On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2022-02-28 03:05:45
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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(推敲しました)  トイレには行こうかなと思います

▼奇妙なエントリー・タイトルで申し訳ない。

 ぼくは参議院議員に初当選以来、「国会審議はほんらい、日本の民主主義にとってどれほど意義深いものか」を一緒に考えるきっかけのひとつとして、審議中には席を外さない、トイレにも行かないということを続けてきました。
 多くのみなさんから「それでは身体を悪くする」という意見をいただき、考え直そうかと何度も思い、それをみなさんにもお伝えしたことがあります。

 しかし、国会の現場に入り、安易に席を離れる議員もいるという現実に接し、やせ我慢で、トイレに行きたいときにも耐えてきました。
 それを維持してきました。

▼こないだ2月25日金曜の参議院・予算委員会は、野党のいつもの「参議院の片道方式を最大限に使う」という姿勢もあって、9時間近くに及びました。

 片道方式とは何か。
 審議の時間に、政府側が答弁する時間を入れず、議員が質問している時間のみをカウントするやり方のことです。  
 衆議院ではこのような方式をとらず、両方とも審議時間に入れます。これを往復方式と呼びます。
 片道方式、往復方式、いずれも主権者・国民にそのままでは何のことか分かりません。こうした呼び方自体が、いわば国会の仲間内のやり方であり、おかしいと考えます。国会でもどこでも、主人公は、国民です。

 参議院の事務方、つまり官僚も、公式HPなどで「参議院独自の方式」と自讃していますが、ぼくは反対です。
 参議院の独自性は、審議の中身で実現されるべきことです。
 この不可思議な方式は、審議の引き延ばしと、総理以下の全大臣を過剰に束縛する、すなわち答弁機会が無くても、じっと、ずっと、委員会室に居続けてもらうことに直結しています。

▼金曜の予算委員会は、いつものこととして、終了予定時間は無視されるがごとく、いつ終わるとも知れず続きました。

 野党議員の中には、政府側の答弁時間はカウントされないために、政府 ( 官僚ら ) に法律や公開資料の読みあげをさせる議員もいます。
 ほんらいは、質問の中に、その法律も資料も取り込んで、質問なさるべきでしょう。

 また、答弁側の時間に政府ではなく外部のかたを招いて「答弁」ではなく「意見陳述」を求める議員もいます。
 その外部のかたは、片道方式も何も、情報がなくておそらくご存じなく話されますから、じっと聴いている議員や、総理をはじめ全大臣は、いつ終わるのかも分かりません。
 片道方式がどうとかをご存じなくても、それはまったく、外部のかたの責任ではありませんね。

 金曜日は、野党議員のなかに、質問は短く答弁は長く・・・によって持ち時間の実に4倍を超える審議時間となった野党議員もあれば、上記のように外部のかたがたの「答弁ではなく意見陳述」もあり、予定時間を超えに超えて、ついに9時間近くになったわけです。

 ぼくはこうした実態について、自由民主党の予算委員会理事に、意見を申しました。
 ぼくは理事ではないヒラ委員であり、委員会の運営に何の権限もありません。
 しかし主権者・国民の健全な目から見て、どうかと思われるようなことについては、ぼくの負託された責任のひとつとして、内部から声を上げます。

▼その9時間近くずっと、トイレにも行かず、ひたすら座り続けました。
 ぼくは生来、新陳代謝が活発で、トイレの回数も多いです。
 それを意思の力でスイッチを切り替えて、耐えます。

 しかし、もう足かけ6年、参議院議員としての1期をほぼ丸々通じて、「議員は徒 ( いたずら ) に離席すべきでない」ということを、おのれ自身が離席しないことを通じて、ひっそりと、かつ勝手に、訴え続けてきました。
 稀に離席したときは、『平気で離席する』という議員の感覚に慣れた自由民主党本部の職員によって、参議院の本会議から呼び出されたり ( このかたには、そういう慣れ、感覚についてご注意を申しあげました ) 、あるいは与野党を問わず、他の議員から協議のために呼び出されたりしたときだけです。

▼足かけ6年の長きに及ぶ、身体への異常な負担は、これ以上はいくら何でもやりすぎかなと思いますから、きょう2月28日月曜の審議から、一応、トイレに行くこともあり得るよう、大袈裟な言いぶりで申し訳ないですが、転換しようと考えています。
 月曜の審議が始まる前に、主権者・国民のみなさんに、それを、この地味ブログでお伝えします。

 こんなやせ我慢の国会議員が居たことは、もちろん忘れ去られます。




 
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