On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2021-06-01 21:23:59
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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【推敲しました】  日本男児が、日本女子を庇 ( かば ) うときは、条件付きはありません。無条件です。

▼今朝の8時まえに、「大坂なおみ選手を無条件に擁護します」と題したエントリーをアップしました。
 その時点で、反発するコメントが来ることを予測していました。
 覚悟と言えば、おおげさですが、淡々と予測したうえでアップしたわけですね。

 そしてそのエントリーでは、ぼくの専門分野のど真ん中である危機管理からすれば、別の道があったことを、短く記しました。大会の主宰者にも、別の道がありました。
 今回、記者会見をめぐる争い、紛糾の最中には誰も大人がいなかったという主旨を記したとおりです。

 さらに「圧というものに直面している、あるいは直面した経験のある人なら、どなたでも」うんぬんと書いています。
 これらは、危機管理からすれば、大坂なおみ選手の行動はベストではないけれど、大坂なおみ選手の受けている圧迫感を考えませんかという提案です。
 最後に「このように言うかどうかは、別にして」と書いているのは、上記のように「反発が来ることを知りつつ、書いています」という意味ですね。

▼すなわち、違う考え方、反対や反発も、あらかじめ理解しているということです。
 だから、そんなに激昂されずとも、あるいは、そんなにも長文をお書きにならなくても、あなたの意見は理解できています。大丈夫です。

▼大坂なおみ選手は、大会の主宰者や複数の有名選手が仰ったとおり、メディアを通じてその活躍を知られ、テニスという競技自体が、メディアによって人気を獲得していて、そこから大金を得ているのですから、ほんらいは、記者会見に応じる責任があります。
 それはその通りです。

 また、ぼくは19年近く、全力で記者職を務めましたから、記者には、厳しい質問もする、権利と言うより責任があることも、よおく承知しています。
 他方で、記者会見によっては、あるいはそのメディア企業の体質によっては、さらには記者によっては、卑しいと言わざるを得ない底意のある質問が平然とおこなわれる実態も、知っています。

▼そして不肖ぼくは、鬱の、逃れがたい症状や、重いものにこゝろを抑えつけられ、塞 ( ふさ ) がれるおおくのひとびと、その苦しみを知っています。
 それは、ぼくがひとの痛みを分かちあおうとする限り、自然なことであり、また、ものを書くことを職業のひとつとしているからには、必然でもあります。

 大坂なおみ選手がご自分で書いたと思われる英文からは、裸のこゝろの苦しみがありありと伝わってきます。
 それが伝わった瞬間、ぼくは擁護するという考えを、持ちました。
 そして、擁護する、庇う以上は、条件など付けませぬ。

▼あなたさまが、「いや、大坂なおみ選手は甘えているのであり、許せない」と仰ることを何も否定していません。
 ぼくは、ひとりの日本男児として、大坂なおみさんという日本国民を庇う、擁護したいと考えたのです。

 あなたのお考え、解釈と何も矛盾しません。
 ぼくとあなたが同一人物であれば、矛盾します。
 しかし、ぼくとあなたは違う人物です。違う人間には違う考えがあって、それぞれ尊重して、必要なら一致点を探しましょうと、いつも申しているとおりです。

▼この件で、これ以上の長話はしないようにします。
 ぼくの考えは、すとんと、決まったからです。

 ひとつだけ、提案があります。
「失望した」と言うのを、そろそろもう、やめませんか ?
 あなたさまが、誰かとふつうに話をしていて、あなたが言ったことについて突然、相手が「失望した」と言ったら、どう感じますか ?
 もはや対話になりませんね。

 この「失望した」という言葉遣いが、ほんとうに沢山、やってきます。
 あなたの期待に添うことが、いちばん大切ですか ?
 もしもそうなら、ぼくという、あなたとは違う人間は要りませんね。あなたの願望に似せた誰かが居るだけでいいのです。

 それぞれの期待と期待がぶつかるだけで対話のない世界、それが、大坂なおみ選手の感じている圧、息苦しさのひとつではないかと、ぼくはしんと鎮 ( しず ) まるように、考えています。
 一方でぼくは、あなたのその期待が、日本が甦ることへの渇望、にんげんが甦ることへの切望から来ることを、深く理解しています。もう一度、確信を持って申します。大丈夫です。

▼大坂なおみ選手は最後に、いずれは、話し合うべき人々と話し合って、良い方向に向かうようにしたいという考えを示されています。
 立派なことです。
 みずからの意思で日本国民であることを選んでいる大坂さん、日本はきっと、あなたの味方になります。今はどうぞ、ゆっくり、たっぷり休んでください。





 
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