On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2023-07-08 11:33:03
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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9時すぎ、10時05分、11時31分



▼自由民主党本部の上階にあるホールです。
 左に、みなの人望を集める、清々しい安倍さんの姿があります。
 不肖わたしはこの後、講演をいたしました。右端にいます。

▼1年前の今日、9時過ぎ、出発直前のANA17便、羽田発伊丹行きの機内で通路際に座り原稿を書いていたわたしは、左の肩を二度、ばぁーん、ばぁーんと強く叩かれました。
 顔を上げると、安倍元総理がにっこにこの笑顔いっぱいで、わたしを見ておられました。
 参院選の暑くて長い運動期間がようやくあと2日となった日でした。

 10時05分に、ANA17便が伊丹に着き、CAさんの諒解を得て、ドアが開く前に機内の一角ですこし安倍さんと話しました。
「総理、きょうは長野じゃないんですか ? 」と最初にお尋ねしました。長野に応援演説に行かれるはずだったからです。
 そのあと、奈良、京都の選挙の奥にあるものを語り合いました。

 ドアが開いて、安倍さんの背中を、黙して見送りました。
 男の背中は人生を語ると言います。安倍さんの背中はいつだって、飄々としています。
 この日も、まったく変わりありませんでした。
 総理を辞してなお、日本を背負いながら、なんの気負いもないのです。

 伊丹空港で別れて、わたしは兵庫県の宝塚の駅前へ向かい、安倍さんは奈良へ向かわれました。
 宝塚駅前で自然に集まられた聴衆をまえに、選挙演説をしていると、同行の出口太・公設政策秘書がいきなりスマホの画面を、わたしの眼前に突き出しました。
 慎重なふだんの彼とは違う、やむにやまれぬ行動です。
 午前11時半をすこし過ぎたぐらいの時刻だったと思います。

 そこに「安倍元総理、心肺停止」という文字がありました。
 その先に起きたことは、きのうの『帰ってきた虎ノ門ニュース』でもそうであったように、無条件の公開情報ではお話ししません。

▼1年後のきょう、思わず知らず、時刻を追っていきました。
 安倍さんがなんとも言えないうれしげな笑顔で、わが肩を叩かれた午前9時過ぎ。
 ごく短いけれど濃い中身の議論を交わした午前10時過ぎ。
 そして凶弾が襲ってきた午前11時31分。

 ここまでの時間をきょう、ごめんなさい、個人的なありのままの気持ちを書きます、一国の総理に対して僭越ながら永遠の友、これからもずっと朋友である安倍さんと一緒に歩む気持ちで過ごしました。

 午前11時31分には、奈良の方角を向いて、深い祈りを捧げました。
 安倍さん、これからも一緒にやりましょう、と。





 
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