On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2024-09-13 04:33:08
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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【すこし追記し、わずかに推敲しました】  総裁選をめぐって横田早紀江さんに電話し、お詫びを申しあげました



▼平成28年、西暦2016年の夏のことです。
 参議院議員に初当選し、国会法第132条の2に基づき、議員会館の一室に国の手で事務所がつくられました。
 あくまで国民からお借りしている事務所です。
 したがって8年2か月のあいだ、たとえばポスターの1枚も貼っていません。
 与野党を問わず私物化も感じられる事務所が多いと、政治記者の頃から考えていましたから、公設秘書さんたちと共に身を律して使っています。

 その事務所に初めて入ってみると、窓の外は自由民主党本部です。
 国会議事堂はまったく見えません。部屋の位置がそうだというだけですが、ちょっと内心でがっかりしました。
 議事堂は、あの非人間的なアメリカ軍による東京大空襲にも耐えて生き残った国民の財産だからです。
 そして、これも内心で『これはどういう意味かな』と思いました。
 単なる偶然なのですから、意味付けをしすぎてはいけません。
 しかし、『日本国民と日本国のためには自由民主党を中から変えると決意して、ここに入ったのだから、それを象徴するかのような偶然だなぁ』と感じたのです。

 同時にこの窓際で、身震いするようにあらためて感じたのは、その「自由民主党を中から変える」という道の険しさです。
 自由民主党は西暦1955年の結党です。以来、現在で言うと69年、その大半の日々にわたって敗戦後日本の政治権力を掌握してきました。
 つまり牢固とした利権構造、とことん根深い収益構造を、NHKをはじめとするメディア権力、経団連を軸にした経済の実権、全国津々浦々まで染み渡った旧来の政治経済社会構造と一緒になって、築き上げているのです。
 それはすなわち、史上初めて日本を占領した外国アメリカの支配を、占領の完結後も受容し続け、日本の真の独立回復は目指さないという構造でもあります。

 この利益構造がこれだけ長く、しかも成功裡に続いてしまうと、外部からは、軍事クーデターでもない限り、変えられません。軍事クーデターは現代の日本に絶対に許されないし、また現実にあり得ません。
 ならば内部から変えるしか無い。

 この内部から変えること自体が、そもそも人間社会において凄まじく難しい。
『それをこの俺がやるというのか、これはほんとうに大変だ、おのれの人生を壊すのはもちろんだけど、それだけでは済まない』と考えたのでした。
 その一端が、きのう9月12日、総裁選本選への参加を拒まれたことだと、この未明に考えています。

▼拉致被害者、横田めぐみさんのお母さま、横田早紀江さんが、総裁選のさなかに記者会見なさいました。
 主権者のみなさんもご存じだと思います。
 早紀江さんは、たいへんにお疲れになっている悲しい表情で、総裁選でなぜ拉致被害者の救出が争点になっていないのですかという趣旨も問われました。

 わたしはきょう午前に電話し、「確かに、ほかの候補者は誰も拉致被害者の全員救出を明確に掲げていないように思います。掲げていたわたしが総裁選の本選に出られないことを深くお詫びします」と申しあげました。
 そして、新政権において、拉致被害者の全員救出が図られるよう、これまでの内閣のように「最優先の課題」とお題目を掲げるだけに終わらないよう、これからも力を尽くして努めますと、電話で頭を下げつつ申しました。

▼早紀江さんの電話でのお答えをそのまま記すことはしません。
 仰ったことの趣旨、その概要だけ、主権者のみなさんに伝えておきます。

▽総裁選で、青山さん以外の候補が拉致被害者の全員救出を明言しないことに、その通り、不審に思っていた。

▽拉致被害者の全員救出を明言した青山さんが本選に出られないことは、ほんとうに残念だが、天はもっと大きな枠で考えておられると思う。青山さんにしかできないことをこれからもやって欲しい。

▽何人、新しい総理が現れても、まったく救出が進まないことに、私たち家族はみな、あまりにも不可思議に思っている。今後も、内閣に働きかけて欲しい。

▽会見は、最近ではまだ体調がましな方だったから、ようやく実行できました・・・。

▼無残な現実に、あくまでも主権者と連帯して、対峙していきます。
 それは「森羅万象をプロフェッショナルとして書く国会議員」という例外的な存在を、最後まで貫くことでもあると考えています。
 ぼくらの祖国は、言霊の国だからです。
 わたしは日本の伝統と、日本文学の伝統の双方を背負う覚悟です。
 今、総裁選のこれからを考えるためにも、「わたしが排除されて、では誰に投票するのか」という問題を含めて主権者に考えていただくためにも、この書だけは読んでほしいのです。

▼9月12日、総裁選の本選に出ることを拒まれたあと、ここで生放送をいたし、何が起きていたかの一端を主権者のみなさんにお伝えしました。
「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」の特別版です。






 
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