On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2024-01-21 03:01:25
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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もう真っ暗な土曜の夜の日本に、出発から12日目に帰国しました  いきなり電話20本越えです  もっと電話すべきですが午前零時を過ぎる前に相手先の迷惑を考えいったん止めました  きょう日曜朝から再開です



▼大統領選で鋭くせめぎ合う合州国の首都に、大雪が降りました。
 その一角に、日本が日本文化を守っている場所があります。
 かつてぼくはここで、アメリカのチェイニー元副大統領とかなりの時間、戦争について、議論しました。

 この日は、新しい日本の駐米大使と、これからの日米同盟について本音に踏み込む議論をしました。
 大使は、この困難な時代に平常心で対峙できる人材だと考えます。ちょうど背後に鎮まる、雪の日本庭園のように。

▼ぼくの右隣は、この苛烈ともいうべき行程の5か国訪問に、みごと耐えきって成果を生んだ研究員です。
 独研こと独立総合研究所のエースであることを、あらためて確信しました。

 21年近く前の春、ぼくを創業社長として、独研は、日本初の独立系シンクタンクとして出発しました。
 7年半前、参院選の途中に、ぼくはみずから決して独研の代表取締役社長・兼・首席研究員を辞め、創業者株もひと株残らず返上しました。
 独研はその後も、旧財閥系のシンクタンクや銀行系のシンクタンク、すなわち日本のこれまでの民間の知恵のあり方と真正面から異なる歩みを続けています。

「われら独立総合研究所・独研は、いかなる組織や団体からも独立し、いかなる補助金の類も受けず、
完全なる公平・客観の立場から、企業、社会、祖国、世界に寄与する調査研究を行う」という創業時に掲げた理念を21年間、変えることなく、またいかなる寄付もお断りして、政府と民間に「これをやるべきだ」と提案し続けています。
 だから、ぼくも利害関係なく、連携を続けています。
 


▼別れ際に、大使がぼくのモバイルの天板に関心を持たれ、「脱私即的」という言葉の意味を説明しています。
 これはぼくの造語です。そして基本理念です。
 モータースポーツのレーシングヘルメットを、そのプロとしてペイントしてくれた読者のかたが、ぼくの実際の文字の「脱私即的」をステッカーにしてくださったのです ( プロの仕事としてお願いしたので、もちろん有償です ) 。



▼こうして全日程を、予定と約束の通りに終えて、最後のフライトのために空港に向かうと、ワシントンDCの郊外は、まるでクリスマスカードのようです。
 雪の降らない神戸に生まれて、子供の頃、ホワイトクリスマスに憧れました。
 クリスマスツリーに置いたカードの白い家が、こうして現実に眼前を通り過ぎるという感覚です。

 イラク戦争に丸腰で行ったあと、その戦争の根本問題について議論するために、この地、ワシントンDCを訪れました。
 たまたまその時も雪で、クリスマスカードのようなアメリカ国内を見ていると、イラクの乾ききった砂漠で無残に死んだアメリカの若者と、こんな綺麗な雪景色を一度も見ることもなく死んだイラクの子供たち、女性たち、ふつうに働いていた男性たちを次から次へと思い出しました。

 ワシントンDCは東京よりもさらに雪に弱いのです。
 今回も一日、雪で連邦政府が閉鎖になり、周囲のみなさんは、ぼくの帰国便が無事に飛ぶのか、帰国直後、翌日の独立講演会@東京に間に合うのか、たいへんに心配されていました。
 ぼくは、正直、心配していませんでした。
 まず入ったヨーロッパでも、あとに訪れたアメリカでも、雪はまるでぼくらのあとを追うように襲ってきて、しかし先回りはしないだろうと感じていました。

 イラクの戦地からワシントンDCに入った時も、雪でペンタゴンも国務省もホワイトハウスの国家安全保障会議もすべて閉鎖になりました。
 ところが、アポイントメントのあった全員が、ぼくの泊まっていた、おんぼろホテルに自分で苦労してやって来てくれたのです。
 なかには3時間かけて雪の中を悪戦苦闘しつつ歩いてきたという政府高官が居て、ぼくはアメリカ人が友情をたいせつにすることに驚きました。
 当時のぼくはただの民間の専門家です。彼らが義務で来たとは思えません。

 ところが・・・そのなかでも、もっとも信頼関係の長かったペンタゴン ( 国防総省 ) の当局者と、ホテルロビーのカフェで激烈な言い合いになりました。
 戦死者、犠牲者の無残な姿を思うと、クリスマスカードのようなアメリカの首都の美しさが許せなくて、ぼくは彼に食ってかかり、彼は彼で一歩も譲らず、イラク戦争の正統性を主張します。
 気がつくと、ぼくらふたりの周りをホテルの客が取り囲んで、あるアメリカ市民らしい人は腕を組んで考え込み、ある旅行者らしいラテン系の人は口をぽかんと開けて聴き入っていて、思わず彼と最後は笑ってしまいました。



▼そんなことを人知れず思い出しながら、空港に入ると、長い時間はかかりましたが、ぼくらの乗る祖国への飛行機が、無事にやって来ました。
 アメリカだけではなくヨーロッパも大雪で、機材をヨーロッパからまず羽田に運んで、羽田からここへ来なければならないので、ずいぶんと困難があったのですが、ちゃんとやって来てくれました。

 さすが、ヘリ2機の民間会社から、ここまで民のチカラで到達した日本の航空会社です。
 おかげで、今日の独立講演会に無事に間に合います。
 独立講演会の2月は、忘れがたい京都劇場です。これです。募集は〆切間近ですね。
 今日の独立講演会の質問は、総裁選をめぐる質問で埋め尽くされています。ひとつひとつ、ありのままに答えていきます。

▼海外出張中に、国内の同志議員と連絡をとりあって準備してきた動きが、明日の22日月曜午後1時に、表に出ます。
 帰国後ただちに、そのための大量の電話に取りかかったのは、言うまでもありません。
 出張先から国際電話もかけましたが、時差も大きく、今の時代にあってもコストも含め国内と同じにはいきません。電話を高度に暗号化していることもあります。
 
 明後日の23日火曜には、帰国後の最初の「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」の収録ができる見通しですから、そこで、その動きについて、あくまで公開情報の範囲内ですがお話しできると思います。
 今日の独立講演会や2月の独立講演会では、水面下の部分が主になります。

▼さ、まもなく、みなさんとお目にかかります。
 千人を超える輝く眼です。





 
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