2024-02-07 03:56:37
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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議論する機会を活かすことの責任・・・主権者の代理人として重い、かつ有用な責任
▼きのう2月6日火曜も、国会という主権者のための場で、さまざまに議論しました。本会議や委員会だけが、国会での議論ではありません。
ほとんどすべてが苦悩に満ちた議論です。
日本と世界が悪い方向へ向かっていると言わざるを得ない現状を、リアルに反映していると考えます。
そのなかで、きのうの主要な議論相手とも言うべき、3人のかたがたの写真です。
▼いずれも、会合の場での議論でした。
まず、このかたがたの詳細なお話を聴き、それから挙手をして問い、いずれも丁寧で真摯なお答えをいただきました。
▽上の写真は、ガザで戦争をしているイスラエルのアリザ・ビン・ノン外務省政務局長 ( 右の女性 ) と、駐日イスラエル特命全権大使のコーヘンさんです。
イスラエル外務省の政務局長とは、いち局長ではありません。日本国外務省の事務次官に相当し、イスラエル外交当局のトップです。もちろん、上に外務大臣がいるので、外務官僚のトップということですね。
▽下の写真は、8年に及ぶ駐ロシア特命全権大使の任を終えて、帰国されたばかりの上月豊久・前大使 ( 現・千葉工大審議役・特別教授 ) です。
連続8年、ひとつの国の大使を務めたひとというのは、ぼくは記者、シンクタンク社長、現在の国会議員を通じて長く日本外交に関与してきましたが、ほかに知りません。
ご本人も「少なくとも戦後では私ひとりでしょう」と仰っていました。
温厚なお人柄ですが、田中眞紀子さんが外務大臣当時に大臣秘書官を務めていて、大臣に指輪が無くなったとして責められ弁償を命じられたことでも知られてしまっています。
また、ぼくにとっては奥克彦・外務省参事官の同期入省の外交官という印象があります。奥さんは、イラクで銃撃され殉職されました。ぼくはその銃撃の現場に入って、記憶が鮮明です。
▼ノン政務局長に問うたのは、「ネタニヤフ首相は、2国共存、すなわちパレスチナ人の国とイスラエル人の国の共存という解決を拒んでいる。それでは惨劇が終わらない」ということです。
相手は外交官ですから英語で直接、お話ししてよろしいですかということを、まず会合を仕切られている中谷元・元防衛大臣 ( 護る会、まつりごと変革会議いずれもメンバー ) と大野敬太郎衆院議員、それにノン政務局長ご本人の諒解を得ました。
そして、ノンさんに向かい合い「率直で、正直な、厳しい質問をすることをお許しくださいますか」と丁寧にお尋ねしました。
そして上記の質問をしました。
そのまえに、かつて、平和のためのオスロ合意を達成し暗殺されたラビン・イスラエル首相 ( 当時 ) とぼくが話した内容を、具体的にお伝えし、それを踏まえて問うたのです。
そのせいか、ノン政務局長は初対面でしたが、とても真摯に答えてくださったと考えています。
それは次回の「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」 ( ここ / ショートはここ ) の収録でお伝えします。
★なお収録は、明日2月8日の木曜に延期となりました。収録は公務のすきまを縫って、どうにか行っています。
▼次に、上月前大使のお話は極めて重要でした。
8年連続のロシア大使というだけではなく、ご本人によると駐ロシア公使などを含めて17年間、ロシア担当だったそうですから、世界的にも稀なレベルのロシア通と言えるでしょう。
そして、公平な物の見方をできる人材であり、今は外務省を退職されて自由な大学人になられていますから、踏み込んだお話でした。
ただし、それだけにオフレコの約束となりましたから、公開できません。
わたしの議員外交に活かしていくことになります。
★そしてみなさん、この未明に、主権者に話しておきたいことがもうひとつあるのです。
これら会合が、どんな場だったかということです。
ノン政務局長とコーヘン大使がお出でになったのは、日本イスラエル友好議連の場です。
上月前大使がオフレコで重要なお話をなさったのは、日本ロシア友好議連の場です。
トルコ系クルド人が埼玉県で住民を苦しめる大事件を起こしながら不起訴になるという不当な事態になってから、この「友好議連」というものが、相手国の立場や利害をそのまま是認し擁護するものだという曲解が、ネットを中心に生まれています。
違います。「友好」というのは、立場の違う相手国でも、いや立場の違う相手国だからこそ、人間同士で正々堂々と議論をするという意味です。
事実、昨日わたしはイスラエル側がいちばん言われたくないことも含めて、真っ直ぐに問いました。たとえば、ガザ攻撃のパレスチナ人犠牲者のおよそ7割が女性と子供であるという情報のあることです。
ただし、どんな国のひとであっても人間同士であるという深い前提のもとで話しましたから、相手の高級官僚も、官僚の通常の枠を超えて誠実に答えてくれたと考えます。
隣国を、自国民を無理に動員してまで侵略しているロシアと、日本は友好国というわけにいきません。ベラルーシや北朝鮮、中国と違います。
しかし議連の「友好」という意味は、前述のように、何があっても腹を割って議員外交の務めとして相手側と議論するという意味であって、北朝鮮などの対ロ友好国と同じ立場に立つことでは全くありません。
これを曲解したままだと、たとえば昨日のような議論機会が失われていくことに繋がります。
一方で、わたしは日本クルド友好議連を脱会しています。
ネット上では、脱会の事実を無視して、「青山は日本クルド友好議連の一員としてクルド人の利益を擁護している」という、これも中傷誹謗が横行しています。動画などでいくらきちんと説明しても同じです。
そしてわたしが脱会したのは、「友好議連」だからではなくて、この議連の言う「クルド」が何を指すのか不明だからです。
クルド人は国を持っていません。そのためにクルド人の中でも立場の違いがあります。わたしはイラクのクルド人居住地域も実際に行っていますから、それを理解しています。
議論相手が判然としていないのは、議員外交の場としてわたしは課題を感じますから、脱会しました。
★一方で、「友好議連」に対する誤解があるのは、国会議員の側にも重大な責任があります。
「日中友好議連」と「日韓友好議連」がいずれも、親中派、親韓派の色彩が濃くて、日本の国益に問題を生んでいるからです。
前述の日イスラエル友好議連にも、日露友好議連にも、親イスラエル派、親露派の議員も居ます。日露友好議連は超党派ですから、野党の親露派議員も居ます。
しかし日中議連、日韓議連は、あまりにも親中親韓の色彩が強まりすぎていると客観的に考えています。
「友好議連」という意義ある議員外交の場への誤解を生む、大きな要因になっています。
わたしは長年、厳しい対中姿勢、対韓姿勢を貫いています。その反日工作に深刻にして具体的な問題があるからです。偏見とは無縁です。
そのためでしょう、日中友好議連から何か連絡が来たことはありません。
日韓友好議連は、外務大臣を務めた林芳正・現官房長官から「韓国に厳しいことを言える青山さんだから、入りませんか」と聞かれたことがあります。しかし入りませんでした。
現状は、自由な意見を反映できる議連とは思えないからです。
日クルド議連を脱会したのと同様、名称よりも実態を見て、個別に判断しています。
日中議連、日韓議連、日クルド議連に加入している議員の方々にとっては、わたしがこのように明言するのはご不快でしょう。
しかしそれを含めて、国会議員は、派閥やボス、支持団体に左右されるのではなく、あくまで主権者と直に向かい合って、自律して判断すべきだという根本姿勢に基づいて、このように、何事も避けずにお話ししています。
▼ノン政務局長は一瞬、このように厳しいまなざしにもなられました。
これは、苦悩のまなざしでもあると思います。
官僚です。行政官です。
時の政権と違うことを仰るわけにいきません。
ただ、まったくわたしの個人的印象として申しますが、パレスチナ人との共存を具体的な合意にまで高めた故ラビン首相とわたしが何を話したかをお聴きになってから、表情がわずかに変わったと思いました。
ノン政務局長は、これより前に、日本の政務三役ら政府側と公式会談を行っています。
その時の固い姿勢とは、違うニュアンスを、わたしは勝手に感じたのです。
その意味でも、やはり自律した議員による外交努力は大切だと、あらためてこの夜明けに考えています。