On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2010-07-14 13:47:47

みなさんにお知らせしたいこと



▼ぼくがかつて文藝春秋から純文学小説の「平成」を出版していることは、ご存じのかたも、いらっしゃると思います。

 出版した当時、ぼくは共同通信の記者を辞めて三菱総研の研究員となって間もない頃で、まだ世にほとんど発信していませんでした。それにもかかわらず、文藝春秋が単行本として出してくれたことに、いまも感謝しています。無名の書き手の、それも実質的に処女作に近い作品でしたから。

 新聞や雑誌の書評には驚くほど多く取りあげられましたが、購入された読者は少なかったと思います。正直、実売数はどれほどだったか、覚えていません。
 そして、この本は絶版になりました。
 読者のなかで再版を求める声が上がるようになり、署名を集めて文藝春秋へと送っていただいたという経過も聞いていますが、今のところ再版は実現していません。

 たまに、講演会のあとなどに、この「平成」を手にして、サインを求められるかたがいて、とても嬉しくなります。
 そうしたとき、思わず「この平成を買って読んでくださるひとこそが、ぼくのほんとうの読者です」と口走ったりします。
 もちろん、ノンフィクション分野の本もすべて、物書きとしてのぼくの心血すべてを注いで書いていますが、もともとは純文学で出発しているぼくとしては、やはり「平成」は特別な書です。

 純文学の作家活動については、書けないのではなく、その執筆を優先させるのは、なぜか自己本位に思えて、後回しにしているのです。
 ただ、短い新作をもう7年も8年も未完のまま、凄まじい忙しさのなか抱えたままになっていて、これをこの夏のあいだに完成させるのが、ノンフィクション分野の新作「ぼくらの祖国」の出版とともに、作家としてのぼくの目前の課題です。


▼さて、この「平成」が思いがけず、独研(独立総合研究所)の社内から、まとまって出てきたのです。
 独研はこのたび、本社を移転しましたが、その際の社内整理によって、段ボールに入った「平成」が姿を現しました。

「平成」は、これも驚くほど各地の図書館に所蔵されています。
 けれども、自分で手に入れて読みたいという人もこのごろは少なくはなくて、ぼくのところにも「どうしたら手に入りますか」という問い合わせが絶えたことはありません。

 そこで、独研の総務部の提案で、これを1冊づつお分けすることになりました。
 詳しいことは、独研の公式HPhttp://www.dokken.co.jp/をご覧ください。
 ぼくがサインをして、独研の総務部がていねいに梱包して、郵送します。独研はふだん、書籍販売などはしませんから、おそらくは今回だけのことです。売り上げは当然、ぼくには入らず、独研のものとなります。
 数は、ごくわずかしかありません。


▼もうひとつのお知らせは、関西テレビの報道番組「アンカー」です。

 出演交渉が続いていました野中広務さんの生出演が7月28日水曜に確定したということが、関テレ報道部からぼくに伝えられました。
 木曜アンカーのレギュラーで、ぼくの知友でもある宮崎哲弥さんも、宮崎さんの意志で特別参加されます。
 ぼくは知りませんでしたが、宮崎さんも「官房機密費をもらったのじゃないか」という嘘の中傷を受けたそうですね。
 ただし、宮崎さんが特別参加を望まれたのは、そのせいではなくて、もともと木曜アンカーでも、野中さん生出演のアイデアを宮崎さんが独自に持っておられたからだと聞いています。

 そういえば宮崎さんは、以前に北海道の講演会で一緒になったとき、「青山さん、あなたの本のなかで、平成がいちばん、いい。早く続編を書きなさいよ」と強く、励まされた記憶があります。
 宮崎さんは当代随一の読書家ですから、胸に響きました。


▼それから、7月21日水曜のアンカーは、前にお知らせしましたとおり、ぼくは登場しません。
 この頃、こういう時にいろんな憶測が流れたりしますが、なにも裏はありません。ぼくが首都圏で、どうしても義理を外せない仕事が入っているからです。
 今回はVTRでの参加もありません。いつもご覧くださっているかたがたには、こころからお詫びします。

 あとわずかな時間で、きょう7月14日の水曜アンカーに生出演です。
 きょうは当然、参院選後の動きを避けては通れません。
 いまだ発言のない主要閣僚のひとりと、電話でつないで、生トークをする予定です。


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