On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2021-02-10 18:23:29
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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日本の国会議員を脅迫した中国、その中国がウイグルの人々の頭を剃り、目隠しをし、鎖で繋いで列車に押し込める動画が、国会内で公開されました



▼きょう2月10日水曜の正午、国会内の衆議院・議員会館の会議室にて、「日本ウイグル国会議員連盟」の総会が開かれ、参加しました。
 国会は衆参両院とも開会中ですから、どの議員も午前、午後とも日程が詰まっていて、正午から1時前までのふつう昼休みとなる時間を活用したわけです。

▼非常に衝撃的な総会となりました。
 写真は、感染症対策として広い会場を使った現場です。
 右奥に、ひとりだけ立っているひとが居るのが分かっていただけますか。
 マイクを持ってらっしゃるのも、分かるでしょうか。
 このひとは、日本ウイグル協会・副会長のレテプ・アフメットさんです。日本の大学院で学び、日本国籍もとり、今はぼくらと同じ日本国民です。

 このアフメットさんが、いわば証拠として動画や写真をスクリーンに映し出して語られました。
 あまりに深い悲しみと、抑えた怒りを込めて語る、その内容は凄絶そのものです。
 たとえば、インテリジェンスから中国によるウイグル人弾圧の実態を聴いているぼくであっても、あらためて強いショックを受けるものです。

▼現在、世界は、中国がウイグルのひとびとを教育施設というの名の強制収容所に閉じ込めていることを非難し、アメリカをはじめ諸国が「そこではジェノサイド ( 民族への大量虐殺 ) が行われている」とすでに認定しています。
 ところが日本政府は、自由民主党・外交部会でのわれわれの追及に、外務省の中堅官僚が「日本はジェノサイド条約を批准していないので・・・」と曖昧に答え、認定も何もしていません。
 そして政府だけではなく、ぼく自身も含めて国会も、国会決議ひとつ出していません。
 きょうの議連の総会は、それを打ち破るために開かれました。

▼アフメットさんの公開した動画には、この強制収容所が世界にばれたために、犯罪者でも何でもないウイグル人のふつうの市民である収容者のうち男性のみなさんの頭を剃り、目隠しをし、アウシュビッツのひとびとを想起するような一種の囚人服を着せ、鎖で繋いで列車に無理矢理に乗せて、中国の各地に移動させている現場も写りました。
 長い列車、見渡す限りの鎖で繋がれたひとびと。
 それは正直、ユダヤの人々を列車に乗せて収容所に送り込んだ、あの無残なナチスの映像よりも、さらに衝撃の深いものです。

▼それ以外にも、収容所で死に至ったウイグルの大学の学長、医学者ら著名人から若者、少年少女まで、膨大な、ありとあらゆる年代の男女の生前の姿、収容所に閉じ込められる前の姿を、並べて公開されました。

 この収容所では、中国側の所員が女性を毎日、勝手に選んで別室に連れ出して、性的な拷問を加え、所内に連日、女性の悲鳴が響いていることも英国などで報じられています。
 英国政府のアダムズ外交担当・閣外大臣が先週、「悪魔の所業が明らかにされた」と断言し、「わが政府は断固として対応する」と表明しています。

▼この日本ウイグル国会議員連盟は、自由民主党の議連でしたが、国会決議を打ち出すために、超党派の議連に改組され、きょうはその初めての総会でした。
 国会決議も、超党派、それも満場一致で行うのが慣例だからです。

▼総会の席上、配付された資料のなかに、ひとつ不可解なものがありました。
「中国のチベットについて」とか「中国の新疆 ( しんきょう ) 」について」と題した文章が並び、「チベット独立勢力を支持するな」、「世界ウイグル会議に対し、いかなる支持もするな」という趣旨が書かれています。

 この紙の意味を、議連会長で、不肖ぼくの長い盟友でもある古屋圭司・元拉致問題担当大臣は「実はこんなこともあったんです」と解説されました。
 古屋さんによると、これは西暦2012年5月8日付で、当時の程永華 ( てい・えいか ) 駐日本大使から多くの国会議員に配られたそうで、当時の自由民主党は野党でした。 ( ぼくは民間専門家の時代です )
 古屋さんは46人の自由民主党議員で抗議文を送り、そのなかで「文面の最後では、日本自身の安全にも害があると強圧的な表現がある」と指摘したそうです。
 古屋さんはきょう「これは日本と国会議員への脅迫だ」と語られました。

▼これから、まずは国会決議に向けて、超党派で新しい動きをしていくことになります。
 前出のアフメットさんは、感情を堪 ( こら ) えつつ、どこまでも深い悲しみいっぱいでした。感染症対策として遠くに座っていても、それがありありと伝わってきました。
 きょうの総会に来られたウイグルの人々は、実はみな、この収容所で愛する人たち、家族、親族の命を奪われているということでした。

 この中国が尖閣諸島の漁家や海上保安官の命を危機に晒すことも含め、ぼくらは一致できる点を探して、新たに連帯し、中国共産党の独裁という世界の厄災に、立ち向かうときです。

▼この総会をめぐっても、新動画の「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」で詳しく述べます。
 また、きのう2月9日火曜の2つの部会での発言内容について、いずれ、このブログに記します。

★明日の2月11日木曜、紀元節には、去年と同じく千葉で講演します。









 
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