On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2024-12-31 03:48:15
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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大晦日に考えるふたつの「終わり」  主権者のみなさんにとってイシバ内閣、いやキシバ内閣の終わり、わたしにとって情報をめぐる性善説の終わり


( 元F1ドライバーから政界に出た左近ちゃんこと、山本左近さんと共に、主権者のみなさんに話しかけています。4年4か月前のことです )

( それは西暦2020年8月10日に名古屋で開いた独立講演会でした。愛知出身の左近ちゃんが参院選の全国比例で落選し、励ますために、彼の地元の独立講演会にお招きして主権者のみなさんに国士として紹介し、みんなの前で語ってもらいました。
 その参院選のとき、党の依頼で新橋の駅前にてわたしは全国比例の候補のみなさんを応援しました。すると左近ちゃんの演説に聴衆から「F1がどうした、関係ないだろ」と罵声も飛びました。その選挙での苦労を、まさしくF1パイロットの敢闘精神で自分の血肉にし、次に、総選挙に臨んだときは、比例単独候補でありましたが初当選を果たしたのです。
 代議士になってからは、部会にも熱心に出席し、発言もし、文科政務官も務めました。生き生きしていました。
 ところが、石破総理が解散に踏み切った10月の総選挙で、再び暗転します。
 実績が認められて、いよいよ小選挙区で立候補できると思いきや、東海ブロックの比例単独候補とされました。そして自由民主党の大敗によって、小選挙区で落選した候補が比例区で次々、復活当選し、比例単独候補で名簿順位27番目の左近ちゃんは落ちました。
 石破総理によるムリムリ解散がもたらした不合理ひとつだったと、わたしは考えています。
 山本左近前代議士は今、地元で懸命に再起を目指しています。わたしも、左近ちゃんが護る会に復帰できるよう応援しています )

▼年末年始ぐらいのんびり過ごしたいのは、日本人誰しもそうだと思います。
 しかし沢山の日本人が今、暗い心境、鬱屈したお気持ちで大晦日を迎えておられるのではないかと、深く、深く危惧しています。
 原因は、石破総理と岩屋外相の暴走です。
 日本の同胞より中国の人々をたいせつにして、いったいどうしますか。

 そして深刻なことに、岩屋外相が中国で約束した不当な中国人優遇の数々は、一切、外交部会をはじめ自由民主党の部会の審議を通していないことです。
 岸田総理が、自由民主党の民主的伝統である党内議論を省いて、重要政策の多くを決めたことに、そっくりです。
 石破内閣はキシバ内閣と呼ばざるを得ません。

 そもそも、政権選択選挙である総選挙で大敗して与党が衆院の過半数を喪失した段階で、石破政権は正統性を喪っています。
 不肖わたしが、両院議員懇談会で総理の眼を見て「急ぎの補正予算が上がればみずから潔く決して辞意表明をなさるべき」と申しあげた通りです。

▼石破総理の意を受けた岩屋外相は、中国の富裕層が10年にわたり何度でも日本に入れるビザを新設、中国人なら誰でも団体旅行に入れば日本に30日まで長期滞在できる特権の新設、さらに65歳を超えた中国人は在職証明が無くても日本に入れる特権までつくる・・・これらをいずれも自由民主党の外交部会などの議論がゼロのまま中国側に約束しました。
 これが、中国から日本の病院にこれまで以上に押しかけて、日本人の医療を圧迫する事態を招くのを、非常に多くの国民が懸念なさっています。
 現在でも、たとえばわたし自身も、信頼する近所の開業医が中国からの観光客に狭い医院を占領された状態となっていて、もはや行けなくなっています。
 こうした不条理が、さらに全国で拡大する怖れが強まっています。

 一方で石破政権は、日本国民に対しては医療費が高額となった場合の自己負担を増やしました
 日本人がなぜ、日本の医療を中国の人々に奪われ、現在の観光公害  ( オーバー・ツーリズム ) にさらに酷く苦しまねばならないのか。

▼ところが石破総理と岩屋外相ご自身は、「我々はむしろよく防いだ」と自信満々だろうと考えます。
 なぜか。
 日中の水面下では、中国は「来年いっぱい、中国から日本へ行くとき完全なノービザにせよ」と要求していたからです。
 中国は11月22日に、「日本人が中国に来るとき、来年いっぱいはノービザでよい」と発表しています。そのために「相互主義」と称して、同じ措置を、日中外相会談などで要求したのです。
 中国は都合のいい時だけ相互主義を主張します。
 中国人は日本の土地を買うことができて、日本人は中国の土地を一切、買うことができません。相互主義が聞いて呆れます。
 しかし、石破総理と岩屋外相は「条件付きのビザ緩和にとどめたのだから国民に評価されるべき」というところでしょう。
 とんでもない。
 日本国民の多く、特に、自由民主党の岩盤の支持層だった国民は、決定的かつ致命的な憤怒を、石破政権に抱いておられるのが、わたしにはありありと伝わっています。
 間違った自信は、石破政権を終わりに導くでしょう。

▼石破総理は、野党の国民民主党と維新の協力で、補正予選をすんなり上げて、自信を深めておられます。
 増税派の筆頭である野田元総理が率いる立憲民主党が、内閣不信任案など出さないという姿勢を示していることも、石破総理の過剰な自信に繋がっています。
 最大野党の立憲民主党のリーダーが増税派であることは、石破総理の増税路線、社会保険料の負担増の路線、いずれについても、これまた間違った自信を持つ現状を生んでいます。

 そのために石破総理は、衆院の来年3月末の解散や、来夏の衆参ダブル選挙があり得ると、わざわざ胸を張ってみずから言及され、そのあとに軌道修正を迫られました。
 しかし、ひとたび解散を軽々に口にされた総理に明日があるでしょうか。
 遅くとも半年強あとの参院選で、自由民主党がさらに大敗し、終わりの審判が下る可能性は高くなっています。

▼わたしは、1月2日からの自主海外出張にて、スマホによる海外版の「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」の発信を準備中です。
 新年は、明るい話題で始めたかった。ほんとうにそうしたかった。しかし無理ですね。
 すべて石破政権の失政をめぐる負のテーマがもう、7つ以上、溜まっています。

▼その「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」は、無償であることをはじめ、完全に無条件の発信です。
 この個人ブログも同じです。無償、無条件の発信です。

 ブログのこのエントリーにて、わが友のひとりである同期当選の参議院議員、足立敏之さんの急逝について、謀殺説を流すのが死者の尊厳を損なう行為の怖れがあると述べました。
 ところがそのあとにやって来た書き込みは、謀殺ではないかと、いわば平然と強調されています。

 久しぶりに書き込みますと記されたあとに、これです。
 久しぶりに書き込むのであっても、不肖わたしが最近はこのブログで何を記しているかまったく読まれないで、謀略説を根拠なく支持されているのではないかと危惧します。
 足立さんは、その後、モルディヴでシュノーケリングをしていて溺死されたことが明らかになっています。

 わたしはライセンスのあるダイバーです。
 ライセンスが必要なのは、酸素を担ぐスキューバダイビングです。
 シュノーケリングは、気軽に楽しめて、わたしも大好きです。しかし海中の潮流はふつうに考えられるより遙かに烈しく、向きも変幻自在です。また水温も急に下がっていることがあります。そのためダイビングは、スキューバ、シュノーケリングを問わず、想像以上にリスクのあるスポーツです。
 篤実な実務者であった足立議員と、ダイビングの話をしたことが無いので、どれぐらいの経験や技術をお持ちだったか分かりません。
 ただ、事故は誰にも、熟達のダイバーにも起こりえます。

 わたしは国会議員となってから、ダイブする時間はまったく取れずにいます。
 それでも、かつて民間専門家の時代に訪れた世界の各地でダイブしていた頃には、ひやりとした経験が何度もありました。
 足立さんは、極めて真面目で謙虚な国会議員生活を送っておられました。
 きっと上手に時間をつくって、海を楽しまれていたのでしょう。魂の休息をとっておられたのでしょう。

 せめて、不意にこの世と別れる前に、あの別世界の美しさ、地上とはまるで異なる素晴らしき海の光景を眼に刻まれたことを、祈っています。

 足立さんのことを何も知らない人がどうして、謀殺などと軽々に言えるのでしょうか。
 野党の著名議員と親しくしていたことと関係があるのでは、などと記した「情報」も目にしましたが、それは、足立さんが委員会の理事として野党議員ともきちんと対話していたということであって、足立さんにも野党議員にも、あまりにも失礼な発想と言わざるを得ません。

 この件でわたしは、無償、無条件の情報について、いわば性善説を捨てました。
 友人の死をめぐるこの一件で、限界点を超えました。

 インターネットは当初、「ロンドンやニューヨークの大図書館の蔵書ないし情報を、日本から見に行ける」という学術的なものから始まりました。
 わたしは1980年代半ばに、「これは知の解放だ。地球規模の解放だ」と昂奮したことを覚えています。
 いまでも、ネットは膨大な肯定面を持っています。庶民の大切なツールでもあります。
 しかし、それを上回る規模、速度で、昏 ( くら ) いダークサイドが膨張してしまいました。

 無条件の情報は、その闇がもっとも跳梁跋扈する場です。
 わたしはこれまで、明確に意識して、性善説を採っていました。「闇に呑み込まれるリスクの特に高いのが無償、無条件の発信ではあるが、使うひとは、特にわが同胞は、きっと善なる使い方をしてくれるだろう」という考え方です。
 しかし、足立さんの件を悲痛の転機として、きょう令和6年、西暦2024年の大晦日をもって、その性善説をみずから去ります。

「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」やこの個人ブログといった無償、無条件の発信をやめることはしません。
 わたしごときが性善説を捨てようが、立派に善用しくださる同胞が必ずいらっしゃるからです。
 また小中高校生、大学生のみんなのために、無償の発信は欠かせません。

 同時に、もはや無償、無条件の発信にこれほどまでに注力することは、最後にします。
 志を固めて、わたしの条件付き発信を受け取るかたを、より尊重します。
 それは「独立講演会」と会員制レポートの東京コンフィデンシャル・レポート ( TCR ) です。
 新年最初の独立講演会は、クリスマスから募集が始まり、関東で言う松の内の1月7日に締め切りとなってしまいます。
 応募を忘れてあとから仰ってこられるひとが多いのが例年です。主宰者の独立総合研究所は極端に限られた人員で運営していることを、かつての創業社長として知っています。〆切後は受付不可能だと思います。 ( わたしは8年半前に独立総合研究所を去り、創業者株もゼロ円で返上していますから、今は運営に一切タッチしていません )

 わたしの本来の仕事である著作も、有償の発信です。
 書籍代というおカネと、読書という人生の時間を費やしてくださる読者は、独立講演会の参加者、会員制レポートの会員と同じく、大切な同志だと考えています。
 今いちばん読んでいただきたい著作は、『反回想 わたしの接したもうひとりの安倍総理』です。

 そして、石破政権でますます信を喪いつつある自由民主党の党員になっていただくのも、年4千円という大枚の有償です。わたしは、みなさんの怒りを買いつつあくまでも連帯を求めます。ここを訪ねてくださいませんか。
 あえて、不遜にも明言いたします。わたしと主権者との連帯あって初めて政権党も、祖国も、変わります。

 さぁ、これで天下大乱の年のブログの最後のエントリーを終わります。
 他の仕事をしながらではありますが、書き直し、また書き直し、このエントリーの仕上げに、19時間ほど掛かりました。

 最後の最後に申します。
 無償、無条件の発信にだけ接するというみなさん、わたしは、あなたを、敬愛しています。
 限界点は過ぎても、わたしが生きている限り、あなたを大切にします。





 
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