On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2022-11-13 08:13:10
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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献辞を公開します



▼週末となりました。
 土日であっても、水面下の議論と交渉は続きます。土曜や日曜だからこそ、行える議論や交渉もあります。

▼きのう12日土曜は、未明から時差のあるところと電話とEメールで交渉をおこないました。いずれも暗号化しています。
 そのあと、トレーナーのところへ朝から出向き、鍛錬をしました。

 かなり烈しい鍛錬で、メニューの3分の1ぐらいをこなしたときに、内心でブチッという音が聞こえました。
 メンタルとしては、ノックアウトです。カタカナだらけになってしまいましたが、精神的には『あぁ、もう駄目だ。これ以上は無理だ』と音をあげたということです。

 もともとぼくは怠け者で、飽きっぽいのが欠点です。
 気はとても強いけど、何か単調なことを続けるという意思は弱く、筋力の鍛錬メニューは単調になりがちなので、辛いのです。

▼しかし一生懸命にメニューを工夫してくれているトレーナーに悪いのと、メンタルがダウンしても、肉体そのものは耐えるので、途中でやめてしまうということはせずに、どうにか続けていました。

 すると・・・あっ、という感じで、心身が軽くなったのです。
 心身と言うより、躯です。
 躯が『あ、そうなのか。スポーツに試合も含めて復帰するのね。そのために鍛錬しているんだね。分かりました』という感じで、詰まりに詰まった公務日程による疲労も、年齢も、精神の深い部分の鬱屈も、何もかもすっと超えて、スポーツする躯に戻ったのです。

 そして同時に、心身が今までの分裂、すなわち、へこたれてしまった心と、へこたれはしない肉体が、ぴたりと一致して元に戻ったのがありありと分かりました。
 そのあとの鍛錬は、トレーナーも驚くほど平然と、最後までやり切ることができました。

▼誠に、にんげんの心身なるものは、神妙なるものですね、みなさん。

 思えば、過激な日程のなかで、新しい物語の「夜想交叉路」を書きあげることができたのは、スポーツではなく「芸術としての文章を書く」という分野では、すっとこの『心身の一致』があったからではないかと考えます。

 つまり、スポーツの世界では『もう現役じゃないんだから』と世間様に刷り込まれて、どうしても自分自身でもその思い込みに囚われているので、烈しい鍛錬をしていると『こんなことをしていても、無駄では ? 』という気持ちになっていたのでしょう。
 しかし、作家としては、国会議員であると同時にプロフェッショナルな作家なので ( 国会議員の兼業は認められています。それに、不肖ながら、いかなる意味でも他の平均的な議員よりは働いていると、謙虚であるよう心しながらも申せます ) 、心身がぴたり一致して、疲労を乗り越えて、書き続けられたのでしょう。

▼その「夜想交叉路」は、一部の書店に並び始めるまで、きょう11月13日の日曜で、あと4日となりました。
 冒頭の写真のように、この書にも、献辞を置きました。

 この日曜は、朝6時45分に自宅を出て、いま新幹線の車中です。
 今日は、誰が予約してくださるかなぁと、わくわくどきどきです。
 アルペンスキー競技のスタート台でストックを前に出して突き刺しスタートの合図音を待つとき、それからモータースポーツでピットロードから生きて帰れることを願いながら本コースへ出て行くとき、それと同じように、わくどき、いや、もっとです !

 もしも予約してくださるのなら、たとえば、ここです。

★「夜想交叉路」は、初版に限り、p184にある曲名を、「ニューイヤーズ・デイ」に変更・訂正します。
 この小説は、予約段階で増刷となり、第2版の発刊がすでに決まっていますが、その第2版では、修正されています。
 初版を手にされるみなさんに、あらためて深くお詫びします。



 
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