On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2022-07-09 08:53:25
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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(もうひとつ書き加えました) (さらに書き加えました) (書き加えました)  畏友 ( いゆう ) 、安倍晋三さんが飛び去るのを見送って

 きのう7月8日金曜の朝、羽田空港でANA17便に乗り込んだとき、安倍晋三元総理がSPと共に入って来られることに最初に気づいたのは、わたしに同行する出口 ( いでぐち ) 太・公設政策秘書でした。
 わたし自身は、座席でパソコンの仕事を急いでいて、まだ気づいていません。

 すると、安倍さんが席に着こうとして着かず、斜め後ろのわたしの座席へ行き、身体を屈めて、わたしの肩を二度、叩くのを出口秘書は間近に見たそうです。
 その叩き方、叩かれたぼくがびっくりして顔を上げるほど強かったのですが、その強さにこそ、まさしく親愛の情がこもっていました。
 出口秘書は『あぁ、ほんとうにうちの議員と、安倍元総理は仲がいいんだなぁ』と感じたそうです。

 安倍さんは「お疲れ」と、満面のにこにこ顔でわたしに声を掛けられて自席に着かれました。
 わたしは他の乗客を考えて一瞬だけ迷い、しかしすぐにシートベルトをいったん外して、すぐ斜め前の安倍さんの席に身体を伸ばし、「総理、お疲れさまです」と申しました。
 安倍さんは、すこし振り向いて、穏やかに、微笑 ( ほほえ ) まれました。

 そのあと午前10時ごろに、飛行機が伊丹空港に無事に着きました。
 ドアが開くまでのあいだ、安倍さんとわたしは飛行機のいちばん前の狭いスペースに立って、顔を近づけ、ちいさな声で話しあいました。
 それも、出口秘書はずっと見ていたようです。

 飛行機から降りるとき、ぼくは警護の邪魔にならないようにと、安倍さんと一緒に歩くことはせず、先にスタスタといつものように軽快に歩いて行かれる背中を見送りました。

 そこからたった1時間半後の午前11時半ごろに、畏友、一国の元総理に対して僭越至極ではありますが、まさしく敬愛するわが友が、首に凶弾を浴びるとは、なんたることでしょうか。

 わたしたちはお互いに、そのとき、参院選のために演説中でした。
 わたしは頭の隅で、奈良の同期議員のために応援演説をされている安倍さんが、しっかり警護官に守られているであろう姿を想像していました。
 どんな演説をされているのかなと、おのれも演説をしながら、ちらりと考えてもいました。
 また、安倍さんのその日最初の演説が奈良だとお聴きしていましたから、おそらくわたしが昨秋の総選挙の応援、それから6年前のおのれの参院選で演説した、あの大和西大寺駅前の同じ場所じゃないかなとも思っていました。

 すると、午前11時50分頃に、出口秘書がわたしにスマートフォンの画面を見せて、惨事を知らせました。
 わたしは短く考えてから、聴衆である主権者・国民のみなさんに第一報を知らせたうえで、「安倍さんはきっと戻ってくると信じます」、そう話ししているとき、あの背格好の気配がまずわたしのすぐ背後に現れました。

 わたしは聴衆のみなさんへ発している言葉とは裏腹に、胸の裡(うち)では『あっ、これは、もう駄目じゃないか。別れを告げに来られた』と無言の大声で叫びました。悲痛苦の思いが噴き出ました。
 すると次の瞬間、気配はわたしの右横に回り、その朝に機内で見た笑顔そのままに微笑んで、凄まじい速さで斜め上に飛び去って行かれました。

▼心無いひとびとがまた、中傷誹謗のターゲットにするでしょう。
 また、わたし自身、にんげんが創りあげてきた科学で説明できないことを、みんなに信じてもらいたいという気持ちは皆無です。
 さらに、わたしの感覚を絶対視しない、ただの思い違いかも知れないと客観視することを常に、心がけています。
 だからもう、書くのはやめようと思いました。

 しかし暗殺から一夜明けて、畏友のほんとうのお人柄を最期にいちばん表しているかも知れない出来事であること、そして、わたしに何かを告げよう、「託す」と表現するのは僭越だと思います、それでも何かを以心伝心で伝えようとされたのかも知れないことを思い、ここに、主権者・国民のみなさんのためにこそ記します。

 日本の主人公であるみなさんが、安倍さんという稀代のリーダーを喪って打ちひしがれているコメントが次々にこのブログに届く、それが、ここに上記を述べた最大の理由です。

 古代の父祖から、営々と創りあげてこられたこの祖国を、甦らせる。
 その安倍晋三元内閣総理大臣の志は、死なず。





 
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