On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2021-04-10 07:32:22
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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やっとクイズの答えです 一致点を探す現場にて その4 ( 完 )



▼丁寧に書きたいと思っていることは、動きの烈しい平日では正直、なかなか書けません。
 世はようやく週末となり、わずかながら余裕があるので、このエントリーを記します。
 と言っても、複雑なこと、長い話を書く必要は実は、ありません。ただ丁寧な気持ちで書きたいだけです。

▼写真は、先日の参議院・総務委員会にてNHKに対し、軍艦島(長崎市の端島炭坑)で働いてきた先達を真っ赤な嘘の映像で貶め、韓国の反日工作に利用された問題を問うたときのものです。
 公設政策秘書が院(参議院)の正式な許可を得て、撮ってくれました。
 その写真のぼくの目元を、拡大しました。

・・・垂れ目をわざわざアップにして、どうする。わはは。

▼みなさんに「質問するとき、ぼくの眼はどこを見ていたでしょうか」という趣旨のミニ・クイズをこのブログにて出しました。
 すると、びっくりするぐらい沢山の答えをいただきました。
「時計に決まっているでしょうに・・・」というニュアンスの答えもいただきました。そのとおりですね。時計も見ています。
 ながく応援してくださる女性のかたからは「いつものように、どこも満遍なく見てらっしゃるのでは」という趣旨の答えもあり、まさしくその通りです。
 答弁に立つ、NHKの前田会長、武田総務大臣、その横や背後に控えるNHKのある種の官僚群、総務省の行政官たち、それから、総務委員会が開かれた部屋の構造上、その後ろにいらっしゃった主権者・傍聴者のみなさん、さらに首を動かして、総務委員会の委員長、自由民主党の議員席、野党の議員席、その背後に並ぶ参議院の事務方、そして時計。
 すべてを見ています。
 質問する時は、委員会を問わず、いつもそうです。

▼ただ、ぼくのミニ・クイズは、そのなかでも、じっと眼を合わせていたのはどこでしょうか、という意味でした。
 答弁なさっている時は、答弁者に眼を合わせようとします。しかし多くの場合、答弁者は俯いて紙を読んでいます。それでも眼を合わせようとします。
 そして何よりも大切な傍聴中の主権者のみなさんには、ずっと眼が戻っていきます。

 ただ、こうしたなかでも、野党の議員のみなさんの変化、表情であったり、動作であったり、それから眼の変化を見ているのです。
 ミニ・クイズに答えて、これを挙げられたかたが、ひとりだけいらっしゃいました。
 正解のなかのスーパー正解です。

▼いつも質問していくうちに、野党議員の中に変化が出てきます。
 おや? という表情であったり、それまで知らん顔をなさっていたのが次第に身を乗り出されていたり。
 この日は、国民民主党の小林正夫さんというベテランの参議院議員と多く眼を合わせていました。
 不肖ぼくは、参議院議員となってから終始、予算委員会に属し、また希望して経済産業委員会に属しています。
 その経産委に初めて参加したときの委員長が小林さんでした。
 きわめて公平な議事運営が印象に残っています。

 その記憶に残る小林さん、現在は国民民主党・新緑風会の会派の会長を務めておられる小林さんが、質問の最初からずっと深く頷き、真摯に聴き入っておられらるのが、伝わってきました。
 ほぼ全議員に眼をあてながら、常に、小林さんに眼が戻り、無言の対話をしているような感じになりました。

▼質問を終えた翌日、3月31日の水曜に、参議院の本会議が開かれました。
 ご承知のように、本会議には、与野党の全議員が集まり、出席します。
 本会議が終わると、この全議員がどっと出口に向かいます。

 気が付くと、目の前に小林さんの後ろ姿がありました。
 思わず声を掛けると、小林さんは振り返り、なんとも嬉しそうなお顔をされました。

 本会議場の隅で向かい合うと、小林議員は「あのような質問を聴きたかったんです」と仰いました。
 ぼくは「ありがとうございます」と、こゝろからの感謝を述べて「誰よりも、名誉をけがされた島民のみなさん、端島(軍艦島)で朝鮮人であれ誰であれ同じ働くひととして仲良く、公平平等に懸命に働かれていた先輩のかたがたの名誉を取り戻したいのです」と一気に、しかし静かに申しました。
 きれいな白髪の小林さんは穏やかな眼で深く頷かれ、「その通りですね。よく分かります」と応えられました。

 ぼくは「これからも一致できるところを探していきましょう」と思わず原則論を申しました。
 小林正夫議員は「全く同感です。やりましょう! 実に良い質問でした」と仰ってくださいました。小林正夫さんは、工業高校を卒業されてから労働運動を経て、国会議員になられたひとです。
 労働者の実感がきっと、我がこととしてお分かりになるのでしょう。僭越な物言いながら、そう感じました。

▼誰も知らない、国会議事堂の片隅で、ひっそりと語られた会話です。
 みなさんが、この地味なブログを読んでくださるお陰で、世にほんのすこし知られることができます。
 ありがとう、みんな。





 
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