。すなわち、部会長および部会長代理と、副部会長のあいだには、同じ役員であっても、明確な一線が引かれています。

▽雛壇というのは、ほんらいは、衆参両院の本会議場にある、一段高いところを言います。
 すべての議員は、本会議場に指定された席があります。それとは逆向きに、つまり議員席に向かい合って、雛壇があり、そこに内閣総理大臣から各大臣、官房副長官が座ります。
 その雛壇を、自由民主党本部の会議室に当てはめて、部会長および部会長代理の座る席を、こう呼んでいます。と言っても、まさか一段高くなっているわけじゃなく、ただ机と椅子の向きが違うだけです。

 エラそうな言い方だと感じる方もいらっしゃるでしょうが、実際はそうでもなく、おそらく若干の諧謔 ( かいぎゃく ) 、ユーモアめいた感覚も込めた言い方だと思います。

▽この雛壇に座る立場になると、原則として発言ができません。
 これも、政府側に入ると、すなわち大臣、副大臣、政務官になると、政府の外に向けた発言、発信が非常に厳しく制限されてしまうのと似ています。
 ただし、政府側と比べると、自由民主党の側は、自由度、許容範囲はかなり高くなります。
 どういうことか。
 部会において、平場、ひらば、つまり役員ではない自由出席の議員からの質問、発言がすべて終わって、かつ時間がまだあるときには、部会長の許可があれば、部会長代理も発言できることがあります。

▼このため、10月29日木曜の経済産業部会において、ぼくは政府 ( 経済産業省の行政官たち ) の発言に、どうしても見過ごせない点がありましたから、部会の開催中にタイミングをみて、雛壇の中央に座ってらっしゃる佐藤ゆかり経産部会長のところへ、会の進行を邪魔しないようにうしろから行き、小声で発言許可を求め、OKを得ました。
 そして部会の最後の最後で、発言しました。

 この日の部会のテーマは、自動車の電気化です。
 いま自動車には、ご存じのとおり、従来のガソリン車に加えてEV ( 電気自動車 ) 、PHV ( プラグインハイブリッド車 ) 、HV ( ハイブリッド車 ) 、FCV ( 燃料電池車 ) など新しいタイプが続々と登場しています。
 こうした技術進化に必要なコバルトについて、経産省の担当課長が平然と「資源国から安定的に輸入できるようにします」と発言しました。

 また、ですか・・・。
 そして、まだ、ですか・・・。

 しかし、党の側も、多くの議員からたくさん発言があったのに、このことについてはどなたも何も仰いません。
 官僚だけの責任ではありませんね。

 そこで前述の通り、部会長の許可を得て、「日本の海は、大量のコバルト・リッチ・クラストを擁しています。日本は資源国です。何を言っているんですか」と、発言した経産省幹部に申しました。
 コバルト・リッチ・クラストは基本、深海底にあります。
 海の底には、ある意味、地上より豊かに山脈があります。その海の山々の頂上から山肌にかけて、良質のコバルトを含むクラスト ( 地殻 ) が覆っているのです。
 1000メートルを超えるような海の底ですから、かつては採掘不能でした。
 しかし今は、ロボット技術の進化でぐっと近い存在になっています。

 EVをはじめとする技術革新の話をしているのに、資源に関しては、技術革新を無視する。
 これが日本の経済産業省の実態です。
 この実態を打破するのも、ぼくが経済産業部会の部会長代理に就いた理由のひとつ、任務のひとつです。
 雛壇に座ったからといって、おひな様みたいに黙って座っているだけでは、主権者のみなさんへの務めを果たしていません。
 上述したように、部会長の許可をちゃんと求め、得て、それだけではなく、ほんとうに平場の議員が発言を終わっているか、時間はどうかと、みずから良識をもって判断する必要があります。
 それらの条件が満たされるのなら、発言を致し、行政官  ( 官僚 ) だけではなく、国会議員の意識変革に寄与する義務が専門家にはあります。

 部会の役員は、部会を開くその前の政府側との水面下折衝で、大きな役割を果たします。
 だからこそ、部会が開かれると、自らの発言は原則、控えるのです。
 この水面下での仕事も徹底的にやりつつ、自由民主党を内部から変えるための行動のひとつとして、部会の場での工夫も必要だと常々、考えています。

 週明けに早速、議員会館の青山繁晴事務所で経産省との一対一の議論も予定しています。これが政府側との水面下折衝の一環です。

▼写真は、雛壇の末席に座っているぼくから見た、雛壇の様子です。当選1回で雛壇に座るのは、いくぶん例外的ですから、事務方が末席への着席を指定しています。
 中央あたりに部会長がいらっしゃいます。 ( 残念ながらこの写真では隠れてしまっていますが・・・ )
 この雛壇の背後から、さささと部会長に近づいて、発言の許可を求めたわけでアリマス。

 ひとつ前のエントリーの写真にありますように、これまでと違って、行政官のみなさんが目の前にずらりと座ってらっしゃいます。

 

 部会の始まる前に、この列のいちばんエラい人に、「部会長代理になってくださいと参議院自由民主党の幹部から連絡があったときに、青山さんが部会長代理になるのかと経産省が震え上がっていますよと仰っていました。震えていますか」と声を掛けました。
 もちろん、ユーモア込みです。ただし参院幹部の発言はもちろん、そのまま事実です。
 行政官たちはマサカの問いかけに噴き出しつつも、ちらり真顔も見せて、「はい、震えています」と一斉に仰いました。
 わはは。

 ところで、みなさんと対面して質問にお答えする独立講演会@東京の応募〆切が、きょう10月30日金曜の午後1時にぴしゃりと、閉じられてしまいます。
 主宰者の独立総合研究所は人が足りないので、募集の延期はありません。
 関心のあるかたは、ご注意くださいね。ここです。





 
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