On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2021-11-08 14:39:43
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
Comments (0)

【写真を追加し、ひとことだけ書き加えました】  みなさんの書き込みのなかには、重要な参考情報が含まれています  たとえば自由民主党と共産党、自由民主党と維新について


( 授業風景。許可を得て撮影しています。これは東京大学教養学部です。
 近畿大学経済学部は写真をざっと探したのですが、見つかりません。苦労して教えていたので、写真を撮る余裕がなかったかなぁ。また見つかれば、アップします。東大だけじゃ近大に悪い ? ですから )


▼自由民主党と維新の関係を考えるうえで、とても大切な参考情報だと申せる書き込みがありました。
 書き込んだかたの個人情報が決して明らかにならないように注意しつつ、一部分だけを引用します。

~以下、一部を引用~

 学校が荒れて金八先生などのテレビが流行っていた頃、自民党政権は46人学級をそのまま続ける方針でした。
 どう考えても46人も一人で見られないわけで、それは教育実習を一回やればわかりました。教室に3人3箇所騒ぐ子がいれば、もう授業はできません。
 学級の人数を是々非々で減らす方向の政策を掲げていたのが共産党でした。
 当時は共産党の怖さを知りませんでしたし、外交安保についても無知だったので、子供たちや先生たち、先生志望の学生を苦しめるだけの自民党政権は要らないと思っていました。

~一部の引用の終わり~

▼このかたは当時、大学生ですね。
 そして、一般的には中年と呼ばれる年齢になるまで、共産党支持であり、現在は外交・安全保障の観点から共産党支持を離れたそうです。
 また、現在、飛ぶ鳥を落とす勢いの維新にも、外交・安全保障について危機感を持っておられるとのことです。

▼このかたは、不肖ぼくのブログでいろいろな記憶が喚起されるそうですが、ぼくもこの書き込みを拝読して、記憶が甦りました。
 ぼくが学生を教えてきたのは、近畿大学経済学部と東京大学教養学部です。
( 国会議員の公務が非常に忙しくなった今でも、近大は年に2回ほどの特別公開講義、東大は学生有志によるゼミナールという最小限度ながら、かろうじて講義を維持しています )

▽ありのままに申して、近大は座っている席によって学生に違いが大きく、東大はきわめて小さいです。
 ぼくは受験勉強に否定的ですが、これは、受験勉強で学習の癖が付いているかどうかの差かも知れません。
 これも正直に言って、東大で教えるのは非常に楽です。近大で教えるのは、苦労はしました。
 しかし、だからこそ近畿大学では、「迷える子羊」こそを扶 ( たす ) けようと力を、ほんとうに全力を尽くしていました。

 大教室に300人ぐらいの学生が集まっています。
 当時のぼくは、関西テレビの報道番組「アンカー」で自分のコーナーを持っていたからです。 ( 東大は、正式な非常勤講師の時代から、人数を抑えたゼミナールでした )
 広い教室の最前列に座っている学生は、意欲があり、優秀でした。
 びっくりするぐらい能力の高い学生がいて、聴くと、著名な国立大学に合格したのに、ぼくの授業があるからと近畿大学に入った学生もいました。
 ところが後ろに座っている学生のなかには、私語が多く、文房具すら机上に出ていない学生がいます。

▽ぼくは授業が始まると、最後列に飛んでいき、私語をやめさせ、カバンのなかに文房具が入っていないのか問いただしました。
 驚いて教室を出ていく学生は、大学生の自主性を尊重して追わずそのままにし、残った学生はとことん面倒をみました。
 なかでも、ぼくに叱られているときに反抗し、真っ直ぐ眼を見てくる学生は、教室の最前列に移動させ、授業をしっかり聴かせました。
 そのなかから、就職で苦労した末に、いまはANAの国際線のCAとして活躍している学生も出ました。

▼最前列の学生には、申し訳ないと、内心では思っていました。
 せっかく国立大学の入学を辞退してまで、ぼくの授業を聴きに来ているのに、ぼくは遙か後方で、まるで小学生を指導するかのような教育に時間を掛けているのですから。
 もちろん、前述の書き込みをくださったかたの関心事である「外交・安全保障」を、「国際関係論」という科目名で教えるのが本分ですから、「遅れている学生を小学生レベルにまで立ち戻って叩き直す」ということ以外に、徹底的に、外交・安全保障を考える基本、それから祖国を考える志について、力を尽くして教えました。

▽近畿大学経済学部で客員教授として、丸一日を費やして大阪に行き、単位を出し、試験も行って教えるのは、学舎が見えてくると登校拒否になりそうなぐらい、たいへんでした。
 それでもなぜ、教室に留まる学生なら、ひとりも見捨てないように懸命だったか。

 ぼく自身が父と母の家庭教育で「弱者を見捨てるな」という背骨を造ってもらったことが、まずあると思います。
 それから、日本の大学教育に、怒りを持っていたことも大きいでしょう。
 小中高の先生のほうがよっぽど、生徒のことを考えてくれましたよね。
 大学の教官は、いったい学生に興味があるのかと思うようなひとも居ませんでしたか ?
 学生をろくに見もしないで、白板に自分のご存じのことを書いていくのが、教育でしょうか。
 そんな大学の先生は一部と言いたいところです。しかし、全部では全くないけれど、ごくごく一部とも言えないのではないでしょうか。
 だから、自分が教えるときには、徹底的に学生に関わるよう、自然に努めていたのです。
 大学とは、研究機関であると同時に教育の場でもあることが本質だと考えています。

▼そのうえで、前述の書き込みのかたが指摘なさっている自由民主党と共産党の関係、いまは自由民主党と維新との関係、いずれも鋭い指摘を含んでいると考えます。
 まず、自由民主党は、常に、あらゆる分野で、現状維持に流れる傾向があります。
 同時に、現状を変えようとする勢力は、確かに、外交・安全保障に致命的な問題、難点、弱点を抱えていることが多いです。
 敗戦後の日本が76年にわたり脱出できない、宿痾 ( しゅくあ ) とも言えるでしょう。

▼これらを踏まえて、不肖ぼくは、何を言われても「自由民主党を中から変える」ということに徹します。
 無駄だ、非効率だと言われても、別に頑固になっているのではなく、論理的に正しいと考えるからです。

 総選挙の結果、ぼくは9か月後の参院選で落選する可能性がかなり出てきたと客観的に、冷静に考えています。
 理由の詳細は、ここでは述べません。
 ここは、無条件の公開情報ですから。

 9か月後に落選したら、ぼくの、まつりごとへの関わりは、おしまいです。
 たとえば「青山さんはどうせ当選するだろう」という主権者の判断が、落選に繋がる可能性が充分に出てきました。票が分散するからです。それが総選挙後のひとつの大きな情勢変化です。
 しかし、それであっても主権者の判断です。至高の、尊い判断です。
 ぼくは、まつりごとに現場で関与する資格を喪います。あるいは、完全に喪ったとおのれを断じます。参院選の結果はもちろんまだまったく分かりませんが、もしもそうなれば、間違いなくそう考え、行動します。

 そこまでは、近畿大学や東京大学の学生諸君に接するのと同じように、国会議員と主権者のみなさんに、全身全霊で接します。




 
  • 前の記事へ
  • 記事の一覧へ
  • 次の記事へ
  • ページのトップへ

 

コメントは原則非公開です。それをご理解のうえ、投稿してください

名前
タイトル
メールアドレス
コメント
認証入力
画像認証 CAPTCHA Image 画像変更

※入力欄はすべて必須です。
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
※文字化け等の原因になりますので、顔文字の利用はお控えください。

もう一度、コメントがすべて「原則非公開」であることを確認され、投稿ボタンを押してください。

  • ページのトップへ