On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2023-09-18 18:42:51
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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一体これで報道機関なのか  煽り情報の広め手でなくてなんなのか



▼きょう9月18日月曜の祝日、いま夕方のTVニュースを付けたまま仕事をしていると、民放の夕方の報道番組で「調べてみれば」と称して、年金を特集していました。

 特集の最初の方で、街で拾った声として若い女性ふたりが「政治家の年金がいちばん気になる」「そうそう、一体どれだけ ( 大金を ) もらっているんだか」と話すのを放送しました。
 ところが、その後、「調べた結果」として神官やお相撲さんらの年金についてたっぷり時間を取って放送しながら、政治家の年金の「調べてみれば」は一切、触れませんでした。

 国会議員の「互助年金」は、衆議院議員、参議院議員とも、17年も前の西暦2006年、平成18年4月に廃止されています。
 地方議会の議員年金も、西暦2011年、平成23年6月に、廃止されています。
 したがって政治家の仕事に対する年金は、ゼロ円です。
 こんなのは「調べてみれば」どころか、報道機関として知っているのがあまりにも当たり前のはずです。

▼ニュースを見た主権者は、「政治家はやっぱりきっと大金の年金をもらっているんだ」「だから国民の怒りが激しい」と思う人が多いでしょう。
 ニュースづくりの「プロ」として、それが予想できないはずもありません。

▼こういうメディアのTVドラマも、メディアがお金を出して制作する映画でも、とにかくカネに穢(きたな)く、陰で悪巧みをする政治家しか出てきません。
 著名な政治学者や評論家も、政治家のお金の不祥事や事件はどんどん論じてテレビに出ます。芸能プロダクションに属してギャラを稼いでいる人も、そう珍しくはありません。
 かつてテレビ番組に参加していましたから、その裏側もよく承知しています。わたしのところにも「芸能プロダクションに属さないか。せめて名前を置くだけでも、ギャラがこんなに増える」と複数回、誘いがあり、即座に断りました。

 一方で、現在のわたしのように献金を1円も受け取らない、政治資金集めパーティは開かない、団体支持はすべてお断り、後援会も作らない、後援会長は置かない、地元も作らないという現職の国会議員が存在することは絶対に、触れないし、メディアも絶対に報じません。

 その一方で、メディア、学者、評論家は政治不信を論じます。
 あなたがたに論じる資格は一体、あるのでしょうか。
 ご自分たちが政治不信を増幅する、マッチポンプ ( 火を自分で付けては消すふりの、困った人や組織 ) ではありませんか。

▼現職議員が逮捕された洋上風力発電関連の収賄容疑事件をはじめ、追及されるべき事件は徹底的に追及されるべきです。
 また事件にまでは至らずとも、不祥事は同じく追及されねばなりません。

 しかし、まつりごと ( 政 ) については、良きことは絶対に主権者に伝えないのであれば、政治不信が広まるほか無いでしょう。
 国民、庶民の生活も仕事も教育も、過去現在未来、ほとんどすべて決してしまうのが政治です。
 どれほど大切なものか、ほんとうは言いようがないくらいです。
 それにもかかわらず、政治に関しては決していいことは起きないのだと主権者に思い込ませるというのは、大きな罪ではありませんか ?
 報道機関や学者、評論家でありながら、ご自分で振り返ることが無いのは、どうしてでしょうか。

▼写真は、今回のサブサハラ出張で会った医師のおひとりです。
 アフリカ大陸の最南端、ケープタウンの貧しい人たちを受け容れる病院で、「この大切な医療機器を、ほら、ここから頂いたんですよ」と誇りと感謝のとっても良い表情で、日の丸の入ったシールを見せてくれました。

  このエントリーの冒頭に記した、番組の中での若い女性ふたりの表情、「どうせ政治家は年金でも穢いことをして大金をせしめているんだ」という表情、それを取材する記者、カメラマンも何もほんとうのことを何も語らなかったのであろう空気感と、アフリカの医師、その病院に流れる空気は、まったく違っています。

 アフリカの人たちにとっての日本政治と、日本国の主人公である主権者にとっての日本政治がなぜ、こんなに違うのか。
 わたしはきょう、体調不良のなか祝日も何も無く仕事をしつつ、ほんとうに、悲しいです。
 否定面しか言わない、肯定面は絶対に伝えない、国民を誤解させて平気、そのような報道機関は、もう要らない。みなさん、そうではありませんか ?




 
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