On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2025-05-26 03:45:48
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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湧き出る力の限りを、しかし胸のうちでは淡々と、尽くしました



▼きのう5月25日の月曜、東京ビッグサイトにて第162回独立講演会で今回も4時間半、主権者のみなさんと魂の会話を交わしました。
 日本の唯一の主人公であり、今回は14歳から86歳までのおよそ千人のみなみなさま、こゝろの底から、ありがとうございました。



▼独立講演会に臨むまえに、いつもと同じく、全質問を丁寧に頭に刻み込んでいきました。
 その途中に、数々の賞を受賞された映画監督の川口浩史さんの質問を見つけて、驚きました。

 川口さんは、「トロッコ」という映画を監督されました。
 静かな出だしからまもなくに、川井郁子さんのバイオリンが深々と響くのからして、印象的です。
 わたしは静かな始まりの映画が好きです。

▼川口さんの質問は「青山さんは自分の小説が映画になるのを視てみたいですか」という趣旨でした。
 お願いして舞台に上がってもらい、みなさんの前でしばし対話しました。
 映画監督って、わたしの勝手な思い込みでは、身体がとても大きい人と、かなり小柄な人に分かれる気がしているのですが、川口さんは前者です。

▼わたしの小説デビュー作『平成紀』の単行本 ( 当初のタイトルは『平成』 ) が文藝春秋社から発刊されてから、一部の読者がその映画化を強く望む声を、挙げてくださいました。
 実現はしませんでしたが、わたしは、その声が、嬉しかったのです。
 職業作家としてデビューするまえから『もしも小説が本になったら、その文章による世界が、大好きな映画の映像表現ではどうなるか視てみたいなぁ』と思っていたからです。

 川口監督にその『平成紀』のことをすこし話すと、最前列の女性がまさしくその『平成紀』の幻冬舎文庫をちょうど持ってらして、わたしと川口監督に向けて掲げてくださったので、またすこし驚きました。

▼川口監督には申しませんでしたが、実は、ノンフィクションではなく小説を書いているときは、『もしもこれが映像になったら、どんな音楽を付けるか』というのを、自然にいつも考えているのです。
 たとえば、イタリアのほぼ無名に近い作曲家モンティによる、ハンガリーの民族音楽を採り入れた小品の『チャルダッシュ』です。
 それもバイオリンではなく、チェロで弾いてほしいです。
 そうすると、小説の3作、『平成紀』、『わたしは灰猫 そしてわたしと灰猫』、『夜想交叉路』のいずれにも通底する音楽になる気もしています。

▼きのうの独立講演会では、みなさんの多くが今もっとも気になっているであろうテーマを重点的にお話ししました。
 時間切れで、硫黄島の英霊をめぐる新展開を話せなかったのが残念でした。
 ただし、この新展開は機密情報ではないので、この動画ですでにお話ししています。ご覧になった人は、残念ながら、少ないですが・・・。

▼帰宅すると、「青山さんは、最後に日章旗に会釈をしなかった。それは、ご自分の身体のことが気になって集中しきれなかったからだ」と仰るコメントが真っ先に届いていました。
 申し訳ないですが、それは違います。



 わたしは登壇したその時から、日章旗と胸の裡 ( うち ) で、対話しています。
 正確には、独立講演会において、主宰者の独立総合研究所のスタッフが舞台に出す日章旗のあたりに感じる硫黄島の英霊や、沖縄の白梅学徒隊の少女たちとの対話です。
 きのうは「帰りの電車に遅れそうな人たちも居るから、早く舞台から去りましょうね」という無言のアドバイスを感じたので、さっさと舞台の袖に入ったのです。

 身体のこと ?
 みなさんが気遣ってくださったのは嬉しかったですが、本人は、まったく自分の身体に無関心でした。
 4時間半、きのうも立ち尽くして語り、質問にお答えしたのですが、身体にまったく問題は無かったですから。
 問題が仮に身体の奥で起きていても、体力は何も変わっていないのです。不思議といえば不思議ですね。

 それに・・・みなさんへの責任として、医師とのやり取りを中心として具体的に説明しましたが、わたしは実際に、一命を天に預けてしまっています。
 その意味では、ごく自然に、日本という国家の青春であった幕末期の草莽の志士たちと同じになっていると、おのれでは感じています。

 きょうもまた夜明けが近づいて、空は暗黒色から、美しく深い紺色に変わってきています。
 さっきは、午前3時10分という恐るべき時刻に、自由民主党大阪府連の幹部から切実な電話もありました。
 参議院の常任委員長 ( 環境委の委員長 )、護る会 ( 日本の尊厳と国益を護る会 )  の代表、大阪府連の会長、そしてノンフィクション、物語文学両分野の職業作家であり続けるというのは、心身を酷使せずに成り立つはずもありませぬ。
 覚悟の上のことです。
 問題ありません。

 文字通りに命を削って完成させた新刊の『憤怒と祈りで建国だ』もまた、「政治家の本なんて。ましてやジミントウだよ」と、さして読まれないのかなぁと、それだけがすでに寂しいだけです。
 発刊まであと5日ですね。ひっそりとこの世に現れます。
  




 
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