2008-05-22 07:10:55
悩む
▼今朝も、睡眠2時間弱で、午前4時すぎに眼が醒めた。
身体は当然、起きない。頭が起きただけだ。
それを無理矢理、身体をベッドから引きはがして、のろのろ、よろよろと歩いて水を呑みに行く。
水も呑みたくないけど、せめてもの身体へのいたわりだ。
仕事が強烈に押せ押せ、山積みになっているから、起きるのだけど、それだけじゃない。
きのうの自分の仕事ぶりについて、深い自己嫌悪があって、寝ていられない。
▼ゆうべ5月21日の水曜、夜遅くに大阪出張から帰ってくると、自宅にPHP出版から、新著のゲラが宅急便で届いていた。
校閲のひとからの疑問点(用字用語の問題など)が、鉛筆で記されていることをはじめ、編集者や編集スタッフの丁寧な仕事ぶりが感じられて感謝する。
ぼくはこのゲラに、全面的な書き直し、書き足しをするつもりだから、たくさんの時間が本来は必要だけど、時間は全くない。
シンクタンク社長の仕事から、たまのテレビ出演まで、ほかの仕事も一切、ペースを変えずに続けるから。
それに、これまで提稿が遅れに遅れたために、ゲラ直しがこの1回しかない。
ふつうは最低でも、初校ゲラを直したら、再校ゲラが出て、それをもう一度、直す。つまりチャンスは、ミニマムで2回ある。
しかし、今回は、ただこの1回だけ。
しかも、そのただ1回のゲラ直しを、わずか1週間強で、完璧に終えねばならない。出版社から、締め切りがそう設定されている。
これは、原稿が遅かったぼくに全責任がある。
▼こうやって4年ぶりの新刊書を6月に出すためには、状況は苦しいのだけど、このゲラ直しで、とても愉しい点が1点ある。
それは、枚数や行数の制限にとらわれず、ほぼ自由自在に書き足せることだ。
ふだん雑誌に書くような記事は、スペースが定まっているから、当然ながらきわめて厳格な行数制限がある。
最初のラフな原稿を、頭をひねって削り込んでいくのも、それはそれなりに愉しいのだけど、やっぱり自在に書くほうがもっと愉しい。
だから、仕事ぶりに自己嫌悪を感じるのは、このゲラ直しを含めた原稿執筆のことじゃない。
テレビ番組への参加(出演)だ。
▼きのうは関西テレビの報道番組「アンカー」に生で参加し、「青山のニュースDEズバリ」というコーナーで話す日だった。
コーナーに割りふられた時間は、15分から16分間。
これでもテレビとしては破格に長い。
関テレ報道局はよく努力してくれていると思う。
それでもなお、時間が絶対的に足りない。
番組初期のころは、ぼくも「すこし時間を延ばせませんか」と打診したことがある。
今はもう打診しない。
そもそも、これ以上、時間を延ばすのは実際、無理だと思うからだ。このアンカーは、ぼくの加わっている第1部の全体で、CMを含めて1時間しかない。
それに、夕方の時間帯にニュース番組をみてくださっている視聴者の側からも、多くのひとにとっては、おおむね、この15分か16分ぐらいが集中できる限度かもしれないからだ。
同じ関テレの土曜日の情報番組「ぶったま」では、ぼくがニュース解説コーナーを受け持つとき、26分から29分の時間が割りふられる。
これはもちろん、がらりと、やりやすくなる。それでも時間は足りないが、まったく状況は変わる。
しかし、平日じゃなく土曜日の、情報番組でだからできることだろうと思う。
同じことを、平日に帯(おび)で放送している報道番組で求めても、そりゃ無理だ。
それに視聴者も、土曜日だからこそ30分近い話を聞いていられる、ということもあるでしょう。
▼したがって、ぼくはアンカーという報道番組に参加する以上は、今の15分か16分で、完璧な結果を出さねばならない。
ぼくはテレビが本職ではないが、参加するからには、その100%の義務がある。
ところが、番組初期のころよりも、大型ニュースが次から次へを世を襲ううえに、コーナーへの社会の関心もほんの少しだけ高まっていて、話すべきこと、視聴者・国民に伝えるべき情報は、格段に、増えている。
同じ制限時間の中で、それを伝えようとするから、スタジオのフロア・ディレクターが正確に「あと何分」と出してくれる紙を見るたび、本来は話そうとしていたことを、この愚かなぼくは、忘れてしまう。
きのうの放送も、自分では、そのために不満いっぱい、自己嫌悪いっぱいだ。
▼たとえば、中国の胡錦涛政権が軍の削減を図り、それに抵抗する人民解放軍が反日路線を死守しようとしているという趣旨の話のところで、「軍の削減」ではなく、「陸軍の削減」と言うべきだった。
中国軍は、多すぎる陸兵(なかでも歩兵)を抱えていて、それを胡錦涛体制は削減して、代わりに海軍と空軍の近代化・現代化を急進展させようとしている。
しかし陸軍からすれば、仕事のない農村の青年を陸軍が吸収していることもあり、絶対に譲れない。
反日路線を最大の頼みにして、世界最大規模の陸兵を今後も抱え続けようと必死だ。
四川大地震の現場は内陸部であり、活動している軍は陸軍が圧倒的に中心で、そのなかでも歩兵が主体だから、よけいに日本の国際緊急援助隊に対して、活動を組織的に阻んでしまうことが起きた。
いわば陸軍による、胡錦涛主席の路線(主席が訪日してまとめた「日中共同声明」などの路線)への反抗だ。
日本の国際緊急援助隊を、遅ればせながら優先して受け入れることは、胡錦涛主席みずからの決断であったことは、日米英などのインテリジェンス(機密情報)が、共通してはっきり指し示している。
だから、その援助隊の活動が不本意なまま抑え込まれたことをみて、胡錦涛体制が軍部、特に陸軍をコントロールできていないと諸国が懸念している。
ほんとうは、ここを精緻に言わないと、まるで胡錦涛主席が軍縮論者のような誤解も与えかねない。
▼わずか15分、16分のなかで、日本の国際緊急援助隊の高いモラルと尊い信念に基づいた活動ぶりや、深刻極まりない中国の軍事用核施設の被災懸念や、感染症・伝染病の、ビルマと繋がった広範な大流行懸念、さらには新型インフルエンザのパンデミック(世界的な爆発流行)の震源地になる怖れ、そしてチベット自治区について何も情報が出てこないということ、さらに、さらに…と、伝えなければならない情報はあまりに多い。
だから上に書いたような説明は、実際の番組の中では、できない。
できないが、せめて、「軍の縮小」ではなく「陸軍の縮小」とひとこと、言っておくべきだった。
ほんとうは、生放送の中で話しながら、「陸兵、なかでも歩兵が多すぎるから、その縮減」と言わなければ、と頭を何度もかすめた。
しかし、目の前で(カメラには写らず、視聴者にはみえないところで)、「あと何分」という紙のうえの残り時間がどんどん減るから、予定よりも猛ペースで減るから、その言葉を呑み込んだ。
あぁ、ぼくはなんて、馬鹿なんだろうか。
フロアディレクターが、その紙を出してくれるのは、ほんとうにありがたい。いや、その紙がないと、残り時間がまったく分からないから、番組にならない。
馬鹿なのは、ぼくだ。
ゆうべから、自己嫌悪に苦しんでいて、今朝、大阪の主婦のかた(ネット上のハンドルネームでは、ぼやきくっくりさん)が貴重な無償の努力で書き起こしてくれたフルテキストを一読して、あらためて頭を抱えた。
自己嫌悪を感じる下手くそな点は、ほかにもある。
正直、降りろ、降りろ、やめろ、やめろ、ぼくの中の「仕事ぶり検証チーム」が今朝もそう叫んでいる。
こんな話しぶりでは、視聴者にも、局のスタッフにも、ヤマヒロさんらキャスターにも、申し訳ない。
このままでは申し訳なさすぎる。
一方で、ぼくの中の「市民、国民のひとりとして市民、国民と共に生きるおのれ」は、決して降りるな、けっしてやめるな、と小さな声でぼそぼそと、今朝もそう呟いている。
声は小さいけど、消えることのない声だ。
だからね、悩む。
- 2014-12-31 19:29:41
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