On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2023-09-19 23:44:52
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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国家の哲学と理念を問い、明示します  ~ 蚊の大群と停電頻発に襲われつつ仕上げの原稿を書いた新書が、当初の目標通りに、出版されることが今夜、確定しました




▼「戦」の一字は、音読みで「せん」と読んでください。
 たった一字の書名も初めてですし、英文とあえて組み合わせた書名も初めてです。
 いつも通り、著者のぼく自身がまず考案し、少し異見や意見を聴き、最終的にぼくが決めました。

 意見は、最初に編集者ふたりに聴きました。編集者は意外にも、英文のみのタイトルを推しました。
 英文のタイトルについては、このブログでも意見を広く募りました。これも意外にも、唯ひとりの方を除いてすべてのコメントが、「英文のみのタイトルが新鮮で面白い」だったのです。
 そのうえで、ぼくは、その英文の頭に、鮮烈な和語1字を乗せることを考え、そう決しました。

 この新書は、作業の最終段階がアフリカ深南部への出張の時期と重なりました。
 そこで、若い女性外交官を中心に、議員団長 ( 参議院議員 ) や同行のスタッフにも、表紙について意見を聴きました。ただし最終段階だったので、字の間隔や大きさについてだけの意見をお尋ねしました。

 最終的には、タイトル、表紙デザイン、そして本文の一字一句のすべて、いつも通り、自分自身で作業し、完成させたのです。
 本は、単行本でも新書でも、表紙から中身、裏表紙までの全体芸術だと考えているからです。

▼ありのままに申して、凄絶なまでの難産でした。

 まず、安倍晋三元総理の暗殺後の日本をどうするかについてのノンフィクション新刊 ( 単行本 ) に苦吟している最中に、オファーがありました。
 上記のノンフィクション新刊は、登場する人物群を、果たして実名で記すのかどうかという問題を考え込んで、執筆がいったんストップしているのです。

 そこへ「ぼくらの哲学」というかつての単行本を、ぜひ新書にしたいという申し出があり、基本的にお受けすると、なんと編集者がその自己都合で締め切りを決めてしまい、さらに、ぼくに何の相談も無いまま予約受付が始まってしまいました。
 ぼくの知らないままイベントが計画されチケットが知らないところで販売されていたり、なんだかこの頃、こういうことが多いですね。

 しかし、本を読もうかという読者や、イベントに参加しようかという主権者にはいずれも、関係の無い事情ですから、ぼくは、良いものになるよう最善の努力を尽くします。
 新書については、新しい書きおろしをまず何種類も書き、同時に、単行本の全文をゲラ ( 仮印刷 ) にしてもらって、そこに沢山、新たに書き込んでいくこともやり、写真も再整理します。

 新書化というのはふつう、作家は、自分の単行本を新書や文庫にすることを諒解するだけで済みます。あとは出版社が印刷を組み替え、製本するだけです。それが普通のことであり当然のことだと、ぼくも思います。

 しかしぼくの場合は、必ず、全文に徹底的に手を入れ、新たな書きおろしを加えます。
 それはノンフィクションでも小説でも、変わりません。そうしないと、読者に申し訳ないと感じるからです。これはあくまで個人的な感覚と信念です。他のひとのやり方をどうこう考えたり、言ったりすることは一切ありませぬ。

▼遙か彼方のアフリカ深南部、あるいはサブサハラ ( サハラ砂漠以南のアフリカ ) への出張は、往復で4日間、飛行機に乗っています。
 アフリカの国内便での執筆は、機材が極端に狭いことから無理であっても、この4日間の長い、長い機中で書きおろしを書けるだろうと考えていました。

 高度1万メートルで飲むお酒があんなに好きなのに、それも諦め、仕事に取り組みました。
 しかし、出張の英文資料 ( 政府開発援助・ODAに関する資料 ) を徹底的に読み込むことが絶対の最優先で、原稿を書く時間はあまり取れなかったのです。
 ODA調査を終えた帰りの機内も、主権者のみなさんへの報告・発信に備えて、調査内容を整理することに集中し、原稿はろくに書けません。

 では、書く時間をどこに見つけるか。
 早朝から夜まで、アフリカにて出張公務に集中し、ほんとうの深夜になってから夜明け前までを、ザンビア南部では死のマラリアももたらす蚊の大群と戦いつつ、南アの最南端では予告なしの停電と戦いつつ、そしてどこでも体調の悪化と戦いつつ、まさしく地獄のような執筆状況となりました。

▼地獄は帰国後も続きました。
 帰国直後から、国会は閉会中でも継続する専門5分野 ( 外交、安全保障、国家危機管理、資源エネルギー、情報 ) の公務を終えてから深夜から明け方までの時間を、新書の作業に当てました。

 それが今日、闇の向こうへ突き抜けるように、すべて完遂となりました。
 予約はここです。
 その予約画面の書影は違います。このブログのそれが、最終版です。まもなく予約画面も更新されるでしょう。

▼この新書は、岸田政権下の日本に、国家の哲学と理念を問い、それを明瞭に提案し、何と戦うのか、どのように戦うのかを明示する書です。

 あとがきに当たる「戦と、寛容と」の一文の最後、すなわちこの分厚い新書全体の最後には、考えた末に、決定的なひとこと宣言を置きました。






 
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