On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2022-07-08 22:36:55
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安倍晋三元総理の暗殺をめぐる奈良県警の会見はまったく納得できません

▼もしも、警護官が安倍さんの背後をひとりでも見ていれば、安倍さんは生きている。
 犯人が一発目を撃ち、それは安倍さんの頭の横にそれた。
 一発目が撃たれた瞬間に犯人に飛びかかっていれば、おそらくは、二発目を撃てなかった。
 連射式の高性能銃などではなく、射撃の間隔が空く手製の銃に過ぎなかったのだから。

▼もしも、犯人が一発目を撃った直後に、警護官が安倍さんに被さって倒していれば、安倍さんは生きている。
 それができずとも、警護官が安倍さんを突き飛ばしていれば、安倍さんは生きている。

▼こうした事実がもはや明確になりつつあるにもかかわらず、奈良県警は「警護の手の内を見せることになる」と称して、説明を実質的にすべて拒みました。
 何を言っている。
 7月8日金曜の安倍晋三元総理の警護体制に不備があったからこそ、安倍さんは殺害されたのであり、その不備な警備体制は二度と、とることができない。
 すなわち、もう失敗してしまった警護の手の内が分かって、もはや何の不都合があるのか。

▼危機管理の専門家のひとりとして、申しあげる。
 わたしは許せない。
 訓練を重ねてきた多くの警護官のためにも、この責任逃れと隠蔽の姿勢は即刻、改めねばならない。

 また記者会見を奈良県警に任せた警察庁も、厳しく断罪されねばならない。
 安倍さんがひとつしかない命を落とした背景には、現場を地元の警察任せにした体勢がある。要人警護の訓練が豊富な警護官を中央からより多く派遣し、かつ、地元との連携の訓練を重ねるべきだった。

 若いときから、すなわち49歳にして自由民主党幹事長になったときから、警護官に囲まれて生きてこられた安倍さんが、警備の不備によって非業の死を遂げる。
 人生は、罠に満ちている。

 守れなかった警護の問題と同時に、犯人の動機についても、知るところ、考えるところがあります。
 しかしここでは述べません。





 
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