On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2010-01-09 03:44:15

急告




▼1月8日夜から9日未明にかけて、平沢勝栄代議士の公式HPに、以下のような「緊急コメント」がアップされました。

「1月6日の関西テレビ『スーパーニュースアンカー』で、独立総合研究所代表の青山繁晴氏が、”北朝鮮の拉致問題絡みの話で山崎拓氏と平沢が昨年12月に小沢一郎氏と極秘会談をもった”とコメントしていました。
しかし、私に関しては全くの事実無根で極めて心外です。
直ちに、青山氏に抗議及び訂正文を申し入れたところ1月13日(水)の放送で当然のことながら訂正する旨の確約を得ました。 平沢 勝栄」

 これは事実に反します。
 そこで直ちに、1月9日未明2時に、平沢さんの公式HPにある「ご意見・問い合わせ」フォームによって、平沢さんに以下のメールを送りました。

「平沢さん、簡潔に申します。わたしは平沢さんから電話を受けたとき、『水曜日の放送で、事実ではないとする平沢さんの言い分を述べる。紹介する』と申しましたが、『訂正する』とは、ただの一言も申していません。
実際に放送では、平沢さんの言い分を確実に紹介しますが、訂正ではありません。記述は正確にお願いします。HPの記述を、まさしく訂正していただきたく思います。 1月9日未明2時」


▼事実関係を正確に、フェアに記しておきます。

 平沢代議士からは、1月7日木曜の夕刻に、電話があり「小沢さんとは最近、会っていない。初当選から10年目ぐらいに、人の紹介でメシを食べたことがあるぐらいで、付き合いはない。山拓さんと小沢さんが拉致をめぐって、どうしているのかは知らない。何かの動きをしているのかもしれないし、そりゃ、いろいろあるのかもしれないが、私は関与していない。放送の後、国賊だと非難するメールなどが来て、極めて迷惑している。心外だ。何で国賊なのかな。拉致に触るのがいけないと、いうのかな。しかし拉致問題は解決しなきゃいけない。拉致でいろいろ動きがあるようなのは事実だが、実際に成果の出る可能性があるのは、あなたの放送でやっていたような小沢さんたちのルートではなく、ある大手メディアを通じたルートだ。今、それが動いているんだ」という話がありました。

 わたしが「その大手メディアとはどこですか」と聞くと、「それは言えない」ということでした。
「朝日新聞ですか」と聞くと、「違う。どこかは言えないが、金正日と直接に繋がるルートだ。だから充分に(解決の)可能性がある」との答えでした。
 わたしがさらに「金正日総書記と繋がるルートということは、平壌に(日本のメディアとしては)唯一、支局を置いている共同通信ではないですか」と聞くと、「言えない」という答えでした。

 わたしは、これらの平沢さんの話について、小沢さんと会っていないと否定されていることを含めて、「来週水曜日の放送で、述べましょう」と話しました。
 訂正ではありません。

 放送などの発信で取りあげた当事者から、反論があった場合は、できるだけきちんと紹介すべきだという、発信者におのずから存在するルールとマナーに従うために、平沢さんの「迷惑である」という抗議、「事実ではない」という反論、「(平沢さんの解釈・定義による解決の)可能性があるのは大手メディアによるルートであり、小沢さんたちのルートではないと思う」という説・言い分を紹介するのです。
 平沢さんから否定の電話があったことは、複数の情報当局者に直ちに伝えましたが、情報当局者たちの見解は変わりませんでした。
 こうした場合、「会った、会わない」は水掛け論にもなりかねませんから、双方の見解をそのまま紹介し、平沢さんについては、事実ではないという反論だけではなく抗議もあったことをフェアに述べねばなりません。

 平沢さんからは、もう一度電話があり、「先生のホームページなどで、言ってくれないか」という要望がありましたが、わたしはそれをお断りし、「水曜日の放送で述べます」と答えました。
 平沢さんは電話で「事実ではない」とは何度も言われましたが、「訂正していただきたい」といった「訂正」を含む言葉自体、一度も使われませんでした。
 上述したように、再度の電話でも平沢さんは「ホームページなどで、言ってくれないか」とおっしゃったのであり、ここでも「訂正」ということ自体、おっしゃっていません。

 したがって、わたしとしては水曜日の放送で淡々と公平に、平沢さんからの抗議、反論、言い分を紹介するのであり、それまで、この個人ブログなどで記す予定は、平沢さんご本人に申したとおり、全くありませんでした。
 平沢さんも、再度の電話の際に「私は私で自分のホームページで言い、先生には水曜日の放送で言ってもらう、と、これで行きましょう」とみずから確認され、このときも「訂正」ということはおっしゃっていません。
 前述したように、わたしも申していません。

 ところが、それから2日ほど経って平沢さんのHPにアップされた内容では「訂正を確約」となっていますから、ここに急告として、事実関係を記しました。


▼平沢さんの電話でうかがえるのは、やはり、「拉致問題の解決とは何か」ということについての根本的な見解の相違です。
 わたしは、どこでもいつでも申しているとおり、「最後の一人まで帰ることだけが解決であり、一人でも見捨てたら、日本は国民国家でなくなる」という見解です。

 平沢さんは、もともとはTVタックルなどで「北朝鮮の体制を変えないと、真の解決はない」という考えを語られ、その点では、わたしと一致していました。
 しかし、今回の電話にある「大手メディアを通じて金正日(総書記)と直接、繋がるルートで解決へ」といった話をお聞きすると、実際には、金正日総書記にとって生きて返すのが都合の悪い被害者は永遠に帰ってこない交渉方法を、実質的に支持されているようにも感じます。

 平沢さんは、2004年に自民党山崎派の一員となられ、その年の4月に山拓さんと共に中国の大連で北朝鮮高官と拉致をめぐって極秘交渉したことが、あまりに有名です。

 わたしとしては、やり直しや編集のきかない生放送で、平沢さんや山拓さんと、何が拉致問題の解決なのか、いま何をすべきかについて、視聴者・国民のまえでありのままに議論することを、この際、提案したく思います。
 平沢さん、いかがですか。あなたは、受けてくださる気もします。
 もしも実現するときは、ぜひとも、山崎拓さんにも加わっていただきたいですね。


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