On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2023-09-01 03:54:59
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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NTT株の売却で初討議   「外国人規制を緩めるな」と求めました


( 物凄い数の報道陣です。報道陣の取材は、冒頭の政調会長らのあいさつと、終了後のブリーフィングだけです。いつもの部会と同じです。中身の討議は、クローズドで行われました。
 画面左がメディア、右の壁際はずらり、政府側です。それに比べ、参加議員が少ないことが分かりますね )

▼きのう8月31日木曜の夕刻、自由民主党の本部で、政調 ( 政務調査会 ) の「防衛関係費の財源検討に関する特命委員会」のなかの「日本電信電話株式会社等に関する法律の在り方に関するPT ( プロジェクト・チーム ) 主催の会議 ~ 広義には部会と同じ機能 ~ が開かれ、参加しました。

 萩生田政調会長が冒頭、「NTT株のうち政府の持ち株を売却して防衛財源の一部にするという議論ではなく、NTTのあり方をどうするかという ( NTTの完全民営化も含めた ) 議論にする」と強調しました。

▼政調会長はまた、「NTT株の売却をめぐって今日が初めての平場の議論になります」と発言しました。
 その通り、これまでNTT株の売却は、上記のPTや党内の各調査会などで議論されてきて、昨日が、平場での討議の初回でした。
 わたしはこのPTや、関連の調査会に属していませんから、平場の一員として、この問題の議論に初めて加わわることができたわけです。

▼討議は、政府側 ( 総務省 ) の説明と、雛壇 ( ひなだん / この会合では、政調、特命委、PTなどの各役員 ) からの発言が続いたのに対し、平場の議員からの発言、質問は驚くほど少なかったです。
 わたしはもちろん、発言しました。その発言については後述します。

▼ちょっとだけ、おさらいです。
 日本の電話をはじめとする通信は、みなさんがご存じの通り、公営から民営化の歴史をたどってきました。
 かつての電電公社を1980年代半ばに日本電信電話株式会社 ( NTT ) に民営化しましたが、最初は、大蔵大臣 ( 当時 ) が全株を持っていました。
 そして、この政府の所有株式の売却が始まり、3回の売却によって、540万株が売られ、国庫におよそ10兆2000億円が入ったわけです。
 その後、NTTの要請で、外国人の株式所有が解禁となりました。
 ただし、現在は ( 1 ) 株の3分の1以上は政府が持つ ( 2 ) 逆に、外国人は3分の1以上の株を持ってはいけないーという法規制があります。
 NTTの完全民営化とは、このうち ( 1 ) を見直して、政府の持ち株を市場に出すことです。
 しかし、それは外国人の持ち株制限も緩めることでは無いはずです。
 現に、民間会社でも、航空や鉄道、運送会社、報道機関を含め放送関連会社なども、同じ外国人規制 ( 3分の1以上の株の保有は禁止 ) があります。

▼そこでわたしは挙手して、「仮に、NTT法を改正して完全民営化する場合でも、外国人規制は変わらないという確認をしたい」と述べ、「総務省に答弁を求めると同時に、雛壇にもお答え願いたい」と求めました。
 答弁と回答は、外国人規制は続くという趣旨でした。
 しかし曖昧な部分も感じたので、あえて2回目の発言を、司会役の小林鷹之・元経済安保担当大臣に求めました。
( 部会などでの発言は、原則ひとり1回がモラルです。すべての議員の発言機会を確保するためです。しかし今回のように、そもそも出席議員がとても少なければ、簡潔な発言を2回しても、他の議員の発言を邪魔することにはなりません )

 そして「NTTの株が外国に狙われ、日本の通信が外国勢力に侵食されることを懸念されている主権者は少なくない。しつこく確認したい。NTTの株式保有について外国人規制は現状より緩むことは無い、変わらないということでいいですね」と問いました。
 これに対し、政府からも党からも、その通りだという答えがありました。

▼会議が終わったあと、党幹部のおひとりが「青山さん」と声を掛けてこられ、「青山さんの問いかけは正しい。懸念はある」という趣旨のことを、実際は具体的に語られました。
 それから30分ほど後に、別の党幹部から電話があり、「懸念はありません。大丈夫です」という違う視点の話がありました。

 わたしはこの電話を掛けてこられた党幹部に、「主権者には、外国人の浸食に懸念があるのに、わたし以外の誰もそれを問わなかったのは、会議の雰囲気として良くありません」と指摘し、より自由な議論になるよう求めました。
 岸田政権になってから、部会という手続きが省略されたり、LGBT法案のように部会での反対多数が無視されたり、議院内閣制を支える基本動作が無残に軽視され、自由民主党のいちばん民主的な部分をみずから放棄する愚行が目立っています。
 それを踏まえて、電話の党幹部に問いました。この党幹部は、護る会 ( 日本の尊厳と国益を護る会 ) の一員ではありませんが、良心的なひとです。

 ほんとうはそれと同時に、平場の議員が、国会の閉会中でももっと多く参加し、上掲の写真のように取材陣の方が多いということにならないようにし、さらに、参加すればその場の空気など関係なくもっと発言するということも不可欠です。
 どの議員も例外なく、肩のうしろには主権者がいらっしゃるのですから。

▼このNTT株の売却問題も、「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」 ( ここです ) で話します。
 ただし再来週になってしまうでしょう。
 わたしは明日から、サブサハラ ( サハラ砂漠以南のアフリカ ) に参議院のODA ( 政府開発援助 ) 特別委員会から派遣されて出張します。
 たとえばハマダラ蚊に刺されると、マラリアになる怖れが強く、マラリアは毎年、世界で40万人以上が死亡しているとみられる恐ろしい感染症です。しかもサブサハラ ( の一部 ) では、マラリアは感染症の一例に過ぎません。
 そのために、何回、何種類にもわたり予防ワクチンの注射を、一緒に行く参議院の事務方と共に接種しています。
 しかし死の可能性はあります。
 そのせいか、野党議員は、出張を辞退されました。
 もうひとりの先輩の自由民主党議員とふたりだけの出張です。

 上述の感染症の対策を強化することを含め、同じ人間であるアフリカのひとびとのために日本はODAを拠出していますし、そのODAは国民の血税からも拠出していますから、立法府はチェックする責務があります。
 
 この出張のために、来週は「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」の収録が不可能です。
 ちなみに、今回の出張先では電源が確保できるかも分かりませんから、原稿執筆もできるかどうかという実態です。
 だからこそ今週は必ず、収録しておく必要があります。  

 しかし今週は、いつもに増して収録時間の確保が、きびしいです。
 サブサハラへの出張準備に加えて、昨日の会議のように国会閉会中でも続く公務、それから経済産業予算・防衛予算・外交予算を中心に予算概算要求への対応、秋に予想される臨時国会に出される法案をめぐる準備、台湾有事、ウクライナ戦争、処理水をめぐる中国の暴走とそれによる日本の漁家のかたがたらの甚大な被害、物価高、電気代・ガス代・ガソリン代をはじめ生活費の高騰といった世界の激変と日本国民の苦境に対応する任務、そして深い夜更けと未明は10月に出る新書 ( 「ぼくらの哲学」を改稿し、加筆し、タイトルも一変させて新書化 ) の作業・・・いつもをさらに上回って重なり合っています。
 暗殺された安倍総理に関する原稿は、400字詰め原稿用紙で150枚ぐらいを書いて佳境に入るところで、あえていったんストップさせ、小説の次作の執筆など夢のまた夢となっていても、とても動画の収録ができる情況ではありませんでした。

 しかし前述の通り、来週に収録できないことを考えると、いま発信すべきをどうしても発信するために、きのう無理を押して収録を実行しました。
 この地味なブログを含め、主権者への発信はどれも、大切な責任のひとつです。

 動画でMCを務めてくれる三浦麻未公設第一秘書は秘書研修、代役で奮闘してくれる学生インターン、増野優斗くんも超多忙で、それぞれ大変でしたが、代わる代わる協力してくれました。大感謝です。
 その収録分のうち、ゆうべには、まず「遺憾砲はイカン」をここにアップしています。
 同時に、優斗くん、19歳の日本男児がどんどん遠慮なく聞いてくるのに答えるショート動画も、ここに最新分を並べています。

 そう大袈裟でもなく内心では『遺言になるかも知れないな。別れはいつだって突然だ』と淡々と考えながら、本編でも、ショートでも、動画収録でいつも通りに話しました。

 つい最近まで、国会議事堂で、穏やかながら元気なようすで隣り合っていた島村大・自由民主党参議院議員が急逝されました。
 あまりのことに驚きつつ、魂からの哀悼を捧げます。





 
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