On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2021-08-27 04:32:10
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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【書き加えました】  入国制限が緩和されたことを問いました



▼自称公共放送のNHKをはじめ「東京オリンピックが終了したことに伴い、入国者の上限を1日2000人から3500人に緩和」と報じられています。
 最初の報道は、8月14日未明で、その後、実行されています。

 ところが、これをテーマに含めた外交部会 ( 部会は、自由民主党の政務調査会の正式な組織です ) が開かれません。
 ぼくはかつては外交部会の役員 ( 末席の副部会長 ) でしたが、現在は経済産業部会の役員 ( 部会長代理 ) です。
 外交部会はすべて参加していますが、あくまでも平場 ( ひらば ) 、すなわち役員でもなんでも無い立場での参加です。
 また外交部会長の佐藤正久参議院議員の素晴らしい努力の積み重ねを存じあげています。
 そのため、このテーマで部会を開くようぼくからは求めず、部会長の判断を待ちました。

▼自分から求めなかった、その背景はもうひとつあります。
 ご存じのひともいらっしゃると思いますが、ぼくはルールや原則を遵守することを大切にしています。
 単にモラルの問題だけではありませぬ。

 ぼくは自由民主党を内部から変える意思を内外に明言しています。
 自由で民主的な党であるはずですから、表向きには圧力も批判も稀です。 ( ないわけではありませんが )
 しかし、圧力や批判が少ないことにぼく自身が甘えては、駄目です。

 自由民主党を変えると述べるだけではなく、おのれ自身の行動として、法がむしろ保証しているところの、政治献金を受け取ること、政治資金集めパーティを開くことを、ぼくの議員活動においては全否定しています。
 ほんらいは、選挙にも議員活動にも絶対的に必要な後援会をつくらず「これだけは置かないと困るでしょう」といくら言われても後援会長も決して置きません。利益誘導に繋がるからです。
 いかなる団体の支持も丁重にお断りします。特定団体の利益を代表することを決してしないからです。国会議員は全国民のためにいます。
 派閥にも一切、属しません。 ( 無派閥の議員でも何かのグループに属するひとが大半です ) 
「地元」というものをつくりません。 ( 参議院の全国比例選出の議員でも、実質的に地元をつくることが大半です ) 
 すなわち現職議員のみなさんと真逆の生き方を、日々、積み重ねています。

 正直、政治資金ひとつとっても、たいへんに苦しいです。
 インテリジェンスの当局者から「一度だけでも政治資金パーティをやりませんか。青山さんがやれば、それが自分のためではないと多くの主権者が理解するし、おそらく純益が億単位 ( 実際には具体的な予測金額を仰いました ) が政治資金として確保できますから」と強く言われたこともあります。
 即、「いえ、やりません」とお答えしました。

 これらはすべて、日本国民のための、ささやかなテストケースだと考えています。
 日頃、政治のあり方を声を大にして批判している日本のオールドメディアは、こうした実験が5年を超えて続いていることを、絶対に、カケラも報じません。それどころか、そのような試みをする議員は、この世に居ないことにされています。

 話が逸れているわけではないのです。
 こういう生き方をしていれば、謙虚に、ルールと原則を守り抜く姿勢を同時に貫くことが、いかに大切かということを、人の生き方としても、よく分かっていただきたいのです。
 ですから、平場の立場から「このテーマで外交部会を開いてください」と部会長に求めることは、じっと控えてきました。

▼日々、行政官 ( 官僚 ) と議論し、交渉し、じりじりと秘かな味方を増やすことをしています。
 それは実は民間の専門家時代からずっと続けていることです。
 その積み重ねと人脈が、思いがけず議員となった今も、重要な土台となっています。

 そのうえで自由民主党の現職議員としては、まず部会という公式な場で表明して、そのあと個別に水面下交渉を重ねることが最も、国益と国民益に合致する効果をあげます。
 だから機会を待っていました。

▼きのう外務省の来年度予算、その概算要求 ( シーリング ) もテーマに盛り込んだ、外交部会が開かれました。
 この予算の中には、当然ながら、武漢熱の感染の拡がりを食い止めるための入国規制をおこなう予算も含まれます。
 挙手をして、いくつかの項目を問うと同時に、この「入国制限の緩和」を問いました。
「国民にこれだけ厳しい、影響があまりに大きな制限をしておいて、なぜ外国からの入国は緩和されるのか、主権者が憤激して当然です。一体どういうことでしょうか」と外務省に聞きました。

 冒頭の写真は、その外交部会です。
 最初に佐藤正久・外交部会長があいさつをされています。積極果敢な、立派な外交部会長です。
 ぼくの右側は、長尾敬・護る会 ( 日本の尊厳と国益を護る会 ) 副代表です。苦況が続く選挙区 ( 大坂14区 ) に居なければならないのに、閉会中でも国会に来て奔走を続けています。この日は、護る会の執行部会にもちゃんと参加してくれました。
 左側に並ぶのが、外務省の高級幹部たちです。
 大学で不肖ながら教えてもいるぼくの、志ある教え子の、大先輩としての高級幹部でもあります。よき先輩で居てもらわねばなりませぬ !

▼その外務省の回答はどうだったでしょうか。
「あれはムニャムニャ・・・」。何を仰っているのか分かりません。
 佐藤外交部会長が適切な助け船を出されました。「青山さん、あれは、在留邦人のワクチン接種のためなんです」
 すると、何を仰っているのか分からなかった外交官が、急にこう明言されました。「そうです。外国人のためではありません」
 外交部会は前述のように自由民主党の正式機関であり、部会長はその公式なトップです。外交部会長にお墨付きをもらった心境でしょう。

▼どういうことか。
 海外の同胞でワクチン接種が受けられないかたがたが、日本にお戻りいただければ、定められた空港にて無償で接種ができるという措置を、ぼくの求めも多少は影響して、いま政府が実行しています。
 その枠を広めるためなのです。

 どうして外務省はこれまで、この説明を日本国民にしてこなかったのか。
 説明しないから、前述のNHKも含め「オリンピックが終わって、検疫態勢に余裕ができたから、緩和する」と断言して報道されています。
 それを見聞きすれば、国民はどなたでも「なぜ外国人には甘いのか」という疑問を持ちます。
 もともと安倍総理の当時から、特に中国人の入国制限が甘く、ぼくは何度も何度も安倍総理に直接、見直しを求めました。
 この水際の甘さが、日本においては感染拡大の致命傷のひとつに現になっているのです。
 しかも、報道では、この「東京オリンピックが閉幕し検疫の態勢に余裕ができたから」という理由は、政府当局者が明らかにしたという文脈になっています。
 そして実際、国土交通省が「入国者数の上限を8月16日から1日3500人程度に緩和する。それによって搭乗者数を増やすように」とANAやJALに通知していることを、ぼくは確認しています。

▼ぼくは頭の半分で納得しながら、同じ頭の半分で、憤激しました。
「そうであるなら、なぜ主権者に、説明しないのですか。説明しないで、主権者に疑念を招くこと自体が、失政のひとつですよ」
 外務省幹部は、「申し訳ありません」と型通りに言いつつ、説明しなかった理由についてはまたムニャムニャです。
 ぼくはほんとうは、推察がついていました。
「日本人ばかり優遇か。外国人の人権はどうした」と批判されるのを恐れたのでしょう。
 日本型の「左翼」からだけ、こう言われるとは限りません。アフガニスタンへの自衛隊機派遣についても「誰でも乗せる姿勢であるべきだ」とも受け取れる批判が、ぼくにもこのブログを通じて届くのです。

 しかし行政官と国会議員が、部会という公開ではない場 ( 正確には、公開と非公開のあいだにある場 ) で、納得し合っていたら、国民は救われません。
 だから厳しく食い下がりました。
 結論として申せば、「外国人のために入国規制を緩める」のではありません。
 前出の外務省幹部も最後には、「外国からは原則、入国禁止、特段の事情のある場合だけ認めるということは変わっていません。今回の緩和は、あくまでも日本人のワクチン接種のためです」と明言されました。

▼そして、ぼくがずっと求めているのは、「ワクチン接種のために帰国が可能な日本国民だけではなく、帰国はできない海外の同胞のために、現地でワクチン接種ができるようにすべきだ」ということです。
 ワクチン接種は無償でも、帰国の費用などは自己負担だからです。
 おカネのことだけではない。時間、仕事の事情、家族の事情、一度去ったら仕事の必要があっても家族がいても
戻れなくなる懸念、さまざまにあります。

 これも実は、水面下交渉が一部は実現して、タイ、ベトナムで実現が始まっています。
 また交渉中の国もあります。
 この件は、別のエントリーでお話しします。

 みなさん、海外の同胞も、武漢熱に苦しみ抜いています。
 安倍総理、菅総理、いずれにも直に、ずっと「10万円の特別定額給付金の支給」をたったひとりでもなお、求め続けています。
 海外の同胞の支援のために90億円を超える予算は出ました。
 しかし、それで終わりではありませぬ。ほんらいは、すなわち同じ日本人として10万円を受け取るならば、比較にならない予算が必要になるからです。

 わたしたちの、はらからは、どこにいらっしゃっても、おろそかにしない。
 この日本人としての姿勢を共有することが、拉致被害者の奪還にも繋がります。
 それを、どうか、一緒に考えましょう。



 
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