On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2025-04-15 22:08:11
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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情報で人間が切り刻まれる時代に、抗するために  ( 参院選東京の2人目の公認候補は決まっていません )



▼きょう4月15日火曜の午前と午後にまたがって開かれた、参議院の環境委員会です。
 今のわたしは、厳正中立の委員長席から、与党と野党の審議をすべて公平に進行させる立場です。仮に審議が荒れても、その姿勢は不動です。

 環境委は、国会の常任委員会のひとつです。
 常任委員会というのは、衆院と参院のそれぞれに常時、設置されている17の委員会のことです。
 日本の国会の中枢とも言えます。

▼衆参合わせて34の委員会の委員長は、まとめて常任委員長とも呼ばれます。
 きのう天皇陛下に拝謁し、懇談いたしたのは、衆参両院議長と、この34人の常任委員長が主でした。

▼わたしは今国会で環境委員会の委員長に指名されました。常任委員長への就任は初めてです。
 かつ予想外でした。
 政府、すなわち行政府に、大臣、副大臣、政務官として入ると政府批判はできません。しかし国会は立法府です。政府に対して自由な立場です。
 ただし、もちろん、わたしは政府批判によって不利益を受けています。
 かつて世耕弘成・参院自由民主党幹事長 ( 当時 ) は、ながい付き合いのわたしに「冷遇して悪いね」と、ちゃんと本音、実態を言ってくれました。

▼話を戻すと、わたしは国会議員となって経済産業委員会の委員や、その委員の中から選ばれる理事のとき、この常任委員長の仕事ぶりをいつも見ていたわけです。
 ところが、おのれがなってみると正直、まったく想像していなかった仕事の実態でした。

 きょうは3時間15分ほどの審議でしたが、誇張抜きで、1分1秒も気を抜けません。
 ずっと神経を張り詰めて、委員あるいは理事の国会議員の質問を聴きながら、その答弁に政府側の誰を指名するのかを考えていなければなりません。
 誰に答弁を求めるかは、質問に立っている議員が決めるのですが、指名するのは、委員長です。
 大臣や副大臣だけならいいのですが、多様な政府参考人、つまり各省庁の行政官 ( 官僚 ) が答弁することも多いのです。
 全省庁の全官僚を知っていることなどあり得ませんから、顔と名前の一致しない答弁者を、ほぼ一瞬で正確に指名しなければなりません。

 議員の質問時間は、厳密に決められ、限られています。
 審議の始まる前に、委員長が主宰して各党の理事が話しあい、正式に合意した各党の質問時間を1分も違 ( たが ) えず守らねばなりません。
 それが、戦前から長い伝統を持つ国会のたいせつなルールです。

 したがって、委員長が答弁者の指名にもしも手間取ったりしたら、国会議員が主権者のみなさんに負託された神聖な質問時間が減ってしまいます。

 委員や理事の時代には、自分が質問に立つとき全身全霊で集中していますが、あとは、他の議員と政府のあいだの議論に聴き入るだけです。

▼委員長をやってみて気がついたのは、質問者が答弁者を決めるのを待っていては、間に合わないということです。
 質問者がその質問をいったん止めて答弁を求めるだろう気配をまず察知します。
 そして、行政官のうち誰か答弁しそうな気配が、顔や、手や、あるいは、そこはかとない雰囲気に漂い始めていないか、予感を働かせて、その所属省庁、所属部課、名前に注目しておきます。

 アルペン・スキーで先行動作のことをアンティシペーションと言いますが、ぼくにとっては、そんな感じです。わはは。

▼それでも、ときどき、おかしな間違いをやらかします。
 各党の議員は「あれで、みんな和 ( なご ) むんですよ」と言ってくれたりしますが、いえ、ごめんなさい。
 
▼ところで、ひとつ違うこと、話しておきたいことがあります。
 1個まえのエントリーにて、こう記しました。
 ちょっと長いですが、そのまま引用します。

~ 夜に帰宅すると、沖縄の良心派から「東京の参院選候補に、なぜ左翼の人物を擁立するのか。私たちは動揺している」という電話がありました。
 わたしは「この石破政権では、確かに、明らかに左派寄りの動きがあります。しかし夏の参院選で主権者による断が下ります。祖国の沖縄においては、画期的なこととして擁立が実現した、国士である奥間亮候補が、まさしく左翼の候補に打ち克つことができるよう連帯することがまず第一です」とお答えしました。
 自由民主党の現状は惨憺たるものです。東京でも大阪でもそうです。だからこそ、こゝろを平静に戦うのです。~

 このエントリーのように、ある程度、心情を話したりすると、必ず、誹謗中傷がやってきます。
 それは、どうでもいいのです。どうぞ、ご勝手に、いくらでもやってください。ただし、場合によっては二度と書き込んでいただけません。

 どうでもよくはない問題を感じるのは、上記の一文を見て、「東京に左派候補というのは本当だったんですね」という趣旨の反応があることです。
 できれば、もう一度、ゆっくり読んでくださいませんか ?
 そんなことは、書いていませんね。

 沖縄の良心派が「なぜ左翼の人物を擁立するのか」と尋ねているだけです。
 わたしは、そうですね、擁立しますねとは答えていません。「政権に確かに左派寄りの動きがあります」と答えているのですね。

 この頃、こうした誤読がほんとうに多いです。
 わたしはプロの作家として、この無償、無条件の個人ブログであっても、一切、手を抜かず、推敲を重ねて書いています。
 日本語の美点である細やかなニュアンスを含めて書くことも、あります。
 それを、ネット上の情報としてうわべ読みをされると、誤読が生じます。悪意はなき誤読ですね。

 東京の参院選候補については、きょう党幹部と話しました。
 阻止する道筋を現場で探るためです。
「あの人で決まることはないと考えている。都連は、選考に苦しんで、あえて逆手もひとつ考えたようだ。それで、4人の候補の中に入れた。しかし一緒に戦えない人に決めるわけにいかない。そのように意見した」・・・とのことでした。

「すくなくともすでに決まったかのような報道は、例によって、オールドメディアの誤報のひとつであり、ネットと言っても要はオールドメディアの誤報を面白くして利用することが多いから、こうなる」・・・という趣旨も、この党幹部は話していました。

 わたしは「その4人の中の1人に入れるだけでも、現政権に、左派寄りの動きがあることになります。ほんらい、許されざることです」と述べました。

▼この時代、情報がまさしく人間を切り刻み、あるいは人間同士の斬り合いを引き起こします。
 もしもよろしければ、わたしと連帯して、この時代を克服していきませんか。

 いつでもどこでも無償、無条件の情報提供、正確な情報の主権者への伝達をやめません。
「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」の、今夜にアップした最新放送はこれです。
 習近平国家主席と中国軍のあいだに起きている非常にショッキングな事態を読み解いています。

 ショート動画も最新分がどんどんここに並んでいます。
 今夜アップの最新分は、トランプ関税の正体をここで短く、明かしています。





 
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