2021-09-24 05:09:47
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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総裁選と人間性
▼みなさんから、総裁選の4人の候補、その人間性について、思いがけないほど沢山のコメントをいただきます。
古い時代の総裁選の主役も、福田赳夫さん、大平正芳さん、田中角栄さん・・・いずれも個性が強そうです。
ちなみに、ぼくはこのうち、どなたともお会いしたことがありません。
総理経験者と初めて話したのは、支局の新人記者の時代に、地元入りされた三木武夫・元総理にアポ無しで近寄って何かについての見解をお尋ねした時でした。
SPや秘書さん、地元後援会の幹部に囲まれていましたから、その人間の輪というか防御線に突入するようなぐあいになりました。
しかし三木さん本人だけは嫌がらず、26歳の新人記者のぼくにむしろ近寄ってこられて、質問に耳を傾けられ、ちゃんと答えられました。
政治家というのは、こういう感じなのか、対応が柔らかいなと、意外な感じがしたのを覚えています。
三木さんのお人柄や個性もあるのでしょう。
そして、良くも悪くも世論を気にする政治家像をも、そこに感じました。
そのとき、ふだんは事件記者です。刑事さんや留置場係の巡査は、記者に気を遣うことなど一切ありません。記者と付き合わなくても失うものはないからです。
そういうかたがたと、なんとか人間関係をつくろうと悪戦苦闘している最中でしたから、三木元総理のその「お、記者か、答えなくちゃ」という感じの表情が印象に残ったのでした。
なんの取材だったのかは、正直、忘れてしまったのです。しかし、その体温を感じるような対応と、それから低く渋い、しかし不思議な甘さのある声をありありと覚えています。
その8年後に、東京本社政治部の記者となり、中曽根総理の総理番を務めたのが、現職総理と身近に話す最初になったのでした。
▼たった今の総裁選に出馬されている4人のかたがたは、こうした総裁選の歴戦のひとびととは、かなり違いますね。
違いますが、共通するものもあり、共通項はあるけど、違いますね・・・という感じです。
▼そして、ちょっと思うことがあるのです。
きのう9月23日祝日の日中、体力をさらに強めておきたいので、時間がなくても無理を押して、トレーニングに行きました。
そして、とても短い時間ですが、自分でも良くやれるなと思うほど苦しいトレーニングをやりました。
そのとき、トレーナーと話したことが、意外かもしれませんが、総裁選立候補者の個性の話とちょい関係があるのです。
▼その前日の9月22日水曜、仕事を続けていて、みなさんの「寝てください」というご意見もあり、寝なきゃいけないと思いつつ、午前2時とか、そういう時間になりました。
その深更に、TVでは女子の高校野球のドキュメントをやっていたのです。
たまたま、そのチャンネルになっていました。
原稿を書いていると、いつもTVはついていて、ふだんは映画なのですが、この夜は偶然、地上波でした。とても珍しいことです。
原稿を書きながら、なぜ画面をちらちら視るか。人間が動いているだけで、うれしいからです。辛い深夜仕事の支えになります。
ふと、その女子高校野球のエース・ピッチャーのフォームに目が止まりました。
足を上げる動作が少ないのです。
投球動作の途中までは、バッターを打ち取るような動きではなく、まるで軽くキャッチボールをする感じです。
ところが躯の動きの半分を過ぎると突然、身体が、深く柔らかく強靱なバネのように動き、強烈ないい球を投げます。
そして、実際に、この好投手を擁したチームが日本一になりました。ことしの女子高校野球は決勝戦が甲子園だったそうで、感涙の姿が美しかったです。
ぼくは、ほんとうに「寝てください」というみんなの声をしっかり受け止めているので、そのあと原稿を中断して、ベッドに入ると、もの凄く眠いのですが、あの女子ピッチャーのフォームを考えていました。
原稿が主だったのが、それを打ち切ったので、頭がそっちに行ったわけです。
その素晴らしいエースが、小学生の頃に投げている画像も放送されていたのです。
それが、現在と、基本的には変わっていないのです。
なぜ、あのフォームで、最後には見事に体重が乗った球を投げられるのだろうか。
そう思いつつ、眠りに落ちました。
▼その数時間後、短く烈しいトレーニングが終わるとき、トレーナーにこれ、「なぜあのフォームでいい球が行くのか」を聴いてみたのです。
すると、彼は即座に答えてくれました。
「下半身の筋力が、たとえばスキーヤーの青山さんと比べて女子はふつう弱いです。高校野球の選手でも、そうだと思います。だから、足を高く上げると不安定になって、むしろいい球が投げられないでしょう」
ぼくは、「なるほど、そうか。身体に応じた合理的なフォームなんだ。だからコントロールの良い球が投げられる ? 」と応え、彼は深く頷きました。
ぼくは続けてこう言いました。
「ほとんどスキーにも行けないけど、以前に数時間だけ、インディペンデント・クラブ ( IDC ) の人たちと滑りました。IDCスキー集会に来られるのは、スキーの上手い人ばかりです。そのとき、ある会員に、青山さん、右ターンの時に腰が前みたいに入っていないですよ、と言われたんです。椅子に座って原稿を書いてばかりだから、股関節が硬くなっていた。それで、自宅で原稿を書く時には、椅子を全廃して、立ち机だけにした。おかげで、足の裏がかかとを中心に痛くなって、革靴を履いている時は特にたいへんだけど、股関節は良くなって、腰も入るようになったんです。
あの高校球児の女子の投球フォームを見て、それから今のあなた ( トレーナー ) の話を聴いて、よく分かりました。
結局、身体の通りにしか動けない。
運動神経がいくら良くても、実はそうなんだ。
出したい結果を出すには、芯から身体をつくらないといけないし、その身体に合った動きをすればいい。
そうですよね ? 」
トレーナーは「その通りですよ」と、屈強にして優しいこの元ラグビー選手がちょっと大きな声を出しました。
▼まつりごと ( 政 ) の指導者にとって、この身体とは、精神のあり方です。
政策論から権謀術数まで、さまざまにあっても、結局は、精神の通りにしか動かない。
精神、こゝろのありようが自己本位なら、政策や戦術まで、そうなる。
精神が大胆不敵でなければ、主権者に不安と逡巡を見抜かれる。
逆に、精神が鋼 ( はがね ) でありつつ、流れる雲のように自由で柔らかいのなら、何でもできる。何にでも立ち向かえる。国難を乗り越えられる。
そういうことではないかと考えるのです。
主権者・国民、党員・党友が、総裁選が激戦となったからこそ表れる、次期総理候補のかたがの人間性に眼を向けているのは、その意味から、とても正しいです。
選択の鍵のひとつが、ここにあるとも考えます。
古い時代の総裁選の主役も、福田赳夫さん、大平正芳さん、田中角栄さん・・・いずれも個性が強そうです。
ちなみに、ぼくはこのうち、どなたともお会いしたことがありません。
総理経験者と初めて話したのは、支局の新人記者の時代に、地元入りされた三木武夫・元総理にアポ無しで近寄って何かについての見解をお尋ねした時でした。
SPや秘書さん、地元後援会の幹部に囲まれていましたから、その人間の輪というか防御線に突入するようなぐあいになりました。
しかし三木さん本人だけは嫌がらず、26歳の新人記者のぼくにむしろ近寄ってこられて、質問に耳を傾けられ、ちゃんと答えられました。
政治家というのは、こういう感じなのか、対応が柔らかいなと、意外な感じがしたのを覚えています。
三木さんのお人柄や個性もあるのでしょう。
そして、良くも悪くも世論を気にする政治家像をも、そこに感じました。
そのとき、ふだんは事件記者です。刑事さんや留置場係の巡査は、記者に気を遣うことなど一切ありません。記者と付き合わなくても失うものはないからです。
そういうかたがたと、なんとか人間関係をつくろうと悪戦苦闘している最中でしたから、三木元総理のその「お、記者か、答えなくちゃ」という感じの表情が印象に残ったのでした。
なんの取材だったのかは、正直、忘れてしまったのです。しかし、その体温を感じるような対応と、それから低く渋い、しかし不思議な甘さのある声をありありと覚えています。
その8年後に、東京本社政治部の記者となり、中曽根総理の総理番を務めたのが、現職総理と身近に話す最初になったのでした。
▼たった今の総裁選に出馬されている4人のかたがたは、こうした総裁選の歴戦のひとびととは、かなり違いますね。
違いますが、共通するものもあり、共通項はあるけど、違いますね・・・という感じです。
▼そして、ちょっと思うことがあるのです。
きのう9月23日祝日の日中、体力をさらに強めておきたいので、時間がなくても無理を押して、トレーニングに行きました。
そして、とても短い時間ですが、自分でも良くやれるなと思うほど苦しいトレーニングをやりました。
そのとき、トレーナーと話したことが、意外かもしれませんが、総裁選立候補者の個性の話とちょい関係があるのです。
▼その前日の9月22日水曜、仕事を続けていて、みなさんの「寝てください」というご意見もあり、寝なきゃいけないと思いつつ、午前2時とか、そういう時間になりました。
その深更に、TVでは女子の高校野球のドキュメントをやっていたのです。
たまたま、そのチャンネルになっていました。
原稿を書いていると、いつもTVはついていて、ふだんは映画なのですが、この夜は偶然、地上波でした。とても珍しいことです。
原稿を書きながら、なぜ画面をちらちら視るか。人間が動いているだけで、うれしいからです。辛い深夜仕事の支えになります。
ふと、その女子高校野球のエース・ピッチャーのフォームに目が止まりました。
足を上げる動作が少ないのです。
投球動作の途中までは、バッターを打ち取るような動きではなく、まるで軽くキャッチボールをする感じです。
ところが躯の動きの半分を過ぎると突然、身体が、深く柔らかく強靱なバネのように動き、強烈ないい球を投げます。
そして、実際に、この好投手を擁したチームが日本一になりました。ことしの女子高校野球は決勝戦が甲子園だったそうで、感涙の姿が美しかったです。
ぼくは、ほんとうに「寝てください」というみんなの声をしっかり受け止めているので、そのあと原稿を中断して、ベッドに入ると、もの凄く眠いのですが、あの女子ピッチャーのフォームを考えていました。
原稿が主だったのが、それを打ち切ったので、頭がそっちに行ったわけです。
その素晴らしいエースが、小学生の頃に投げている画像も放送されていたのです。
それが、現在と、基本的には変わっていないのです。
なぜ、あのフォームで、最後には見事に体重が乗った球を投げられるのだろうか。
そう思いつつ、眠りに落ちました。
▼その数時間後、短く烈しいトレーニングが終わるとき、トレーナーにこれ、「なぜあのフォームでいい球が行くのか」を聴いてみたのです。
すると、彼は即座に答えてくれました。
「下半身の筋力が、たとえばスキーヤーの青山さんと比べて女子はふつう弱いです。高校野球の選手でも、そうだと思います。だから、足を高く上げると不安定になって、むしろいい球が投げられないでしょう」
ぼくは、「なるほど、そうか。身体に応じた合理的なフォームなんだ。だからコントロールの良い球が投げられる ? 」と応え、彼は深く頷きました。
ぼくは続けてこう言いました。
「ほとんどスキーにも行けないけど、以前に数時間だけ、インディペンデント・クラブ ( IDC ) の人たちと滑りました。IDCスキー集会に来られるのは、スキーの上手い人ばかりです。そのとき、ある会員に、青山さん、右ターンの時に腰が前みたいに入っていないですよ、と言われたんです。椅子に座って原稿を書いてばかりだから、股関節が硬くなっていた。それで、自宅で原稿を書く時には、椅子を全廃して、立ち机だけにした。おかげで、足の裏がかかとを中心に痛くなって、革靴を履いている時は特にたいへんだけど、股関節は良くなって、腰も入るようになったんです。
あの高校球児の女子の投球フォームを見て、それから今のあなた ( トレーナー ) の話を聴いて、よく分かりました。
結局、身体の通りにしか動けない。
運動神経がいくら良くても、実はそうなんだ。
出したい結果を出すには、芯から身体をつくらないといけないし、その身体に合った動きをすればいい。
そうですよね ? 」
トレーナーは「その通りですよ」と、屈強にして優しいこの元ラグビー選手がちょっと大きな声を出しました。
▼まつりごと ( 政 ) の指導者にとって、この身体とは、精神のあり方です。
政策論から権謀術数まで、さまざまにあっても、結局は、精神の通りにしか動かない。
精神、こゝろのありようが自己本位なら、政策や戦術まで、そうなる。
精神が大胆不敵でなければ、主権者に不安と逡巡を見抜かれる。
逆に、精神が鋼 ( はがね ) でありつつ、流れる雲のように自由で柔らかいのなら、何でもできる。何にでも立ち向かえる。国難を乗り越えられる。
そういうことではないかと考えるのです。
主権者・国民、党員・党友が、総裁選が激戦となったからこそ表れる、次期総理候補のかたがの人間性に眼を向けているのは、その意味から、とても正しいです。
選択の鍵のひとつが、ここにあるとも考えます。