On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2023-07-09 20:55:18
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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さぁ、この先どうする  どう生きる



▼日本でもっとも長く内閣総理大臣の重荷を背負われた、安倍晋三さんの1周忌がきのう終わりました。

 わたしは、前から決まっていた半田法人会青年部会 ( 愛知県 ) 主宰の会で講演をおこないました。
 挙行された1周忌の行事にいずれも参加できない代わりに、黒ネクタイの喪服を着用し、東京から名古屋へ向かい、名古屋から会場の中部国際空港の会議室に着きました。
 講演の冒頭、全国から集まられたみなさんに、法要でも葬儀でもないにもかかわらず喪服姿であることをお詫びし、そして、僭越ながら、安倍さんのための黙祷を提案しました。

 主宰者の半田法人会に、万葉の時代に創建された武雄神社 ( 愛知県知多郡 ) の実に第30代という宮司で、40歳の若手神官の岩田孝夫さんがいらっしゃると存じていましたから、この岩田宮司に黙祷の発声をいただきました。
 わたしは舞台のうえで、万感を込めて日章旗に向けて、安倍総理のいつも晴れの表情だった面影と、あの柔らかい声を胸に、黙祷をいたしました。
 満場の聴衆のみなさんが、魂を共にしつつ、黙祷してくださいました。
 あらためて、ここに感謝します。

 そのあと、中部国際空港からかなり距離のある名古屋駅で乗る新幹線にぎりぎり間に合うまで、時間を延長して、つたない講演を行いました。
 講演は、安倍総理とどのような議論を重ねたかを軸にして、 ( 税制を考える役割を担う ) 法人会の講演会ですから、税のまったく新しいあり方も含めて、命の一滴まで絞り切る気持ちで、お話しをいたしました。

 きのうは公設秘書の同行がなく、いつものように写真を撮ってもらうことは、できません。
 主宰者にお願いすべきだったと思いますが、安倍さんへの弔いの念と、聴衆である日本国民のこれからについて話すことに集中していて、お願いはしませんでした。
 この個人ブログを見てくださる方の中には、会場の様子の写真を見たかったという方もいらっしゃるでしょう。お詫びします。

▼このエントリーに掲げた写真は、国葬の際に配られた小冊子の1ページです。

 3枚ある写真の最上段は、令和という元号の意義を説明される安倍総理です。
 わたしは、現在の上皇陛下が今上陛下でいらしたときに譲位されるまえ、すなわちその大御心が伝わってきた際に、安倍総理に「これまでの元号は漢籍から採っています。新しい元号は、ぜひとも、和書から採りましょう」と繰り返し提案しました。
 そして安倍総理は、初めて和書から採った元号を新元号となさいました。
 わたしの意見は、安倍総理が参考になさった意見のひとつに過ぎないだろうと拝察します。
 歴史を変えた安倍総理のみごとな決断でありました。

 中段の写真は、安倍総理の存在が世界の安定にいかに寄与しているかを証明した、伊勢志摩サミットです。
 わたしはサミットから何年か過ぎたあと、当時の会場のひとつを訪れました。
 首脳会議の座席が再現されていて、各国首脳の中でその時もなお首脳であり続けていたのは、安倍さんひとりだけでした。そのことに、あらためて感慨を持ったのでした。

 3枚目の写真は、安倍総理のネクタイか襟を安倍昭恵さんが直していらっしゃるのでしょうか、ご夫婦の仲の良いお姿です。
 昭恵夫人は、きのうの法要ではずっと涙にくれておられたと聴きました。
 昭恵さんは、国葬のとき、日本社会の一部が騒がしかったにもかかわらず、静かに、たおやかに、毅然とされていました。
 万感迫るものがあります。
 安倍昭恵さんにも、岸信夫・前防衛大臣にも、安倍晋三さんのお母さまの安倍洋子さんにも、あらためて深い弔意を捧げます。


▼さぁ、1周忌は終わりました。
 きょう7月9日日曜は、その翌日です。安倍さんがすべてを犠牲にして築いてくれた土台のうえに、どうやって祖国を甦らせていくのか。
 あなたとわたしの共有する、生きるテーマです。

 きょう久方ぶりにジムへ行き、トレーナーのもとでストレッチのあと、上半身、下半身、体幹、腹筋、首の鍛錬をしました。
 トレーナーによると、2か月ぶりだそうです。
 その2か月、ジムに行けないだけではなく、ほとんど何の運動もできませんでした。
 どんなに疲れても絶やさなかった階段登降も、膝に問題があるとかでは無く、心身にも時間にも余裕がなくてほぼ皆無になっていました。
 たとえば議員会館の青山繁晴事務所は12階です。自分の足で駆け上がると、最短では2分半です。階段を使っている人がほとんど居ないので、誰にも迷惑をかけずに駆け上がれます。
 エレベーターを使うと、むしろ時間が掛かります。国会の開会中は、たくさんの議員がエレベーターに乗り、各駅停車になることも多いからです。
 ところが、内心の鬱屈のために、体を鍛える気がしないのです。
 わたしの鬱屈が噴出するのは、深更と未明だけです。それも、ひとりの時だけです。
 朝、昼、夜、公務に就いているときは一切、外には出しません。家族を含め周りの人にも一切、見せませぬ。しかし、世がすべて寝静まったような ( 実際には違います。夜に働いている人は大勢いらっしゃいます ) 夜更けには、噴き出ます。ひとりだから、誰かに話すわけでもなく、どなたかがどこかから見ていても、何も異変はないでしょう。
 こうやって、魂の裡 ( うち ) に深い公憤を抱えていると、わたしは、おのれに良いこと、プラスになることをしたくなくなるのです。
 なぜか分かりません。と言うか、なぜなのかを、考えていません。自然にそうなります。

 同じ怒りでも、私憤であれば、多分、自分にプラスになることをできると思います。
 実際には、意外かも知れませんが、わたしに私憤はごく少ないです。怒っているようにみえても、内心では、ほとんど怒っていません。
 怒りの大半が、公憤です。
 憂国と言えば、そうなのでしょう。しかし、そんな格好いいことはあまり言いたくありませぬ。

 安倍さんの1周忌を迎え、きのうの熱心な聴衆のみなさんと一緒に、黙祷を捧げ、そして今日になって、公の憤りを持たざるを得ない情況は何も変わっていませんが、戦いが、はっきりと新段階になっていることを感じました。
 そこで、体調は最悪でしたが、鍛錬に出かけ、心身の極限まで厳しく、妥協なく、トレーニングしました。
 わたしのメンタルと体を研究して、独特の鍛錬メニューを組んでくれた若いトレーナーに感謝しています。

 難事にぶつかっていく水面下の交渉は、わたしが国民から負託された公務の主要なひとつですから、何があっても、心身がどれだけ不調でも、まったく関係なく続けています。
 その一方で、停滞していること、たとえば何か月も苦吟したままの、安倍さんとの議論を再現するノンフィクションの原稿があります。これを必ず、完成させます。

▼水面下の交渉と同じく、倦まず弛まず続けているのが、主権者のみなさんへの発信です。
 そのひとつが、動画の「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」です。
 安倍さんとも議論した自公連立をめぐって、ここに、第555回放送としてアップしています。
 すべての問いに数十秒で即答するショート動画は、ここに、どんどん最新分をアップしています。





 
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