On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2021-06-16 19:48:51
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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知事の資格とは、なんだろう

▼いま帰京する新幹線のなかです。
 静岡県掛川市の演説会場は、小雨の降る平日の夕方でしたが、感染症対策をとりつつも、驚くほど沢山のひとが集まっていました。
 県政が今のまま続いていいのかを問うひと、考えているひとが多いということではないでしょうか。

 ぼくは話の最初に「頼まれてきたんじゃありません」と叫びました。
 事実です。
 ぼくの知る岩井茂樹さんの人柄が好きで、明るい県政になってほしいから、徹夜明けのまま行ったのです。

▼選挙には常に、さまざまな情報が流れます。
 しかし、自分が直接知っているひとならば、そのお付き合いのなかで感じ、考えたことを、ありのままに主権者に伝えます。

▼それから、みなさんに知っていただきたい現実が、ひとつあります。
 日本国の知事は、その都道府県のなかではある程度、強力な権限を持っていても、中央の政治に対しては発言権が弱いのです。
 政治記者の時代に、九州のある県の知事に会いに行きました。地元では「殿さま」と、冗談ではなくまともに呼ばれていたような知事です。

 ところがこの有名な知事は、若い記者のぼくに仰いました。
「青山さんね、日本の知事ってね、バス停ひとつ自分で動かせないんだよ。それを陳情に中央の役所に行ったら、廊下で立ったまま待たされて、やっと会ってくれると思ったら、課長補佐なんだ。ノンキャリの課長補佐のひと。キャリアの課長は会ってもくれないんだよ」
 ぼくは「それがほんとうなら、国政に転じて、地方の声を聴く政治を実現されてはどうでしょうか」と生意気に答えました。

 この知事はやがて、国政に転じ、ご本人も想像もされていなかったような権力を手にされました。しかし残念ながら、地方の声を聴く政治を実現されることはありませんでした。
 殿さま感覚が抜けないために、人とほんとうにこゝろを開いて話していることが、そう多くなかった。
 せっかく民主主義に基づいて権力を手にしたのに、充分な仕事ができなかったのは、そのためもあったと思います。

 いま思うのです。
 だからこそ知事は、相手がどんな立場の人でも、たとえば中央の官僚でも、国政の政治家でも、それからどれほど意見の違う人でも、にこにこと話をできるひとでないといけません。そうでないと、地元は浮かばれません。
 岩井しげき候補は、ぼくの知る限り、それができるひとです。

 一切の利害関係とは無縁の立場で、静岡県の新しい知事に推します。
 岩井しげき静岡県知事の誕生をこゝろから願います、祈ります。





 
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