On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2024-05-01 03:48:55
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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【いったん降ろし、再アップしました】  太平洋を越えていったん帰国し、明日また出発です  帰国した瞬間から、補選全敗後の岸田政権をどうするかについて電話で議論を始めました



▼申し訳ないですが、重要な写真は出せません。
 今回、撮った写真の中に重要な写真はあります。しかし日米の軍事機密に関連する可能性があり、中国が台湾有事を念頭に日米の新しい安全保障連携の肝要な部分を探っている今、公開できません。
 ふだんよりさらに慎重に考えています。

 上掲の写真は、米国ハワイ州の真珠湾から離れ、帰国の途についたところです。
 太平洋を渡るので、すでにかなりの高度へ昇っています。
 写真の左下に小さく、別の機体が見えますね。おそらくは遠くへは行かないので、高度が低いです。
 83年前、わたしたちの先人が鋭い緊張感で目になさった太平洋でもあります。

▼真珠湾は、上記の通り、かつて帝国海軍が攻撃した地です。
 同時に、日本では依然ほとんど知られていませんが、その帝国海軍を含め日本にもっとも敬意を払っている現場でもあります。

 真珠湾の一帯、すなわち周りの広大な港湾施設、航空施設、向かいの山上は、世界に展開する米軍のなかで最大級の軍事拠点です。
 日本の観光客は、バス、タクシー、レンタカーでいずれもわずか20分ほどのワイキキには沢山いらっしゃいますが、真珠湾に来る人は少ないです。
 中国の観光客は、ワイキキにももちろん集団でいらっしゃいますが、バスを連ねてここ真珠湾にもどっとやって来ます。
 日本人が真珠湾の真実を知る機会は、残念ながら少ないのです。
 中国の人も別の意味で少ないです。真珠湾でも、中国のガイドが真実ならざる歴史を集団にいつも大音声で話していますから。

▼さて、前述の「向かいの山上」には、米軍のアジアを睨む巨大な軍事力の統合司令部があります。
 民間の専門家時代からここに入ること、入って議論を挑むことを試みて、ほんとうに苦労を重ねました。
 ついに入ったあと、その議論の中身と価値を、アメリカらしく率直に認めてくれるようになり「アンタはここPACOM ( 泣く子も黙るペイコム。Pacific Command 米軍太平洋軍司令部 ) に、世界の誰よりも自由に入っているんだよ。分かってるか」と将軍閣下に言われたりしました。

 それが国会議員になってしまうと、逆に、さまざまに制限が生まれて、かつてのような自由闊達な議論ができません。
 既成の政治家には、防衛省の政務三役を務めたかたを含めて、この司令部 ( 現在は、対中国を強調しインド洋も担務地域であることを明示するためにインド・ペイコム、INDOPACOMと名称変更 ) に入れることを、ありのままに申すと「選ばれた立場」かのように思っている人もいらっしゃいます。

 しかし・・・きょう5月1日から、これまで遠慮していた部分も、全部ではないにしても主権者のみなさんに明確にする覚悟です・・・ほんとうは、日本の国会議員は国会議員として司令部に入る許可は出ても、表面をなぞる話しかできていないことが大半です。
 議論とは言えませぬ。
 日本の国会議員が通訳を入れて、しかも米軍側の眼を見ないで紙に眼を落として官僚の作文を読んでいるせいもあります。
 そこに、米軍の本音である『国会議員への警戒感』が加わって、ただハワイに行っているだけ・・・厳しすぎるけど、実態はそうなっていることも珍しくありませぬ。
 米軍の何人もの将軍、佐官、尉官からこの趣旨のことを言われました。
 わたしたちの日本のように政治の歴史が長いと、余計に、形だけになる怖れが強まるのです。

 その日本の国会議員に、おのれが万やむを得ずなってしまっている以上、米軍の国会議員への警戒感を打破する創意工夫と努力が必要です。
 いちばん重要なのは、個人的な人間関係です。
 たがいの嘘をつかない人柄を信じ、たがいの志を魂で感じとり、国際共通語としての米語でストレートに話し合い、相手がその地位にあるときだけでは無く生涯を貫く友情を樹立する。

 今回、この無茶な日程になっている理由は、米軍インド太平洋司令部の最高指揮官、ジョン・クリストファー・アキリーノ司令官が今回、みずからぼくに話した言葉で証明してくれたようなものです。
「俺はさ、あとたった5日しか無いんだよ」
 彼は、彼らしく、手を挙げて指折り数えて、その5日間を表現してくれました。
 司令官の退任と同時に、空母艦載機の戦闘機乗りだった軍人としての全キャリアの終焉です。
 ニューヨーク州生まれのひとりのイタリア系アメリカ人に戻るのです。イタリア系にしてはスレンダーな、生き生きとしたナイスガイです。


( これは前回の写真です。
 今回は、退任間近ということだからでしょう、こういう写真の撮影を彼が提案しませんでした。彼の服装も違いました。アキリーノ司令官らしいと思います。
 また司令部は、軍事機密の塊です。
 この公式な場所以外での撮影はしないのがおそらくはルールです )

▼わたしは日本のゴールデンウィークの後半に、同じ真珠湾にあるアメリカ海軍太平洋艦隊司令部で艦隊司令官らと議論します。
 その日程に、このアキリーノ司令官との最後の議論を合わせようとしたら、彼の任期が終わってしまうのです。あるいは彼が任期最後の公式行事の嵐に入ってしまって、とても会う時間をつくれません。

 一方で、ゴールデンウィークの最初から最後までハワイ州にとどまると、日本の国会にある「国会の開会中の海外出張が1週間を超える場合、全会派の採決による本会議での承認を必要とする」というルールに抵触し、自由民主党の国会対策委員会 ( 国対 ) に頼んで、議院運営委員会 ( 議運 ) の正式議題に上げ、本会議で採決してもらわねばならなくなります。
 わたしは自由民主党そのものも、岸田現総理も、遠慮なく、指摘すべきは指摘し、批判すべきを批判し、代案を提起しています。
 そうである以上は、国対にも党本部にも迷惑を掛けるべきでないと考えます。
 実は関係する党幹部が「青山さんの海外出張は、その目的が国益に資するということが明白だから、大丈夫、本会議にかけますよ」と言ってくれました。

 しかし、自助努力で避けられる迷惑は避けるのが、わたしの責務だと考えますから、これを辞退し、アキリーノ司令官との会談を終えれば、その足で空港へ向かい、日本へ戻ると決しました。

▼それをすれば、身体と費用 ( 今回も自主出張 ) はたいへんでも、きょう5月1日に国会議事堂へ出て、主権者のみなさんに最新情報をタイムリーに提供するために「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」 ( ここ / 数十秒で完結するショート動画はここ ) を収録することができます。
 たとえばー
∇衆院3補選の全敗後に、岸田政権をどうすべきか。
∇この海外出張の直前に尖閣諸島に入って、ほんとうはどんな現実に直面したか。
∇アキリーノ司令官と、言える範囲では、どんな議論になったか。
∇160円台にまで突入した円安をどうすべきか。

 さて、このエントリーを書き上げるのに、ずいぶん時間が掛かりました。もちろん、政局を含む公務と同時進行ですが。
 もう国会議事堂に向かわないと収録に間に合いません。
 公設秘書さんたちも、撮影クルーもわざわざ、この連休の中日・なかびに、国会に来てくれるのです。

▼収録はいつも、そのみんなの良き連帯で行われます。
 最新分は、これです。数ある国会審議の中でも滅多にない審議と、その意義の解説です。主権者のあなたさまは、どうぞご覧ください。伏して提案します。



 
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