2023-01-15 12:07:31
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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ウクライナ戦争で史上初めて本物の原発が軍事攻撃をいまも受けている、その想像を絶する事態に、日本は国民とエネルギーを護れるのか、その緊急課題にとって大きな一歩を刻みました
▼世界の原子力の平和利用をひろく統括するIAEA ( 国際原子力機関 ) のグロッシー事務局長と、ウィーンの本部で、現地時間1月13日の朝、バイ ( 一対一 ) の会談をおこないました。
【Photographer: Dean Calma, IAEA】
▼その朝、わたしは、連携して海外の原発調査を遂行している独立総合研究所 ( 独研 ) のヘイワース美奈研究員 ( 右から2人目 ) 、そして日本国外務省のウィーン代表部の外交官らと共に、早めにIAEAの本部に入り、グロッシー事務局長を待ちました。
周りには緊迫した雰囲気もありましたが、いつも通り、わたしは緊張しません。
自作の銘である、脱私即的 ( だっしそくてき ) 、わたくしを脱しほんらいの目的に即 ( つ ) く。
ほんらいの目的は、会談を上手くこなしたいという私心 ( わたくしごころ ) を満たすことでは無く、日本国民を護ることです。
わたくしを考えていなければ、緊張はしないのです。
▼グロッシー事務局長は、ウクライナ戦争でロシア軍がチェルノービリ原発やザポリージャ原発への砲撃、占拠を開始してから、それまでの忙しさとは比べものにならない忙中にいらっしゃいます。
その任務は、世界を原発大破壊の恐怖から救うことです。
もしもこの原発への軍事攻撃を放置すれば、かつてのチェルノービリ原発事故を上回る、放射線物質の膨大な漏洩を招き、無数の死を呼ぶでしょう。
それは、放射線障害では実はひとりの死者もいない福島原子力災害 ( 一方で、誤った避難などによって災害関連死として多くの同胞を喪いました ) と本質的に違う、目を覆う悲惨極まりない事態ともなります。
そこでグロッシー事務局長は、IAEAのトップとして、チェルノービリ原発にもザポリージャ原発にもみずから危険を顧みずに入り、戦争の現場でロシア軍と交渉し、ウクライナ軍と協議し、さらにプーチン大統領、ゼレンスキー大統領それぞれとも直接交渉をおこなっています。
このグロッシーさんの直接行動があってこそ、IAEAの担当官の現地常駐も実現しています。
【Photographer: Dean Calma, IAEA】
▼グロッシー事務局長が登場されました。
現在の情況で、ふつう会えるはずはありません。
わたしは、プーチン大統領でもゼレンスキー大統領でもなく、岸田総理でもなく、ひとりの日本の国会議員に過ぎません。
この困難を打ち破って、会談を実現した外務省のウィーン代表部のみなさんは、ほんとうに志ある良心的な努力を積み重ねてくださいました。
陣頭指揮をとられた引原毅大使をはじめ、みなさんに、まことに僭越ながら国民に代わってお礼申しあげます。
また、グロッシー事務局長の側も、わたしの経験と専門的知見に深い敬意を払ってくださっていることを、複数の関係者からお聞きしていました。
不肖わたしが福島原子力災害において事故が進行中に構内に入り、つぶさに現実を調べた、世界でただひとりの専門家となった事実を踏まえてのことです。
そのうえで、原発へのあってはならない軍事攻撃が現在も進行している事態に対して、どう臨むか、また日本のエネルギー源の欠かせないひとつである原発をロシア軍、北朝鮮軍、中国軍の脅威からどのように護るかについて、専門家同士で直球を投げ合う議論を期待されていたとも、お聞きしていました。
【Photographer: Dean Calma, IAEA】
▼真っ直ぐな議論は、予定時間の3倍ほどになりました。
まず、わたしは、ロシア軍の軍事攻撃が今もずっと続くザポリージャ原発が、実際はどうなっているのか、初めて具体的に、かつ包括的に把握できました。
その内容は、この無条件の公開情報であるブログでは、お話しできません。
ロシアの工作員も、もちろん熟読、吟味しています。
しかしグロッシー事務局長がわたしを信頼し、胸襟を開いて、ときおり鷹のように鋭い眼になりながら、わたしの遠慮なき問いに対して、すべて応えてくださっているとき・・・誇張なく、背筋が凍っていました。
国際社会、なかでも民主主義国家群が団結して、ザポリージャ原発を解放しないと、かつての世界大戦の死者数に近づく空前の事態にもなりかねません。
まず、この事実を、専門家であると同時に日本の現職の国会議員が把握したということは、事前には想像できなかった成果となりました。
わたしはすべての成果を、日本政府に提供します。
この出張は、ウィーンのIAEAだけではなく、7か国を回るすべての費用が、自費です。したがって常に、わたし自身が自由に判断できます。
自費であっても、すべて公共目的の出張ですから、成果は何もかも政府に提供し、そしてそれに基づいて深く、実際的な議論を致します。
日本と日本国民を、独裁主義による不合理な厄災や死から護るために、帰国後も、一日も休むこと無く直ちに動くのです。
【Photographer: Dean Calma, IAEA】
▼会談後、関係当局者がわたしに、グロッシー事務局長のツイッター(Rafael MarianoGrossi@rafaelmgrossi)をコピーして、渡してくれました。
そのときわたしは、パソコンなどを持ち込んでいないからです。
文面には、グロッシー事務局長みずから打ち込んだ、印象深いコメントがあります。
わたしが仮訳をすると、こうです。
「青山繁晴参議院議員を迎えることは、喜びだった。
青山さんは、核の安全とセキュリティ ( 防護 ) の分野で、広範囲な知識と経験を持っている。
日本国はIAEAのさまざまな活動の強力な支援者であり、そこには、ウクライナ戦争におけるわれわれの任務への支えも含まれる。
私は、われわれのより増強した連携を期待している ! 」
▼グロッシーさんとの会談をめぐるエントリーは、このあとも続けます。
いま現地時間の午前4時50分です。
すこしだけでも仮眠しないと、いけません。
みなさん、また、あとで。
ぼくの支えは、みなさんひとりひとりだけです。
そして、これへ来てくださること、これを読んでくださること、それらが具体的な支えです。